3 / 55
魔族
しおりを挟む
鏡に映った姿をガン見していると、コンコン!とノックの後に扉が開いた。
「姫様?何をなさっているのですか?危のうございます」
そう言って慌てて私に駆け寄り、私を椅子から下ろすのは・・・
紺色のお仕着せ。
肩くらいに切り揃えられた緑色の髪。
歳の頃は、十八歳くらい、かな。
歳の割にそのご立派な、たゆんたゆんしたお胸が、可愛い容姿とちょっとアンバランスな女の子。
多分、侍女とかメイドさんとかなんだろうけど・・・
その頭から、二本のツノが出ていた。
え?ツノ?
ツノってどういうこと?
ちょっと待って。うん。一旦、落ち着こう。
私は突然転生したわけでなく、最初からこの美幼女として生まれた。
うん。オッケー。
自分の名前、アゼリア・シュルク・・・違うわ、これは前世の名前。
この美幼女としての名前は、シアン。シアン・ジェンティアナ。
目の前の彼女は、フラウ。
パイコーンの一族で、私の専属侍女。
よし!大丈夫。
記憶はしっかりしてる。
パイコーン・・・
一角獣と呼ばれるユニコーンの亜種って言われてる。
正統なる魔族。
そりゃ、ツノもあるでしょうよ。羽があったり、鱗があったりするのもいるわよ。
魔族かぁ・・・
魔族は、私がアゼリアだった時にもいた。
ただ、人間の住む場所とは遠く離れた場所に国を構えていて、私たちが会うことはなかった。
他国の中には、魔族の国と国交を結んでいる国もあったらしいけど。
当初、あの王太子は成人の試練で魔王を倒すとか言っていた。
今思うと、馬鹿でなかろうか。
倒せるわけがないし、そもそもなにもしていない魔王を倒したりしたら国際問題でしょ。
だって、魔王は魔国の国王陛下なんだから。
それを、まるで魔物討伐の一環みたいに宣言し、最終的に国王陛下に叱られてた。
「魔王を倒すのは勝手だが、返り討ちにあっても誰もお前を助けん。護衛が守るのは聖女だけだ。王太子の替えは他にもいるからな」
さすがにそこまで言われたら、諦めるしかない。
そもそも、魔族の国はものすごく遠いらしいし。
そこで、思い直して狙ったのがドラゴンなんだから、無鉄砲なんだか、阿呆なんだか。
私を盾にする気だったようだから、倒せそうにないと判断したら、さっさと退散するつもりだったんだろう。
でも、そうか。
魔族の国、ジェンティアナ。
その魔国の国王陛下である、魔王シリウス・ジェンティアナ。
その魔王の娘であり、半分人間の血を引く娘、シアン。
私は半分魔族に生まれ変わったのか。
「姫様?何をなさっているのですか?危のうございます」
そう言って慌てて私に駆け寄り、私を椅子から下ろすのは・・・
紺色のお仕着せ。
肩くらいに切り揃えられた緑色の髪。
歳の頃は、十八歳くらい、かな。
歳の割にそのご立派な、たゆんたゆんしたお胸が、可愛い容姿とちょっとアンバランスな女の子。
多分、侍女とかメイドさんとかなんだろうけど・・・
その頭から、二本のツノが出ていた。
え?ツノ?
ツノってどういうこと?
ちょっと待って。うん。一旦、落ち着こう。
私は突然転生したわけでなく、最初からこの美幼女として生まれた。
うん。オッケー。
自分の名前、アゼリア・シュルク・・・違うわ、これは前世の名前。
この美幼女としての名前は、シアン。シアン・ジェンティアナ。
目の前の彼女は、フラウ。
パイコーンの一族で、私の専属侍女。
よし!大丈夫。
記憶はしっかりしてる。
パイコーン・・・
一角獣と呼ばれるユニコーンの亜種って言われてる。
正統なる魔族。
そりゃ、ツノもあるでしょうよ。羽があったり、鱗があったりするのもいるわよ。
魔族かぁ・・・
魔族は、私がアゼリアだった時にもいた。
ただ、人間の住む場所とは遠く離れた場所に国を構えていて、私たちが会うことはなかった。
他国の中には、魔族の国と国交を結んでいる国もあったらしいけど。
当初、あの王太子は成人の試練で魔王を倒すとか言っていた。
今思うと、馬鹿でなかろうか。
倒せるわけがないし、そもそもなにもしていない魔王を倒したりしたら国際問題でしょ。
だって、魔王は魔国の国王陛下なんだから。
それを、まるで魔物討伐の一環みたいに宣言し、最終的に国王陛下に叱られてた。
「魔王を倒すのは勝手だが、返り討ちにあっても誰もお前を助けん。護衛が守るのは聖女だけだ。王太子の替えは他にもいるからな」
さすがにそこまで言われたら、諦めるしかない。
そもそも、魔族の国はものすごく遠いらしいし。
そこで、思い直して狙ったのがドラゴンなんだから、無鉄砲なんだか、阿呆なんだか。
私を盾にする気だったようだから、倒せそうにないと判断したら、さっさと退散するつもりだったんだろう。
でも、そうか。
魔族の国、ジェンティアナ。
その魔国の国王陛下である、魔王シリウス・ジェンティアナ。
その魔王の娘であり、半分人間の血を引く娘、シアン。
私は半分魔族に生まれ変わったのか。
78
お気に入りに追加
686
あなたにおすすめの小説
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる