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ちょっと待って
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「カイル、好き・・・」
思わず言ってしまった言葉に、私自身が固まった。
確かに好意的に思っていたし、何なら告白しようかとも迷っていたわ。
でも、この気持ちが恋愛的なものか分からなくて躊躇っていたのに、思わず出た言葉が「好き」だなんて。
「待って。ちょっと待って。違うの。いえ、違わないけど、えと・・・」
「ローズマリア様、落ち着いて下さい。大丈夫です。俺は勘違いしたりしてませんから」
カイルの言葉に再び固まる。
勘違い?勘違いって、なに?
「勘違いってなに?私がカイルを好きって言っても自惚れてもくれないってこと?俺は主従関係の信頼だって理解ってますよって?」
違う。こんなことを言いたいんじゃない。
だって、私自身が気持ちをはっきり理解していないのに。
カイルは、私が困らないように言ってくれているだけなのに。
だけど、少しくらい照れてくれても良いじゃない。
好きって言ったのに、全然嬉しそうじゃない。
カイルにとって私は、やっぱり主人でしかないの・・・
気持ちが、風船が萎むように縮んでいく気がする。
俯いた私の手を、カイルはそっと握った。
剣ダコがあって、私より大きくてゴツゴツした手。
私を守って、ずっと支えてくれた手。
「ごめん。やな言い方した。カイルは私のこと、ずっと支えてくれてるのに」
私はカイルの気持ちを傷つけてまで、恋愛感情を持って欲しいわけじゃ・・・
ううん。
本当はきっと、好きになって欲しいんだ。
主人としてでなく、ひとりの女の子として。
でも私がそれを望んだら、カイルは無理をしてでもそれを叶えようとしてくれる。
それは、駄目。
これが恋だとしても、叶わなくてもちゃんといつか諦めることができるはずだから。
「ローズマリア様」
「ごめんね」
「もし・・・俺の勘違いだったなら、そうおっしゃって下さい。ローズマリア様、俺のことを、恋愛的な意味でお好きなのですか?」
そうよね。
あんな言い方したら気付くわよね。
「・・・あのね、さっきまでは恋愛的な意味かどうか自信がなかったの。カイルのことは信頼してるし、そばにいて欲しいって思うけど、それはヒルデ様やラーナ様が持っている気持ちと同じなのかなって。だけど、思わず言葉が出てしまって・・・そしたら、こうやって手に触れられるのも、その・・・だっ、抱きしめられるのもカイルが良いって。カイルじゃなきゃ嫌だって気付いたの。ごめんなさい」
「どうして謝るんですか?俺はこんなに嬉しいのに」
「え、嬉しい?」
「そこでなんで疑問符なんですか?好きな人に好きって言われたら、嬉しいに決まってるでしょう?」
え?好きな人?
え?ちょっと待って。
私はカイルを好きで・・・カイルも私を、好き?
思わず言ってしまった言葉に、私自身が固まった。
確かに好意的に思っていたし、何なら告白しようかとも迷っていたわ。
でも、この気持ちが恋愛的なものか分からなくて躊躇っていたのに、思わず出た言葉が「好き」だなんて。
「待って。ちょっと待って。違うの。いえ、違わないけど、えと・・・」
「ローズマリア様、落ち着いて下さい。大丈夫です。俺は勘違いしたりしてませんから」
カイルの言葉に再び固まる。
勘違い?勘違いって、なに?
「勘違いってなに?私がカイルを好きって言っても自惚れてもくれないってこと?俺は主従関係の信頼だって理解ってますよって?」
違う。こんなことを言いたいんじゃない。
だって、私自身が気持ちをはっきり理解していないのに。
カイルは、私が困らないように言ってくれているだけなのに。
だけど、少しくらい照れてくれても良いじゃない。
好きって言ったのに、全然嬉しそうじゃない。
カイルにとって私は、やっぱり主人でしかないの・・・
気持ちが、風船が萎むように縮んでいく気がする。
俯いた私の手を、カイルはそっと握った。
剣ダコがあって、私より大きくてゴツゴツした手。
私を守って、ずっと支えてくれた手。
「ごめん。やな言い方した。カイルは私のこと、ずっと支えてくれてるのに」
私はカイルの気持ちを傷つけてまで、恋愛感情を持って欲しいわけじゃ・・・
ううん。
本当はきっと、好きになって欲しいんだ。
主人としてでなく、ひとりの女の子として。
でも私がそれを望んだら、カイルは無理をしてでもそれを叶えようとしてくれる。
それは、駄目。
これが恋だとしても、叶わなくてもちゃんといつか諦めることができるはずだから。
「ローズマリア様」
「ごめんね」
「もし・・・俺の勘違いだったなら、そうおっしゃって下さい。ローズマリア様、俺のことを、恋愛的な意味でお好きなのですか?」
そうよね。
あんな言い方したら気付くわよね。
「・・・あのね、さっきまでは恋愛的な意味かどうか自信がなかったの。カイルのことは信頼してるし、そばにいて欲しいって思うけど、それはヒルデ様やラーナ様が持っている気持ちと同じなのかなって。だけど、思わず言葉が出てしまって・・・そしたら、こうやって手に触れられるのも、その・・・だっ、抱きしめられるのもカイルが良いって。カイルじゃなきゃ嫌だって気付いたの。ごめんなさい」
「どうして謝るんですか?俺はこんなに嬉しいのに」
「え、嬉しい?」
「そこでなんで疑問符なんですか?好きな人に好きって言われたら、嬉しいに決まってるでしょう?」
え?好きな人?
え?ちょっと待って。
私はカイルを好きで・・・カイルも私を、好き?
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