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再婚話

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「お前たちに改めて言われなくても分かっている」

 パパがそう言うと、メフィストも隣で頷く。

「もう少しよく考えなさい。陛下がシアン姫様のことを考えないわけがないでしょう。今回の再婚の話も、姫様に母親を作るために話が出たのですよ」

「ああ。ずっと母親がいなくて寂しい思いをさせていると思っていたんだ。男親では分かってやれないところも多いからな」

「・・・そう、だったの。分かった」

 私はなんとかそう言うと、執務室を後にする。

「おい、シアン?」

「・・・部屋に戻る、ね」

 パパの顔を見ることなく、そのままドアを閉めた。

 トボトボと廊下を歩いていると、後ろからザギが追いかけて来た。

「姫様」

「あ、ごめんね、ザギ。メフィストに怒られなかった?」

「僕は慣れてるから、そんなの気にしなくて良いよ。それよりも、姫様こそ平気?」

「平気って、なんのこと?」

 そう問い返す私のことを、ザギは抱き上げた。

「ザギ」

「姫様は子供なんだから、もっと言いたいことを言えば良いんだよ。『再婚なんて嫌だ』って『お母さんなんていらない』って、そう言っていいんだよ」

「私は・・・パパが居ればそれでいいけど、パパは奥さんが欲しいのかもしれないもん。あ、でも、新しい奥さんからしたら、コブの存在は気に入らないかも・・・」

 パパが私のことを大切に思ってくれてることは、理解している。

 パパたちの言う通り、私のために再婚しようとしてるっていうのも、嘘じゃないと思う。

 でも、意見は聞かれなかった。

 聞かれなかったからって、再婚を反対するつもりなんてない。

 だって、パパの奥さんになる人だもん。

 パパがその人を好きで、その人もパパを好きでいてくれるなら、それでいい。

「姫様は、大人だなぁ」

「さっき、子供って言った」

「ははっ。じゃあさ、大人な考えの体は子供の姫様、家出しよっか?」

「ふぇ?」

 ザギのとんでもない一言に、思わず彼の顔をガン見してしまう。

 ザギは、その長めの前髪から覗く紅い瞳を細めてにっこりと笑った。

「姫様は、その再婚相手と会いたくないんでしょ?なら、ここは、子供特権で家出しよう。ね?」

「でも・・・心配かけちゃう」

「手紙書いてけば大丈夫。姫様が思ってること、素直に書けばいいよ」

「・・・ミィも連れてって良い?」

 私がそう聞くと、ザギはにっこりと笑った。

「もちろん。そうと決まれば、部屋で手紙書こうか。ああ。あの侍女殿にも協力してもらおう」

「フラウ、叱られない?」

「大丈夫!彼女に心配かけたくないんでしょ?事情を話して協力してもらおう」

 パパやメフィスト、私のこと嫌いになっちゃう、かな・・・


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