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好きだということ《シオン視点》

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 可愛い僕の異母妹、リアナ。
艶やかな黒髪にキラキラ光る黒い瞳。小柄で小さな異母妹は、僕にべったりだった。
 ちょっと我儘で、僕はそんな異母妹を煩わしいと思うこともあった。

 だけど、学園の入学式ー
突然倒れたリアナは、急に僕を避けるようになった。
 いや、避けるというか、そんなにあからさまではないんだが。
 それまでべったりだったから、余計にそう感じたのかもしれない。

 くっつかれている時は煩わしいと思っていたのに、離れられると気になって仕方なくなった。

 元々、可愛い異母妹だ。僕はリアナが愛しくて愛しくて仕方なくなった。

 学園に通い出すと、ハロルドやフローラまでリアナに好意を示し出した。
 ハロルド、お前には婚約者がいるだろう!そう言っても、異母妹相手にヤキモチ妬くなと言い返されてしまう。

 そうしているうちに、妙な女が現れた。僕に馴れ馴れしく話しかけ、リアナに悪意を向ける女。

 僕のリアナに悪意を向けるなんて、死にたいらしい。カイとソルがいるから大丈夫だとは思うが。

 だけど、僕がソルを呼び出している時に、女がリアナに牙をむいた。
 階段から身を投げたリアナが怪我を負わなかったのは、本当にたまたまでしかない。ソルが間に合った、ただそれだけだ。

 だから、あの女は処分することにした。当然だ。王族であるリアナに手を出したのだから。

 叶うことなら僕が直接手を下したかったが、さすがに国王陛下である父上の許可が出なかった。

 あの後、目覚めたリアナが嫌いにならないでと泣いたことを思えば、やはり父上に懇願するべきだったと後悔した。
 リアナをあんなに悲しませるようなことを、あの女は言ったのだろう。

 学園に通おうとするものの、体が震えて怯えるリアナだったが、何かきっかけがあったのか、ようやく学園に再び通い始めた。

 フローラが、リアナをいつも通り抱きしめているのを取り戻し、いつも通りの会話をしていたのだが、フローラがリアナがソルに恋をしていると言い出した。

 あまりの衝撃に、リアナを問い詰めようとすると、リアナは視線を彷徨わせ、そのまま気を失ってしまった。

 王宮へと連れ戻し、3日の休養を言い渡した。今はソルが見張っているだろう。後で見舞いに行く予定だ。

「ソルに恋ですか?」

 倒れた時の話をカイにすると、なんだか満足そうな顔をされた。何故だ!
 カイはソルと同じ暗部の出身だから、仲間意識か?

「いいんじゃないですか?」

「なんでいいんだ」

「だって、いずれは誰かと婚約し嫁がれますよね?姫君だし、もしかしたら国外の王族に嫁がれたりするかもでしょう?それなら、ソルと結婚したらこのまま王宮で一緒に暮らせますよ?」

 カイの言葉に、なるほどと納得する。僕がどれだけリアナを好きでも、僕たちは兄妹だ。絶対に結ばれることはない。

「シオン様も、卒業したら婚約者をたてないとですよね。ダイアンサス嬢なんかどうですか?」

「フローラ?彼女をそんな目で見たことはないぞ」

「でも、彼女ならリアナ様の事もお好きですよね?なら、一緒に王宮で暮らすのに向いてませんか?シオン様、他のご令嬢に好きな方いませんよね?」

 カイが的確だ。確かに、フローラならリアナのことを大好きだから、うまくやっていけるだろう。
 それに、僕はリアナの他に好きな相手などいない。王太子である僕は政略結婚が当然と思っていたし・・・フローラか。

「一考する価値があるな」

「でしょう?」

 もしも、リアナがソルを好きなら、早々に婚約させておくべきかもしれない。
 ふむ。フローラに探りを入れてみるか。リアナの見舞いに訪れると言っていた友人を思い浮かべた。
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