聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな

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2日目です

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 魔王城、2日目。
初めての、しかも魔王城でぐっすり眠れた自分の神経の図太さに感心するわ。

 私はさっさと起きると、シャワー(あるのよ!これが)を浴びて用意されたワンピースに袖を通し、教えられたとおりに、昨日連れてこられた居間の右隣の部屋を訪れた。

「おはようございます、サクラ様」

「おはようございます。リアン様。あれ?ハルト様は・・・」

「陛下は身支度を終えられましたらお見えになります。どうぞ、こちらへ」

 うーん、リアン様は朝から一分の隙もないわ。というか、この世界の人って男の人でも所作が綺麗だよね。

「ここって何の部屋なんですか?」

「元々は会議室みたいなものです。今日から、こちらでお食事を取るようにしたいと思いますが、いかがですか?」

「あ、そうですね、このくらいの大きさなら1人でさえなければ寂しくないんじゃないでしょうか」

 ここでも十分広いけど、まさか魔王城に四畳半一間の部屋があるわけもないし、この辺りが妥協点のような気がする。

「1人では寂しいと?」

「広さは、まぁお城ですし、これ以上狭い部屋もないでしょうからあれですけど、ご飯って1人で食べると味気ないものなんですよ。ハルト様はあまり食事に興味が無さそうだし、余計に味気ないと思います」

「そういうものですか?」

 うーん。日本での考え方を押し付けてるのかな?確かに貴族の人たちってワイワイガヤガヤ食事するイメージじゃないかも。

 だけど、ワイワイガヤガヤ食べた方が美味しいと思うけどなぁ。
 少なくとも、1人でさえなければもう少し食べるんじゃないかなぁ。

「陛下は孤高の存在ですから、我々が食事の席を共にするわけにはいきません。この城においでになる間、サクラ様がお食事を共にしていただけますか?」

「え、えっと・・・」

「陛下は食事マナーもキチンとされています。サクラ様にとってもお勉強になると思われますよ」

「・・・はい」

 だめだぁ。リアン様に反論できる気がしない。笑顔なんだけど、あの、笑顔の威圧感ハンパないわ。

 食事時間も、マナーの勉強かぁ。
そりゃ、この世界にいるなら必要なことなんだろうけど、ご飯は普通に気楽に美味しく食べたいなぁ。

 そんなことを思いながら、チラッとリアン様を見ると、にーっこりと微笑われた。
あ。駄目だ。これ、考え見透かされてるやつだわ。威圧感が増したもの。

 リアン様に気づかれないように(絶対気づかれてるけど)小さくため息を吐くと、ハルト様を待つことにした。
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