103 / 107
貴方に魔王になる資格はない
しおりを挟む
「アザリウム王家に連なる者に聖女と勇者、そして魔王が生まれるのには理由がありました。その血の濃さが原因です」
このことに関しては、すでに国王陛下と王妃様、そしてオズワルド公爵家を除く四公爵家の当主、それからお祖母様とフローレンス様にお話してある。
国王陛下はもちろんご存知だったことなのだけど、それが全て悪い結果を招くわけではないから、対策するつもりはなかったみたい。
実際、王族はほとんどが勇者になったみたいだから、必要性がなかったのかも。
血の濃さによる呪いみたいなもの、だと私は認識した。
王家と公爵家五家の中で婚姻が行われるのだから、無理はないと思う。
血が濃くなりすぎると、聖女が覚醒するらしい。
聖女に選ばれるのは、その濃い血筋の中で真実の愛を得た者。
当代だと、本当はリリーシアになる予定だった。
真実の愛を知った聖女が、その愛の相手の勇者と共に魔王を倒す。
魔王になるのは、愛を失った者。
黒髪黒目で生まれたせいで両親からの愛を得ることができず、心の支えだった姉と婚約者に裏切られて、愛を失った魔王。
それが正しい筋書きだった。
だけど私という記憶が、オズワルドの両親をいらないとこちらから切り捨て、姉にも婚約者にも心を傾けなかった。
結果。
本来ならレオナルドを愛するはずのリリーシアが、レオナルドを拒否した。
レオナルドは真実の愛の相手ではなく、私に執着した。
そして私はセニヨンの家で愛情を知り、愛する人と想いを交わすことができた。
カイルと恋人になったことで、魔王になるはずの私が聖女となったのだ。
勇者は聖女の真実の愛の相手、つまりはカイル。
ならば、誰が魔王になるかとなると・・・
レオナルドではないと私は思う。
可能性がないわけではなかったから、国王陛下も大事な息子が魔王となって勇者に討たれるのを避けたかったから私の話を聞いてくれたけど、そうでなかったらたかが公爵令嬢に見せてはくれなかったと思う。
魔王になるのは、愛を失った者。
それだけ見れば、レオナルドが魔王になるのかもと思える。
私もレオナルドが転生者でなければ、レオナルドが魔王になったと思う。
だけど、転生者の意識が表面に出ている今、それはあり得ない。
だって目の前のレオナルドは、リリーシアのことも私のことも愛していない。
誰も愛していないのに、愛を失うなんてことにはならない。
「貴方に魔王になる資格はないんです」
私の言葉に、レオナルドは目を見開いた。
このことに関しては、すでに国王陛下と王妃様、そしてオズワルド公爵家を除く四公爵家の当主、それからお祖母様とフローレンス様にお話してある。
国王陛下はもちろんご存知だったことなのだけど、それが全て悪い結果を招くわけではないから、対策するつもりはなかったみたい。
実際、王族はほとんどが勇者になったみたいだから、必要性がなかったのかも。
血の濃さによる呪いみたいなもの、だと私は認識した。
王家と公爵家五家の中で婚姻が行われるのだから、無理はないと思う。
血が濃くなりすぎると、聖女が覚醒するらしい。
聖女に選ばれるのは、その濃い血筋の中で真実の愛を得た者。
当代だと、本当はリリーシアになる予定だった。
真実の愛を知った聖女が、その愛の相手の勇者と共に魔王を倒す。
魔王になるのは、愛を失った者。
黒髪黒目で生まれたせいで両親からの愛を得ることができず、心の支えだった姉と婚約者に裏切られて、愛を失った魔王。
それが正しい筋書きだった。
だけど私という記憶が、オズワルドの両親をいらないとこちらから切り捨て、姉にも婚約者にも心を傾けなかった。
結果。
本来ならレオナルドを愛するはずのリリーシアが、レオナルドを拒否した。
レオナルドは真実の愛の相手ではなく、私に執着した。
そして私はセニヨンの家で愛情を知り、愛する人と想いを交わすことができた。
カイルと恋人になったことで、魔王になるはずの私が聖女となったのだ。
勇者は聖女の真実の愛の相手、つまりはカイル。
ならば、誰が魔王になるかとなると・・・
レオナルドではないと私は思う。
可能性がないわけではなかったから、国王陛下も大事な息子が魔王となって勇者に討たれるのを避けたかったから私の話を聞いてくれたけど、そうでなかったらたかが公爵令嬢に見せてはくれなかったと思う。
魔王になるのは、愛を失った者。
それだけ見れば、レオナルドが魔王になるのかもと思える。
私もレオナルドが転生者でなければ、レオナルドが魔王になったと思う。
だけど、転生者の意識が表面に出ている今、それはあり得ない。
だって目の前のレオナルドは、リリーシアのことも私のことも愛していない。
誰も愛していないのに、愛を失うなんてことにはならない。
「貴方に魔王になる資格はないんです」
私の言葉に、レオナルドは目を見開いた。
49
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる