聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな

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聖女とはなんぞやと説明されました

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「それでは、聖女についてご説明いたしましょう」

 場所を居間?みたいなところに移して、リアン様が話し始めた。
 向かい側の1人がけのソファーにハルト様、2人がけのソファーに私が座る。リアン様はハルト様の斜め後ろに立っている。座らないのかな?

「座らないのですか?」

「側近が上司とお客人のいるところに一緒に座るものでは・・・」

「座れ、リアン。サクラが気にするだろう」

「・・・かしこまりました。では、そのように」

 リアン様は1人がけのソファーをずらして、ハルト様の斜め横あたりに座る。なんか悪いこと言ったかな。
 でも、やっぱり立っていていいですとも言えないし。

「では、改めまして、ご説明をいたします。聖女とは、簡潔に申し上げますと魔王を滅ぼせる存在です」

「は?」

 え?今、魔王を滅ぼせるって言った?いや、確かにアニメや乙女ゲームでもそれっぽい存在だけど、ええ?
 ちょっと待って。自分を滅ぼせる存在をハルト様は連れ帰ったってこと?
 それって、私を殺すとかじゃ・・・

「何を考えているか分かりますが、違いますよ」

 リアン様の言葉に、ハッとして顔を上げる。不安が顔に出ていたようだ。

「確かにサクラ様がお力を満たせば、魔王陛下を滅ぼせるようになります。聖女として訓練し、力を使いこなせるようにならなければなりません」

「訓練ですか?」

「ええ。ここ魔王城でも出来ますから、後で指導員をご紹介します」

「ちょ、ちょっと待ってください。魔王陛下を滅ぼせる力を使いこなすための訓練をここでって、おかしいですよ!」

 自分や自分の主君を滅ぼせる力を使いこなせるようにさせるって、おかしいでしょ。え?おかしくないの?私がおかしいの?

「まぁ、サクラ様が陛下を滅ぼそうというのなら、私も配下のものも抵抗させていただきますが。聖女といえど、万能ではありません。魔王陛下が万能でないのと同じように」

「なら、訓練なんかしなくても」

「いえ。聖女として確立することはサクラ様自身の身を守ることでもあります。あの馬鹿王子は、いずれ貴女を狙ってきます。貴女が生きている限り聖女は召喚できませんから」

 はぁ?ちんちくりんだと捨てておいて、挙句に命を狙ってくるっていうの?
 なんなの?あの王子。確かに見た目は良かったけど、性格最悪じゃない!
 ん?ちょっと待って。私、もしかしてハルト様に保護されたの?聖女がいないと魔王を倒せないっていうなら、あの馬鹿王子もここには攻めて来れないってことよね?

 チラリと視線を向けると、リアン様はその通りだとうなづいた。
 何だか考えてること筒抜けみたいな気がするけど、まぁ、魔族というか他種族相手に考えても仕方ないわよね。
 私は諦めると、リアン様に向かって頭を下げた。

「それじゃあ、お世話になります」

 
 
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