107 / 107
ラスボス魔王の悪役令嬢〜最終話〜
しおりを挟む
「見た?カイル。お兄様ってば鼻の下を伸ばしちゃって!」
ロイドとラーナの結婚式。
正式にレーチェル王女の婚約者となったクリストフお兄様は、結婚するロイドたちよりも嬉しそうな幸せそうな表情をしていた。
亡くなった幼馴染にレーチェル王女を重ねてるのではとずっと心配してたけど、どうやら杞憂に終わりそう。
ラーナは五年間、必死で高位貴族の淑女教育、王太子妃教育を頑張って、何とか王妃様から合格点を貰った。
王太子妃となると、他国の貴族との交流もあるので、言語だけでも多く覚えなければならない。
幸いにも、アザリウム王国とマハール王国の言葉は、私とヒルデがいるから前もって覚えれていたけど。
それだけの努力と覚悟を持って頑張ったラーナは、ピンと背を伸ばしてロイドの隣に立っている。
「もう王太子妃殿下って呼ばなくちゃですね」
ヒルデが、ウエディングドレス姿のラーナを見つめながら呟いた。
ヒルデとサリフィルは、去年結婚した。
サリフィルが学園を卒業する直前に、ヒルデの妊娠が発覚して、慌てて式を挙げたのだ。
弟のストラル・ホリック公爵が苦笑いをしてたけど、平民の場合はそのあたりの体裁は気にしないから、サリフィルは式の直前に公爵家から籍を抜いた。
まぁそれでも、ヒルデの父親ベリル男爵には、一発くらったみたいだけど。
自業自得なので、同情しない。
レオナルドは、フローレンス様と少しずつ交流していると聞いた。
まぁ二人が結婚できるまで、まだ折り返し地点だ。
ゆっくりとお互いを思い合って欲しいと思う。
リリーシアお姉様は、辺境伯のご子息と結婚された。
オズワルドの両親には知らせたくなかったので、国王陛下たちが親代わりとして結婚の許可を出してくれた。
記憶は結局戻ってないと聞いた。
何となくだけど、完全ではなくても思い出してるのでは?と私は思ったりする。
上手くいえないけど、記憶を失っていた時と眼が違う・・・気がするのだ。
もしかしたら私と同じように、リリーシアもオズワルドの両親から逃げたかったのかもしれない。
私自身も、セニヨン公爵家に逃げて幸せを見つけた。
なら、リリーシアも逃げた先の辺境伯で幸せを見つけたって良いと思う。
「幸せそうでいいじゃないか。なぁ?アイリス」
「あぅ」
「もう!貴方だってアイリスに恋人が出来たら、そんなこと言ってられないわよ」
娘アイリスを抱いたカイルにそう言うと、カイルは苦笑いをしている。
まだまだ先のことだと思ってたら、すぐに好きな子ができたりするわよ。
そう続けた私を、カイルはアイリスを抱いていない手で抱き寄せた。
「ローズと結婚できて、可愛い娘も授かって、こんなに幸せなんだ。だから、アイリスを幸せにしてくれる男が現れたら、ちゃんと祝福するよ」
交際始めてしばらくは、侍従としての口調が取れなかったカイルも、結婚する頃には普通の恋人のように話すようになった。
あの日。
魔王になる運命を避けるために、一歩踏み出して良かった。
聖女になったけど、勇者を選ばなかったことでヒロインになることもなく、ただの伯爵夫人として幸せを手に入れた。
もう、攻略ゲームに怯えることはない。
*****fin*****
ロイドとラーナの結婚式。
正式にレーチェル王女の婚約者となったクリストフお兄様は、結婚するロイドたちよりも嬉しそうな幸せそうな表情をしていた。
亡くなった幼馴染にレーチェル王女を重ねてるのではとずっと心配してたけど、どうやら杞憂に終わりそう。
ラーナは五年間、必死で高位貴族の淑女教育、王太子妃教育を頑張って、何とか王妃様から合格点を貰った。
王太子妃となると、他国の貴族との交流もあるので、言語だけでも多く覚えなければならない。
幸いにも、アザリウム王国とマハール王国の言葉は、私とヒルデがいるから前もって覚えれていたけど。
それだけの努力と覚悟を持って頑張ったラーナは、ピンと背を伸ばしてロイドの隣に立っている。
「もう王太子妃殿下って呼ばなくちゃですね」
ヒルデが、ウエディングドレス姿のラーナを見つめながら呟いた。
ヒルデとサリフィルは、去年結婚した。
サリフィルが学園を卒業する直前に、ヒルデの妊娠が発覚して、慌てて式を挙げたのだ。
弟のストラル・ホリック公爵が苦笑いをしてたけど、平民の場合はそのあたりの体裁は気にしないから、サリフィルは式の直前に公爵家から籍を抜いた。
まぁそれでも、ヒルデの父親ベリル男爵には、一発くらったみたいだけど。
自業自得なので、同情しない。
レオナルドは、フローレンス様と少しずつ交流していると聞いた。
まぁ二人が結婚できるまで、まだ折り返し地点だ。
ゆっくりとお互いを思い合って欲しいと思う。
リリーシアお姉様は、辺境伯のご子息と結婚された。
オズワルドの両親には知らせたくなかったので、国王陛下たちが親代わりとして結婚の許可を出してくれた。
記憶は結局戻ってないと聞いた。
何となくだけど、完全ではなくても思い出してるのでは?と私は思ったりする。
上手くいえないけど、記憶を失っていた時と眼が違う・・・気がするのだ。
もしかしたら私と同じように、リリーシアもオズワルドの両親から逃げたかったのかもしれない。
私自身も、セニヨン公爵家に逃げて幸せを見つけた。
なら、リリーシアも逃げた先の辺境伯で幸せを見つけたって良いと思う。
「幸せそうでいいじゃないか。なぁ?アイリス」
「あぅ」
「もう!貴方だってアイリスに恋人が出来たら、そんなこと言ってられないわよ」
娘アイリスを抱いたカイルにそう言うと、カイルは苦笑いをしている。
まだまだ先のことだと思ってたら、すぐに好きな子ができたりするわよ。
そう続けた私を、カイルはアイリスを抱いていない手で抱き寄せた。
「ローズと結婚できて、可愛い娘も授かって、こんなに幸せなんだ。だから、アイリスを幸せにしてくれる男が現れたら、ちゃんと祝福するよ」
交際始めてしばらくは、侍従としての口調が取れなかったカイルも、結婚する頃には普通の恋人のように話すようになった。
あの日。
魔王になる運命を避けるために、一歩踏み出して良かった。
聖女になったけど、勇者を選ばなかったことでヒロインになることもなく、ただの伯爵夫人として幸せを手に入れた。
もう、攻略ゲームに怯えることはない。
*****fin*****
76
お気に入りに追加
415
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(81件)
あなたにおすすめの小説
「好き」の距離
饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。
伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。
以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。
転生できる悪役令嬢に転生しました。~執着婚約者から逃げられません!
九重
恋愛
気がつけば、とある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた主人公。
しかし、この悪役令嬢は十五歳で死んでしまう不治の病にかかった薄幸な悪役令嬢だった。
ヒロインをいじめ抜いたあげく婚約者に断罪され、心身ともに苦しみ抜いて死んでしまう悪役令嬢は、転生して再び悪役令嬢――――いや悪役幼女として活躍する。
しかし、主人公はそんなことまっぴらゴメンだった。
どうせ転生できるならと、早々に最初の悪役令嬢の人生から逃げだそうとするのだが……
これは、転生できる悪役令嬢に転生した主人公が、執着婚約者に捕まって幸せになる物語。
未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~
キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。
その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。
絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。
今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。
それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!?
※カクヨムにも掲載中の作品です。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢ですが、どうやらずっと好きだったみたいです
朝顔
恋愛
リナリアは前世の記憶を思い出して、頭を悩ませた。
この世界が自分の遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気がついたのだ。
そして、自分はどうやら主人公をいじめて、嫉妬に狂って殺そうとまでする悪役令嬢に転生してしまった。
せっかく生まれ変わった人生で断罪されるなんて絶対嫌。
どうにかして攻略対象である王子から逃げたいけど、なぜだか懐つかれてしまって……。
悪役令嬢の王道?の話を書いてみたくてチャレンジしました。
ざまぁはなく、溺愛甘々なお話です。
なろうにも同時投稿
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
【完結】あの子の代わり
野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、
婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。
ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。
18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、
キャリーヌにいないからという理由だったが、
今回は両親も断ることが出来なかった。
この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
タチアナ夫人……間違えた。
バッカス侯爵夫人と彼女の実家はどうなった?
あと、バカやらかしたクズの実家の伯爵家は?
ロイドが王太子になる時に、お取り潰しですね。ゴミは綺麗に片付けとかないと。
完結おめでとう㊗️御座います!
もうカラクリわかったからゲームも始まらない。(⁎˃ᴗ˂⁎)
後は皆幸せになるだけだよね!٩(ˊᗜˋ*)و
最後までお付き合いありがとうございます😊
タチアナが入る修道院の皆さんに同情する😑
確かに。我儘そう。