聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな

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魔王城に連れて来られました

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「陛下、お帰りなさいませ。また何を拾われて・・・おや?聖女を拾われたのですか?」

 頭を下げていた白髪の青年が、私を見て目を丸くされている。
 魔族・・・よね?というか、私聖女なの?一目見て分かるものなの?あの王子、全然分かんなかったわよ?

 というか、拾うって。私、犬や猫じゃないんだけど。

「ああ。あの馬鹿が捨てたのだ」

「ほう?聖女を召喚しておいて捨てるとは、面白いことをなさいますね」

「ちんちくりんだと言われて捨てられたそうだ」

 魔王!楽しそうに言わないで!ちっとも楽しくなんかないわよ。

「どこがちんちくりんなのです?」

「髪を束ねて、分厚い眼鏡をかけていた。その偽りの姿に騙されたのだろう」

「なるほど。相変わらず、愚かな方ですね」

 妙に納得したように、白髪の魔族の人は笑いました。愚か。確かに、あの王子お馬鹿っぽかったわ。

「それで、聖女様のお名前は?」

「ああ。そういえば聞いてないな」

「陛下・・・もしや名乗ってもいないのですか?」

「うん?いや、魔王とは言ったぞ?」

 ええ。確かに魔王とは聞いたわ。それより、なんだか魔王がタジタジなんだけど?なに?あの魔族さん、魔王より強いの?

「全く。連れ帰るなら、名乗るくらいして下さい。聖女様、こちらは魔王陛下のハルト・アクアツィード様です。私は、魔王陛下の側近のリアンと申します」

「ご丁寧にどうも。私は、星野桜です」

「ホシノサクラ様ですか。どうも召喚される聖女様は変わったお名前の方が多いですね」

 それは仕方ないと思う。ヨーロッパあたりの人なら違和感ないかもだけど。

「サクラでいいです。星野は家名なんで。それであの、魔王様にも言ったんですけど、返還の指輪を貸して欲しいんです。私、元の世界に戻りたいんですけど」

「元の世界ですか。ですが、召喚の儀をされると、またこちらに来ることになりますよ」

「僕もそう言っただろう?」

「聞きましたけど。他の人とかが召喚されたりしないんですか?」

「無理ですね。サクラ様がお亡くなりになれば新しい聖女が誕生しますが」

 何それ?私が死なない限り、召喚の儀をされたらこっちに来ることになるってこと?

 大体、聖女ってなんなの?なんで、私がそんなのにならなきゃならないの?
 私、関係ないんだけど!魔王も聖女も王子も勝手にやっててよ!私を巻き込まないで!

「まぁ、説明してやるが、今日は疲れただろう?リアン。風呂に案内してやれ」

「そうですね。お着替えも用意しましょう。メイドを呼びますので、少々お待ちください」

 その後ー
メイドさんにお風呂へ連れて行かれ、3人かがりで髪やら背中やら、磨かれた。
 銭湯とか行ってたから、知らない人に裸見られてもアレだけど、洗われるのは恥ずかしかったわ。

 用意されていた着替えは、くるぶし丈のオレンジ色のワンピースだった。良かった。ドレスとか出されても着こなせない。

 私はメイドさんに連れられて、再び魔王様のところへ戻ることとなったー




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