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私は自分に向き合う必要がある
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どうやらサリフィルの方も、予定の学園卒業を待たずに方がつきそうだ。
ロイドも、タチアナの断罪の準備を万全に整え中らしい。
ここに来て、私もいい加減自分のことに向き合わなければならないと思っている。
いや、本当に理解してはいるのよ。
いるんだけど、いざ恋愛に向き合おうと思うと、尻込みしちゃうというか。
ゲームのこと以外、正確にいうと自分のことを全く覚えてないけど、前世の私って恋愛経験ないんじゃないかしら?
だって、カイルのことは嫌いじゃないし、出来るならずっとそばにいて欲しいとは思うけど、この気持ちが恋愛とは限らないじゃない?
単に信用に足る相手だから、かもしれないし。
だから、ヒルデに聞いてみることにした。
サリフィルのこと、いつどんなふうに好きだと思ったの?
「どんなふうに、と言われましても・・・」
ヒルデは顔を赤くしながら、困ったように眉を下げた。
それでも一応は主人の質問だからなのか、それとも私に恩を感じてくれているのか、答えてくれた。
「いつか、というと、多分初めて会ってから三ヶ月後ですね。私が父の店へお使いに行った時、酔っ払いに絡まれたんです。その時に助けてくれたのがサリフィル様の護衛の方でした。その時はお礼を言って別れたんですけど、十日後に再びお使いで行くとサリフィル様がお店にいらしていて・・・私に会いたいと思って毎日いらしてくれていたそうなんです。それで交際を申し込まれて。お断り、したんですよ?どう見ても高位貴族のご子息って感じでしたし。それでも三ヶ月毎日お店に通われて・・・私はお使いでしかお店に行かないのに、それでも偶然会えるだけでいいんだって言われて。絆されちゃったんです」
サリフィルって、情熱的なのね。
家に会いに行ったり、会うことを強要したりしない。
それでも、一目でも会いたい。
情熱的過ぎて、参考にならないわ。
「ローズマリア様は、カイル様への気持ちで迷ってらっしゃるんですか?」
「・・・ええ。カイルがそばにいるのは、当たり前みたいな感じなのです。好きではあるんですけど、それが恋愛としての好きなのか自分でも判別がつかなくて」
「なんとなくわかります。家族みたいな感覚なのですよね。そのまま正直にお伝えしたらいいと思います」
「でも、そんな中途半端な気持ち、カイル嫌じゃないかしら」
もし、カイルが私を想っていてくれたとしたら、そんな家族としての好きかもしれないみたいなの嫌って思わない?
「だって、わからないものをどうこう言っても仕方ないじゃないですか。交際すれば、どの好きか分かるかもしれませんし。カイル様の判断にお任せすれば良いと思います。中途半端な気持ちが嫌だったり、カイル様のお気持ちが恋愛的なものでないなら、そう言ってくれると思いますよ」
ロイドも、タチアナの断罪の準備を万全に整え中らしい。
ここに来て、私もいい加減自分のことに向き合わなければならないと思っている。
いや、本当に理解してはいるのよ。
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だって、カイルのことは嫌いじゃないし、出来るならずっとそばにいて欲しいとは思うけど、この気持ちが恋愛とは限らないじゃない?
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「でも、そんな中途半端な気持ち、カイル嫌じゃないかしら」
もし、カイルが私を想っていてくれたとしたら、そんな家族としての好きかもしれないみたいなの嫌って思わない?
「だって、わからないものをどうこう言っても仕方ないじゃないですか。交際すれば、どの好きか分かるかもしれませんし。カイル様の判断にお任せすれば良いと思います。中途半端な気持ちが嫌だったり、カイル様のお気持ちが恋愛的なものでないなら、そう言ってくれると思いますよ」
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