ラスボス魔王の悪役令嬢、モブを目指します?

みおな

文字の大きさ
上 下
92 / 107

私は自分に向き合う必要がある

しおりを挟む
 どうやらサリフィルの方も、予定の学園卒業を待たずに方がつきそうだ。

 ロイドも、タチアナの断罪の準備を万全に整え中らしい。

 ここに来て、私もいい加減自分のことに向き合わなければならないと思っている。

 いや、本当に理解してはいるのよ。
 いるんだけど、いざ恋愛に向き合おうと思うと、尻込みしちゃうというか。

 ゲームのこと以外、正確にいうと自分のことを全く覚えてないけど、前世の私って恋愛経験ないんじゃないかしら?

 だって、カイルのことは嫌いじゃないし、出来るならずっとそばにいて欲しいとは思うけど、この気持ちが恋愛とは限らないじゃない?

 単に信用に足る相手だから、かもしれないし。

 だから、ヒルデに聞いてみることにした。

 サリフィルのこと、いつどんなふうに好きだと思ったの?

「どんなふうに、と言われましても・・・」

 ヒルデは顔を赤くしながら、困ったように眉を下げた。

 それでも一応は主人の質問だからなのか、それとも私に恩を感じてくれているのか、答えてくれた。

「いつか、というと、多分初めて会ってから三ヶ月後ですね。私が父の店へお使いに行った時、酔っ払いに絡まれたんです。その時に助けてくれたのがサリフィル様の護衛の方でした。その時はお礼を言って別れたんですけど、十日後に再びお使いで行くとサリフィル様がお店にいらしていて・・・私に会いたいと思って毎日いらしてくれていたそうなんです。それで交際を申し込まれて。お断り、したんですよ?どう見ても高位貴族のご子息って感じでしたし。それでも三ヶ月毎日お店に通われて・・・私はお使いでしかお店に行かないのに、それでも偶然会えるだけでいいんだって言われて。絆されちゃったんです」

 サリフィルって、情熱的なのね。
家に会いに行ったり、会うことを強要したりしない。

 それでも、一目でも会いたい。

 情熱的過ぎて、参考にならないわ。

「ローズマリア様は、カイル様への気持ちで迷ってらっしゃるんですか?」

「・・・ええ。カイルがそばにいるのは、当たり前みたいな感じなのです。好きではあるんですけど、それが恋愛としての好きなのか自分でも判別がつかなくて」

「なんとなくわかります。家族みたいな感覚なのですよね。そのまま正直にお伝えしたらいいと思います」

「でも、そんな中途半端な気持ち、カイル嫌じゃないかしら」

 もし、カイルが私を想っていてくれたとしたら、そんな家族としての好きかもしれないみたいなの嫌って思わない?

「だって、わからないものをどうこう言っても仕方ないじゃないですか。交際すれば、どの好きか分かるかもしれませんし。カイル様の判断にお任せすれば良いと思います。中途半端な気持ちが嫌だったり、カイル様のお気持ちが恋愛的なものでないなら、そう言ってくれると思いますよ」

 
 
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?

秋月一花
恋愛
 本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。  ……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。  彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?  もう我慢の限界というものです。 「離婚してください」 「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」  白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?  あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。 ※カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...