聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな

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釘はさしましたよ《リアン視点》

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 聖女様を、ちんちくりんと呼び、その価値を理解しようとしないマクスウェル王国の王子。
 本当に、あんなのが国を担う王族の一員でいいのでしょうか。

 少なくとも国王陛下と王妃はまともな考え方をしていましたから、アレだけが特殊なのでしょうが。

 サクラ様は、見た目を擬態していたようですが、その見た目がどうであろうと召喚の指輪で招ばれたのが聖女でないわけがないでしょう。

 私は謁見の間へと転移しました。
国王の玉座がある謁見の間には結界が張られていますが、そんなものは私には関係ありません。

「お久しぶりです。国王陛下」

「リアンか。お前が来たということは、リヒトが何かしたか」

 ため息まじりにそう言うマクスウェル王国国王陛下。ずいぶんと白髪が増えましたね。よほど、あの馬鹿王子に手を焼いているようですね。

「何をやった?」

「聖女召喚の儀を行いまして、その聖女様をちんちくりんだと捨てられました」

「聖女召喚の儀?あやつはいつの間に指輪を持ち出したのだ」

 国王陛下の言葉に、どうやら聖女召喚はあの馬鹿の独断だったのだと理解しました。本当に馬鹿に育っていますね。

 聡明な国王陛下だとは思っていましたが、もしも魔王陛下に害をなそうとしたのなら、処分しなければと考えていました。どうやら杞憂に終わったようです。

「そして、新たな聖女を迎えるために、聖女様を亡き者にしようとしていますね」

「なんと愚かな。して、その聖女様は?」

「ハルト陛下が保護されております。どうやら、お気に召したようなので、もしも王子が何かしてくるようなら、潰しますよ?」

 言外に、王子を処分されたくなければ、ちゃんと手綱を握っておけと伝えます。

 脅しなどではありませんよ。
実際、あの馬鹿がサクラ様に害を為そうとしたら、生きているのがつらいと思えるほどの罰を与えてやるつもりです。

 話はこれまでと立ち去ろうとした私に、国王陛下がおずおずと話しかけてきました。

「リアン、帰っては来ぬのか」

「は?私の帰る場所はハルト陛下の下だけです」

「お前が戻ってくれば・・・」

 私は魔力を少し解放し、威圧を増します。マクスウェル王国国王陛下は玉座から滑り落ち、謁見の間の絨毯に膝をつきました。

「いいですか?私は誇りある魔族、ハルト魔王陛下の側近です。2度とくだらないことを言わないで下さい。今度言ったら、あの馬鹿王子の前にこの国を消しますよ」

「リアン・・・」

「それから、私の名を呼び捨てで呼べるのは、ハルト陛下だけです。いくら国王陛下といえど、控えていただきましょうか」

 釘はさしましたからね?






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