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ラスボス魔王の悪役令嬢〜最終話〜
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「見た?カイル。お兄様ってば鼻の下を伸ばしちゃって!」
ロイドとラーナの結婚式。
正式にレーチェル王女の婚約者となったクリストフお兄様は、結婚するロイドたちよりも嬉しそうな幸せそうな表情をしていた。
亡くなった幼馴染にレーチェル王女を重ねてるのではとずっと心配してたけど、どうやら杞憂に終わりそう。
ラーナは五年間、必死で高位貴族の淑女教育、王太子妃教育を頑張って、何とか王妃様から合格点を貰った。
王太子妃となると、他国の貴族との交流もあるので、言語だけでも多く覚えなければならない。
幸いにも、アザリウム王国とマハール王国の言葉は、私とヒルデがいるから前もって覚えれていたけど。
それだけの努力と覚悟を持って頑張ったラーナは、ピンと背を伸ばしてロイドの隣に立っている。
「もう王太子妃殿下って呼ばなくちゃですね」
ヒルデが、ウエディングドレス姿のラーナを見つめながら呟いた。
ヒルデとサリフィルは、去年結婚した。
サリフィルが学園を卒業する直前に、ヒルデの妊娠が発覚して、慌てて式を挙げたのだ。
弟のストラル・ホリック公爵が苦笑いをしてたけど、平民の場合はそのあたりの体裁は気にしないから、サリフィルは式の直前に公爵家から籍を抜いた。
まぁそれでも、ヒルデの父親ベリル男爵には、一発くらったみたいだけど。
自業自得なので、同情しない。
レオナルドは、フローレンス様と少しずつ交流していると聞いた。
まぁ二人が結婚できるまで、まだ折り返し地点だ。
ゆっくりとお互いを思い合って欲しいと思う。
リリーシアお姉様は、辺境伯のご子息と結婚された。
オズワルドの両親には知らせたくなかったので、国王陛下たちが親代わりとして結婚の許可を出してくれた。
記憶は結局戻ってないと聞いた。
何となくだけど、完全ではなくても思い出してるのでは?と私は思ったりする。
上手くいえないけど、記憶を失っていた時と眼が違う・・・気がするのだ。
もしかしたら私と同じように、リリーシアもオズワルドの両親から逃げたかったのかもしれない。
私自身も、セニヨン公爵家に逃げて幸せを見つけた。
なら、リリーシアも逃げた先の辺境伯で幸せを見つけたって良いと思う。
「幸せそうでいいじゃないか。なぁ?アイリス」
「あぅ」
「もう!貴方だってアイリスに恋人が出来たら、そんなこと言ってられないわよ」
娘アイリスを抱いたカイルにそう言うと、カイルは苦笑いをしている。
まだまだ先のことだと思ってたら、すぐに好きな子ができたりするわよ。
そう続けた私を、カイルはアイリスを抱いていない手で抱き寄せた。
「ローズと結婚できて、可愛い娘も授かって、こんなに幸せなんだ。だから、アイリスを幸せにしてくれる男が現れたら、ちゃんと祝福するよ」
交際始めてしばらくは、侍従としての口調が取れなかったカイルも、結婚する頃には普通の恋人のように話すようになった。
あの日。
魔王になる運命を避けるために、一歩踏み出して良かった。
聖女になったけど、勇者を選ばなかったことでヒロインになることもなく、ただの伯爵夫人として幸せを手に入れた。
もう、攻略ゲームに怯えることはない。
*****fin*****
ロイドとラーナの結婚式。
正式にレーチェル王女の婚約者となったクリストフお兄様は、結婚するロイドたちよりも嬉しそうな幸せそうな表情をしていた。
亡くなった幼馴染にレーチェル王女を重ねてるのではとずっと心配してたけど、どうやら杞憂に終わりそう。
ラーナは五年間、必死で高位貴族の淑女教育、王太子妃教育を頑張って、何とか王妃様から合格点を貰った。
王太子妃となると、他国の貴族との交流もあるので、言語だけでも多く覚えなければならない。
幸いにも、アザリウム王国とマハール王国の言葉は、私とヒルデがいるから前もって覚えれていたけど。
それだけの努力と覚悟を持って頑張ったラーナは、ピンと背を伸ばしてロイドの隣に立っている。
「もう王太子妃殿下って呼ばなくちゃですね」
ヒルデが、ウエディングドレス姿のラーナを見つめながら呟いた。
ヒルデとサリフィルは、去年結婚した。
サリフィルが学園を卒業する直前に、ヒルデの妊娠が発覚して、慌てて式を挙げたのだ。
弟のストラル・ホリック公爵が苦笑いをしてたけど、平民の場合はそのあたりの体裁は気にしないから、サリフィルは式の直前に公爵家から籍を抜いた。
まぁそれでも、ヒルデの父親ベリル男爵には、一発くらったみたいだけど。
自業自得なので、同情しない。
レオナルドは、フローレンス様と少しずつ交流していると聞いた。
まぁ二人が結婚できるまで、まだ折り返し地点だ。
ゆっくりとお互いを思い合って欲しいと思う。
リリーシアお姉様は、辺境伯のご子息と結婚された。
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記憶は結局戻ってないと聞いた。
何となくだけど、完全ではなくても思い出してるのでは?と私は思ったりする。
上手くいえないけど、記憶を失っていた時と眼が違う・・・気がするのだ。
もしかしたら私と同じように、リリーシアもオズワルドの両親から逃げたかったのかもしれない。
私自身も、セニヨン公爵家に逃げて幸せを見つけた。
なら、リリーシアも逃げた先の辺境伯で幸せを見つけたって良いと思う。
「幸せそうでいいじゃないか。なぁ?アイリス」
「あぅ」
「もう!貴方だってアイリスに恋人が出来たら、そんなこと言ってられないわよ」
娘アイリスを抱いたカイルにそう言うと、カイルは苦笑いをしている。
まだまだ先のことだと思ってたら、すぐに好きな子ができたりするわよ。
そう続けた私を、カイルはアイリスを抱いていない手で抱き寄せた。
「ローズと結婚できて、可愛い娘も授かって、こんなに幸せなんだ。だから、アイリスを幸せにしてくれる男が現れたら、ちゃんと祝福するよ」
交際始めてしばらくは、侍従としての口調が取れなかったカイルも、結婚する頃には普通の恋人のように話すようになった。
あの日。
魔王になる運命を避けるために、一歩踏み出して良かった。
聖女になったけど、勇者を選ばなかったことでヒロインになることもなく、ただの伯爵夫人として幸せを手に入れた。
もう、攻略ゲームに怯えることはない。
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