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転生

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 目が覚めたとき・・・

 最初に思ったのは、え?私死んだよね?だった。

 さすがに剣に貫かれた痛みも、血を吐いた痛みも、地面に倒れ込んだ痛みも、全部が夢だったとかあり得ない。

 それに目覚めて初めて見えた天井が、記憶の中のどれとも違う。

 起きあがろうとして・・・

 手足が小さいことに気付いた。
というか、手足だけじゃなく体全部小さい?

 転げ落ちるようにベッドから降り、鏡を探す。

 まだ夜明け前なのか薄暗い部屋の中に、ドレッサーを見つけたけど、椅子が高い!

 なんとかよじ登って、クッションのいい座面の上に立った。

「うわぁ」

 見覚えのない、齢三歳くらいだろうか、幼女が鏡に映っていた。

 腰まである真っ直ぐな黒髪。金色の瞳はぱっちりしている。

 部屋が薄暗いから分かりにくいけど、肌は着ているナイトドレスと差がないくらい白いし、何よりどう見ても美幼女だ。

「これって・・・生まれ変わったってことなのかな」

 この子の体を、乗っ取ってるとかではないと思う。

 ハッキリとは思い出せないけど、母親に抱かれた記憶とか、このを歩いた記憶とか、なんとなくだけど覚えてる。

 推定三歳児の記憶力だから、微妙だけど。

 つまりは、私はこの美幼女に生まれ変わって、今この時点で前世を思い出した、っていうこと?

 前世・・・
たった十五年の、人生。

 魔法に明け暮れた人生だった。

 生きるためではあったけど、騎士たちに混じって魔物の討伐もした。

 商人たちの護衛に混じったこともあるし、依頼されて魔物の素材を集めに行ったこともある。

 癒しの力はなかったけど、サザンウィンド王国のためにできることは出来るだけしたつもりだ。

 その結果が、あの刺殺か。

 あの口振りだと、婚約自体が嘘で、私を本当に魔物に対する盾とするために形だけ婚約者にしたのだろう。

 そして王太子はあの聖女と恋仲だった・・・

 私望んだ婚約でもないのに、どうしてあんな扱いを受けなくてはならないの?

 討伐試練に向かえるのは、王太子当人と、癒しのための聖女、そして望むのなら婚約者と決まっていたから?

 婚約者にしなければ、連れて行って盾にできないから?

 でも、護衛は付いていた。
手出し無用で、もし魔物に王太子が殺されても守って帰還することという決まりだったらしいけど。

 王家の意思だったのか、それとも王太子と聖女個人の意思だったのか、私にはわからない。

 ただ言えるのは・・・
誰かをあんなふうに犠牲にしなければ守れない国ならば、滅んでしまえばいいんだ。

 

 

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