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家族

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 魔王シリウス・ジェンティアナ。
それが、今の私の父親の名前。

 黒髪に赤い瞳の美丈夫。見た目年齢二十歳くらい。

 母親はエヴァジェリン・ジェンティアナ。
 金髪に金の瞳の・・・人間。

 凛とした綺麗な人で、確か公爵令嬢だったと聞いた。

 そして私、シアン・ジェンティアナ。
 父親の黒髪と、母親の金の瞳を引き継いだ見た目三歳児。

 見た目年齢二十歳のお父様は、実年齢が八百歳くらいで、お母様と百年くらい前に出会って恋に落ちた、らしい。

 落ちるんだ~。まぁ、魔王様なかなかのイケメンだしね。

 フラウも人型だけど、お父様は魔王様だけあって、完璧な人型で常にいられるほど魔力量が多いらしい。

 元の魔物の姿がどんななのかは、まだ知らない。

 で、シアンは半分は人間だから今のところ人型のまま。

 体内に結構な量の魔力があるのは何となく感じるから、魔物なのかもしれない。

 お母様は、普通に寿命で四十年くらい前に亡くなった、らしい。

 お母様が生んで、シアンがまだ三歳?って不思議だけど、どうやら魔族はある程度の年齢までは、年齢の進みが人よりすごく遅い、とのこと。

 寿命もすごく長くて、お父様が寿命で亡くなるとしたら、二、三千年歳とかになるっぽい。

 ということを、何とか思い出した現在。

 私はフラウに案内してもらいながら、食堂に向かっている。

 とてとてとてとて・・・ベチャ。

「姫様っ!」

 さすが三歳児。
何でもないところで躓く。

 足が短いのに、こんなふわふわ長いスカートのドレス着てるからコケるんだわ。

「大丈夫ですか?」

「・・・いちゃい」

 フラウがしゃがみ込んで、怪我をしていないか確認する。

 廊下にはフカフカの絨毯が敷かれているから怪我はしてないけど、さすがに顔からダイブしたら痛い。

「ぴゃっ?」

 絨毯の上に座り込んでいると、いきなり後ろから抱き上げられた。

転んだのか」

「おとしゃま」

「だから部屋で待っていれば、迎えに行くと言っただろう」

「シア、じぶんでありゅけりゅの」

 魔王様の肩のあたりをポカポカと叩きながら下ろせと訴えると、さらにガッツリと抱き抱えられた。

「おとしゃまーっ!」

「はいはい。朝食に遅れると、メフィストに叱られるぞ?」

「むーっ」

 メフィストというのは、魔王様の側近。

 銀髪に片眼鏡をかけてて、ちょっと口うるさい系のシアンの教育係だ。

 唸る私の背中を、魔王様は笑いながらポンポンと撫でてくれる。

 後ろから付いてくるフラウも、ニコニコと笑っていた。

 母親は亡くなってしまってるけど、私は・・・家族を得たんだ。
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