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聖女訓練です
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ハルト様と朝食を食べ、私はリアン様に連れられ、お城の地下の部屋へと向かった。今日から、聖女訓練が始まる。
ハルト様がスコーンとサラダをお食べになり、リアン様はすこぶる機嫌がいい。どうやら本当にハルト様は食事に重きをおいてないようだ。これは本気で食事改革をした方がいいかもしれない。
「さて、この部屋は魔力にて防壁をしてありますので、少々のことでは壊れません。聖女訓練は、魔王陛下の忠臣の1人が行います」
地下だから窓はないが、それでも地下室とは思えない明るさと品のいい調度品が揃えられた部屋で、真っ赤な髪をポニーテールにした少女が立っていた。
「ライカ、聖女サクラ様です。聖女のお力を引き出して差し上げなさい。サクラ様、それではまたお昼に」
リアン様は私を部屋へ押し込むと、さっさと部屋を出て行った。え?今からお昼まで訓練なの?
「ライカと申します。サクラ様とお呼びすればよろしいですか?」
「あ、はい。サクラと呼んでください。え、とライカ様」
「私は魔王陛下の部下でございますから、様はいりません。どうぞライカとお呼びください」
リアン様といい、ライカ様といい、魔族の人たちって礼儀正しい。どっかの王子とは雲泥の差だわ。
でも、私より年上っぽいし、呼び捨てはないなぁ。さん付け・・・いや、魔王陛下の忠臣って言ってたよね、リアン様。ということは、結構偉い人なのでは?やっぱり様付けの方がいいかも。
「あの。よろしくお願いします」
「私相手にそんなに畏まらなくても大丈夫ですよ。ああ、でも、リアン様は礼儀に厳しい方ですから、気をつけてくださいね」
「は、はい」
「それでは、早速始めましょうか。まずはそこの椅子に座って、この石を持ってください」
ライカ様の指示通りに、椅子に座り石を両手で持つ。ちょうど両手いっぱいくらいの大きな透明の玉だ。これって、水晶?
「いいですか?今からこの中にある炎を消すように念じてください」
そう言うと、ライカ様が水晶に触れる。大きな玉の中央に、親指ほどの小さな炎が現れた。
「消えろって念じればいいんですか?」
「ええ。聖女様の力というのは、魔族の力を打ち消すことができます。ですから、私の生み出した炎を消すことから始めます」
なるほど。
乙女ゲームやアニメで見たのと同じように、聖女にはそういう特殊な力があるらしい。
私はこの日から、朝から夕方までお昼ご飯以外ずっと水晶と睨めっこし続けた。
水晶の中の小さな炎が消えたのは、3日後のことだった。
ハルト様がスコーンとサラダをお食べになり、リアン様はすこぶる機嫌がいい。どうやら本当にハルト様は食事に重きをおいてないようだ。これは本気で食事改革をした方がいいかもしれない。
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「ライカ、聖女サクラ様です。聖女のお力を引き出して差し上げなさい。サクラ様、それではまたお昼に」
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「ええ。聖女様の力というのは、魔族の力を打ち消すことができます。ですから、私の生み出した炎を消すことから始めます」
なるほど。
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