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神託
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「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶叫に、床が揺れているような気すらする。
何が起きてるのかわからないのに、どこか何が起こるのか理解る気がした。
「下がって、ローズマリア」
王妃様も、動揺してるのだろう。
さっきまではセニヨン伯爵令嬢と呼んでいたのに、私を名前で呼んでいる。
それでも王妃らしく、そしてレオナルドの母として、毅然とした態度だった。
護衛騎士たちは、私たちを守るようにレオナルドとの間に立ち塞がり、私たちを部屋から出せるように誘導している。
「何故だっ!ローズマリア!誰からも愛されていないお前は、婚約者のレオナルドとリリーシアを心の拠り所にしているはずだろう?それが正しいストーリーなんだ!」
「何を言っているのっ?レオナルド!」
「そうだ・・・お前がオズワルド公爵家からセニヨンに養女に出たりするから!だから、リリーシアが聖女にならない!だから、僕が勇者になれないっ!」
「レオナルドっ!」
王妃様はわけのわからないことを口にするレオナルドに、危険だと分かっているのに、近づこうとして護衛たちに止められている。
だけど、私には・・・
レオナルドの言っている意味がわかる。
彼は・・・彼は、私と同じ転生者。
自分が勇者となるレオナルドに転生したと気付いて、私と婚約しようとした。
あの執着も理解できる。
だって私と婚約しなければ、攻略ゲーム通りに話が進まないから。
何だか理由がわかって、逆に私はホッとしたくらいだ。
「私が、レオナルド殿下と婚約したとしても、私は殿下に依存したりしませんよ。もちろん、リリーシアお姉様にも。確かにオズワルドの両親は、私をいないものとして扱っていましたが、今の私にはセニヨンの家族も、手を差し伸べてくれる友人も、それから大切な人もいます。だから、絶望することもないし、魔王になることもありません」
「魔王?何を言っているの?だって貴女は・・・」
「王妃様は、どうしてお分かりなんですか?」
「私のお母様は聖女だったの。だから、聖女伝説については他の誰よりも良く知っているわ。勇者と聖女の娘だったから、当時の第一王子殿下だった陛下との婚約が成されたの。私にはわからないけど、お母様から新たな神託が下されたと。聖女が現れたとお聞きしたわ。それがローズマリアなんでしょう?容姿は似てないのに、どこかお母様と同じ雰囲気を感じるの」
え?そんなにしょっちゅう、聖女って現れてるの?
私にすると、そっちの方が驚愕だわ。
絶叫に、床が揺れているような気すらする。
何が起きてるのかわからないのに、どこか何が起こるのか理解る気がした。
「下がって、ローズマリア」
王妃様も、動揺してるのだろう。
さっきまではセニヨン伯爵令嬢と呼んでいたのに、私を名前で呼んでいる。
それでも王妃らしく、そしてレオナルドの母として、毅然とした態度だった。
護衛騎士たちは、私たちを守るようにレオナルドとの間に立ち塞がり、私たちを部屋から出せるように誘導している。
「何故だっ!ローズマリア!誰からも愛されていないお前は、婚約者のレオナルドとリリーシアを心の拠り所にしているはずだろう?それが正しいストーリーなんだ!」
「何を言っているのっ?レオナルド!」
「そうだ・・・お前がオズワルド公爵家からセニヨンに養女に出たりするから!だから、リリーシアが聖女にならない!だから、僕が勇者になれないっ!」
「レオナルドっ!」
王妃様はわけのわからないことを口にするレオナルドに、危険だと分かっているのに、近づこうとして護衛たちに止められている。
だけど、私には・・・
レオナルドの言っている意味がわかる。
彼は・・・彼は、私と同じ転生者。
自分が勇者となるレオナルドに転生したと気付いて、私と婚約しようとした。
あの執着も理解できる。
だって私と婚約しなければ、攻略ゲーム通りに話が進まないから。
何だか理由がわかって、逆に私はホッとしたくらいだ。
「私が、レオナルド殿下と婚約したとしても、私は殿下に依存したりしませんよ。もちろん、リリーシアお姉様にも。確かにオズワルドの両親は、私をいないものとして扱っていましたが、今の私にはセニヨンの家族も、手を差し伸べてくれる友人も、それから大切な人もいます。だから、絶望することもないし、魔王になることもありません」
「魔王?何を言っているの?だって貴女は・・・」
「王妃様は、どうしてお分かりなんですか?」
「私のお母様は聖女だったの。だから、聖女伝説については他の誰よりも良く知っているわ。勇者と聖女の娘だったから、当時の第一王子殿下だった陛下との婚約が成されたの。私にはわからないけど、お母様から新たな神託が下されたと。聖女が現れたとお聞きしたわ。それがローズマリアなんでしょう?容姿は似てないのに、どこかお母様と同じ雰囲気を感じるの」
え?そんなにしょっちゅう、聖女って現れてるの?
私にすると、そっちの方が驚愕だわ。
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