聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな

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食べるということは大切だと思う

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「さて、食事にしようか」

 連れてこられたのは食堂みたいなところだったんだけど・・・無駄に広い。
 いや、これ何人で食べるの?以前テレビで見た魔法学校ものの全校生徒が食事してたところくらいあるけど。

 こんなとこで、1人でご飯食べてて美味しいかなぁ。チラリと魔王を見ると、不思議そうにこちらを見ていた。

「どうした?何か食べれないものでもあるか?心配しなくても毒は入ってないし、人間が食べれるものばかりだが」

「そんな心配はしてないです」

「そうか?なら、食べろ。このチキンとか美味しいぞ?」

 私に食べさせるためか、魔王は綺麗な所作でチキンを口に運ぶ。あー。やっぱりこういう人たちって食べるのも品があるよね。魔王陛下って呼ばれてたし、位の高い人って食べるのも綺麗。

 お箸ないよね。ナイフとフォークかぁ。テーブルマナーなんてわかんないんだけど。

「聖女様?」

「ごめんなさい。テーブルマナーわからなくて」

「ああ。すみません。ナイフとフォークは外側からお使い下さい。音は立てないように」

 側近のリアンさんが丁寧に教えてくれる。私は一番外側のナイフとフォークを手に取った。

「本来なら前菜などが出るのですが、陛下がお食べにならないので。メイン料理もスープも全て並んでいます。本来は前菜、スープ、魚介のメイン、肉のメインという順に出てきます」

「食べたいものだけ食べたいように食べればいいだろう」

「陛下!陛下は聖女様が馬鹿にされても構わないと?」

「いや・・・」

 リアンさんにジロリと睨まれ、魔王はまた自分の皿に視線を戻してる。でも、魔王はきっと私のことを気遣って言ってくれたんだと思う。

「魔王・・・様、気遣ってくれてありがとうございます」

「いや。馬鹿にされていいとは思っていない。リアンに教わるといい」

「はい」

 素直に頷く。すぐには帰れないのなら、色々知っていかなければならない。

「しかし、今日は、珍しくお食べになりましたね」

 リアンさんの言葉に首を傾げていると、リアンさんが苦笑混じりに教えてくれた。

「陛下はあまり食事に重きをおかない方なのです。今日は聖女様がいてくださったので、いつもよりお食べになって下さいました」

「あの・・・」

「どうかなさいましたか?」

「こんなだだっ広いところで1人でご飯食べても、美味しくないと思います」

 たくさんの人とワイワイ食べるのは美味しいと思うけど、普段はこじんまりと落ち着いて食べた方が美味しく食べれると思う。

「そういうものなのですか?まぁ、確かに城は広いですが、この世界では広い場所での食事は普通なのですが」

「席が埋まるならいいと思いますけど。ガラガラのところでポツンと食べても、私は美味しいとは思えないです」

「なるほど。では、明日から他の部屋でお食事をとれるようにしましょう。聖女様もご一緒をお願いします」

 余計なことを言ったかな?でも、食べるのって大事だと思う。美味しいご飯を美味しく食べるのって、生きてく上で大切なことだよね。


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