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聖女を囲る男性陣
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「何故、聖女召喚が出来ないのだッ!!」
このマクスウェル王国の王子である僕の問いに、魔法士たちは誰も答えようとしない。
一体、なんなんだ!コイツらは僕を馬鹿にしているのか?
「答えろっ!!」
「殿下。聖女様は召喚されております。召喚された聖女様が存在する限り、新しい聖女様は召喚できません」
「あのちんちくりんを聖女と言うのかっ!いい加減にしろ!」
コイツらは何を言ってるんだ!
聖女は王族と婚約するのが通例だ。僕に、あんなちんちくりんと婚約しろと?
存在する限り新しい聖女が召喚できないだと?なら、存在を消せばいいだろう。あんなちんちくりんが存在していても何の役にも立たない。
王子である僕が1を言えば10を理解して、さっさと処分すればいいものを。
役に立たない奴らだ。早く正しい聖女を召喚しないと、父上に叱られてしまうじゃないか。
仕方ない。王宮騎士団の奴らにあのちんちくりんを探し出させ、反逆罪かなんかで処刑させよう。
次こそは、僕に相応しい正しい聖女を召喚しなければならないからな。
その様子を写し鏡で覗き見ていたのは、魔王陛下であるハルトと側近のリアンだった。
「相変わらず・・・愚かだな」
「考えていることが手にとるように分かりますね」
まぁ実際、魔族は人の意思を読み取ることに長けている。そのうえ、あの王子は考えが口に出しているのと変わらなくわかりやすかった。
「サクラに危害を及ぼす前に、釘をさしておくか」
「そうですね。まぁ今の聖女様なら数人の騎士程度の攻撃なら防げるでしょうが、命を狙われたと知れば心が傷つかれるかも知れませんからね」
魔王陛下の。
口には出さずに、リアンが告げる。
そう。おそらくあの聖女様は命を狙われたと分かれば、烈火のごとくあの王子に対して怒りを持つだろう。
無理矢理召喚された上に捨てられたことで、王子に対して相当な不満を持っている。
聖女様に怪我がなくても、あの王子が狙ったことで傷つくのは魔王陛下だ。
この人は優しすぎる。優しすぎるから、狙われる前に釘をさすと言うのだ。
自分を滅ぼす可能性を持つ聖女を連れ帰ったこともそうだ。
まぁ、優しさだけでなく、どうやらサクラ様個人に興味を持たれていたようだから、滞在を認めたのだが。
確かに不思議な少女だ。
魔王陛下にも自分にも、畏怖を抱かず、平然と意見を述べる。
素直にこちらの指示に従ったと思えば、言いたいことはズバズバと言う。
あの王子は気づかなかったようだが、愛らしい容姿に、聖力の存在を示す金の瞳と、魔力の存在を示す紫の瞳。
彼女は間違いなく、ここ数百年の中でトップクラスの力を持つ聖女様だ。
魔王陛下の番に相応しいほどの。
「私が釘をさして参りましょう」
側近リアンは恭しく頭を下げたー
このマクスウェル王国の王子である僕の問いに、魔法士たちは誰も答えようとしない。
一体、なんなんだ!コイツらは僕を馬鹿にしているのか?
「答えろっ!!」
「殿下。聖女様は召喚されております。召喚された聖女様が存在する限り、新しい聖女様は召喚できません」
「あのちんちくりんを聖女と言うのかっ!いい加減にしろ!」
コイツらは何を言ってるんだ!
聖女は王族と婚約するのが通例だ。僕に、あんなちんちくりんと婚約しろと?
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役に立たない奴らだ。早く正しい聖女を召喚しないと、父上に叱られてしまうじゃないか。
仕方ない。王宮騎士団の奴らにあのちんちくりんを探し出させ、反逆罪かなんかで処刑させよう。
次こそは、僕に相応しい正しい聖女を召喚しなければならないからな。
その様子を写し鏡で覗き見ていたのは、魔王陛下であるハルトと側近のリアンだった。
「相変わらず・・・愚かだな」
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「そうですね。まぁ今の聖女様なら数人の騎士程度の攻撃なら防げるでしょうが、命を狙われたと知れば心が傷つかれるかも知れませんからね」
魔王陛下の。
口には出さずに、リアンが告げる。
そう。おそらくあの聖女様は命を狙われたと分かれば、烈火のごとくあの王子に対して怒りを持つだろう。
無理矢理召喚された上に捨てられたことで、王子に対して相当な不満を持っている。
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この人は優しすぎる。優しすぎるから、狙われる前に釘をさすと言うのだ。
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まぁ、優しさだけでなく、どうやらサクラ様個人に興味を持たれていたようだから、滞在を認めたのだが。
確かに不思議な少女だ。
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素直にこちらの指示に従ったと思えば、言いたいことはズバズバと言う。
あの王子は気づかなかったようだが、愛らしい容姿に、聖力の存在を示す金の瞳と、魔力の存在を示す紫の瞳。
彼女は間違いなく、ここ数百年の中でトップクラスの力を持つ聖女様だ。
魔王陛下の番に相応しいほどの。
「私が釘をさして参りましょう」
側近リアンは恭しく頭を下げたー
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