16 / 40
面倒ごとの予感
しおりを挟む
王家もさすがに、決まっている婚約をどうこう言えなかったみたいで、テオドールとアデリアの婚約はすんなりと決まった。
アデリアとテオドールの仲は、まぁ普通に政略の婚約者、という感じらしい。
月に一回のお茶会は、ドタキャンされることもないけれど、盛り上がるわけでもないというものらしい。
一時間、お茶を飲んで、一ヶ月の近況報告をして、終わり、だそうだ。
まだパーティー参加とかの公務はないけど、二ヶ月に一回程度は、ドレスやアクセサリーなどが贈られてくるみたい。
まぁ政略結婚相手としては、ちゃんと最低限のことはしてるみたいだし、アデリアが文句がないならいいかな、と思ってた。
私自身もルーフェスと普通に過ごしていたし、まぁ婚約者というよりは家族のままだけど、それでも仲良く出来てたと思う。
だから、忘れていたわけじゃないけど、どこか大丈夫と思ってたのかもしれない。
フィンレー王国王立学園の入学式。
目の前でテオドールが、ひとりの女子生徒を抱き上げていた。
ピンク色のふわふわとした髪。
今は閉じられているけど、その瞳も同じピンク色。
小説『あの青空の下で』のヒロインとヒーローたちの出会いのシーン。
入学式の会場は、令嬢が倒れたことと、その令嬢を王太子殿下自らが抱き上げて運んで行ったことで、ザワザワとざわめいている。
「大丈夫ですか?」
「・・・?ああ!殿下自らが、ご令嬢を抱き上げて運ばれたことですか?お心遣いありがとうございます、セレスティア様。私は平気ですわ。でも・・・」
「でも?」
「王太子殿下は迂闊な方ですわよね。お優しいのでしょうけど、王太子殿下ともあろう方があのようなことをなさればどうなるかも理解っておられないのですね」
アデリアの言葉に、私もフロレンスもため息を吐く。
フィンレー王国の王立学園は一応、平等を謳っている。
だけどそれは、下位貴族の者が高位貴族に対して無礼を働いてもかまわない、というものではないのだ。
よくラノベとかで語られる『学園内は平等』とは、不敬を問わないというものではなく『平等に学びを得る権利がある』という意味に過ぎない。
全てがそうだとは言い切れないけど、少なくともここフィンレー王国の王立学園ではそうなのだ。
アデリアが言いたいのは、王太子自らがあんな風にご令嬢を特別扱いしたような行動をとれば、周囲も本人も勘違いをすると言いたいのだ。
そしてもし令嬢が勘違いした行動を取れば、婚約者であり侯爵令嬢であるアデリアが注意しなければならない。
面倒ごとになりそうな予感。
アデリアとテオドールの仲は、まぁ普通に政略の婚約者、という感じらしい。
月に一回のお茶会は、ドタキャンされることもないけれど、盛り上がるわけでもないというものらしい。
一時間、お茶を飲んで、一ヶ月の近況報告をして、終わり、だそうだ。
まだパーティー参加とかの公務はないけど、二ヶ月に一回程度は、ドレスやアクセサリーなどが贈られてくるみたい。
まぁ政略結婚相手としては、ちゃんと最低限のことはしてるみたいだし、アデリアが文句がないならいいかな、と思ってた。
私自身もルーフェスと普通に過ごしていたし、まぁ婚約者というよりは家族のままだけど、それでも仲良く出来てたと思う。
だから、忘れていたわけじゃないけど、どこか大丈夫と思ってたのかもしれない。
フィンレー王国王立学園の入学式。
目の前でテオドールが、ひとりの女子生徒を抱き上げていた。
ピンク色のふわふわとした髪。
今は閉じられているけど、その瞳も同じピンク色。
小説『あの青空の下で』のヒロインとヒーローたちの出会いのシーン。
入学式の会場は、令嬢が倒れたことと、その令嬢を王太子殿下自らが抱き上げて運んで行ったことで、ザワザワとざわめいている。
「大丈夫ですか?」
「・・・?ああ!殿下自らが、ご令嬢を抱き上げて運ばれたことですか?お心遣いありがとうございます、セレスティア様。私は平気ですわ。でも・・・」
「でも?」
「王太子殿下は迂闊な方ですわよね。お優しいのでしょうけど、王太子殿下ともあろう方があのようなことをなさればどうなるかも理解っておられないのですね」
アデリアの言葉に、私もフロレンスもため息を吐く。
フィンレー王国の王立学園は一応、平等を謳っている。
だけどそれは、下位貴族の者が高位貴族に対して無礼を働いてもかまわない、というものではないのだ。
よくラノベとかで語られる『学園内は平等』とは、不敬を問わないというものではなく『平等に学びを得る権利がある』という意味に過ぎない。
全てがそうだとは言い切れないけど、少なくともここフィンレー王国の王立学園ではそうなのだ。
アデリアが言いたいのは、王太子自らがあんな風にご令嬢を特別扱いしたような行動をとれば、周囲も本人も勘違いをすると言いたいのだ。
そしてもし令嬢が勘違いした行動を取れば、婚約者であり侯爵令嬢であるアデリアが注意しなければならない。
面倒ごとになりそうな予感。
463
お気に入りに追加
558
あなたにおすすめの小説
使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後
有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。
だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。
それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。
王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!?
けれど、そこには……。
※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる
mios
恋愛
ヒロインの味方をずっとしておりました。前世の推しであり、やっと出会えたのですから。でもね、ちょっとゲームと雰囲気が違います。
どうやらヒロインに利用されていただけのようです。婚約者?熨斗つけてお渡ししますわ。
金の切れ目は縁の切れ目。私、鞍替え致します。
ヒロインの味方のモブ令嬢が、ヒロインにいいように利用されて、悪役令嬢に助けを求めたら、幸せが待っていた話。
悪役令嬢予定でしたが、無言でいたら、ヒロインがいつの間にか居なくなっていました
toyjoy11
恋愛
題名通りの内容。
一応、TSですが、主人公は元から性的思考がありませんので、問題無いと思います。
主人公、リース・マグノイア公爵令嬢は前世から寡黙な人物だった。その為、初っぱなの王子との喧嘩イベントをスルー。たった、それだけしか彼女はしていないのだが、自他共に関連する乙女ゲームや18禁ゲームのフラグがボキボキ折れまくった話。
完結済。ハッピーエンドです。
8/2からは閑話を書けたときに追加します。
ランクインさせて頂き、本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
お読み頂き本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
応援、アドバイス、感想、お気に入り、しおり登録等とても有り難いです。
12/9の9時の投稿で一応完結と致します。
更新、お待たせして申し訳ありません。後は、落ち着いたら投稿します。
ありがとうございました!
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。
しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い!
声が出せないくらいの激痛。
この痛み、覚えがある…!
「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」
やっぱり!
忘れてたけど、お産の痛みだ!
だけどどうして…?
私はもう子供が産めないからだだったのに…。
そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと!
指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。
どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。
なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。
本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど!
※視点がちょくちょく変わります。
ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。
エールを送って下さりありがとうございました!
忌み子にされた令嬢と精霊の愛し子
水空 葵
恋愛
公爵令嬢のシルフィーナはとあるパーティーで、「忌み子」と言われていることを理由に婚約破棄されてしまった。さらに冤罪までかけられ、窮地に陥るシルフィーナ。
そんな彼女は、王太子に助け出されることになった。
王太子に愛されるようになり幸せな日々を送る。
けれども、シルフィーナの力が明らかになった頃、元婚約者が「復縁してくれ」と迫ってきて……。
「そんなの絶対にお断りです!」
※他サイト様でも公開中です。
契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる