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ホリック公爵家次男

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 サリフィルには、ストラルという二歳年下の弟がいる。

 サリフィルがヒルデと結ばれることを応援してくれていて、公爵家の後のことは自分が何とかするとまで言ってくれているらしい。

 サリフィルから聞いた話だと、かつて友人関係にあった子爵令嬢家に両親が苦情を言ったことを、ストラルくんは根に持っている、らしい。

 ホリック公爵夫妻は選民意識が強く、サリフィルにもストラルくんにも、公爵家や侯爵家、力のある伯爵家のご令嬢との縁組を望んでいて、友人もホリック公爵家に利のある家を選ぶことを強要されているとのこと。

 貴族として、ある意味間違いではないけれど、領地にいるのは平民だし、公爵家にも平民の使用人はいるだろう。

 そんな彼らがいるから、自分たちは生活できていることを忘れてはいけない。

 よく似ている・・・と思う。
オズワルド公爵夫妻に。

 彼らにとって、子供は道具でしかないんだろう。

 だから、自分たちの思い通りにならないと叱責するし、簡単に捨てる。

 そのストラルくんとお祖母様が・・・というかクリストフお兄様が、何かやっているらしい。

 お祖母様の指示を受けて、マハール王国に留学中のお兄様が動いてるようだ。

「何をされていますの?」

「ローズ、ああいう家はね、周囲にバレないようにギリギリのところで褒められないようなことをやっているものなのよ。例えば、オズワルド公爵家も貴女をずっと虐げていたわ。罪に問えるような虐待でないけれど、褒められたことでもない。そういうことをね、炙り出しているの」

 確かに私は、オズワルド公爵家で両親の愛情を与えてもらえなかった。

 でも食事を抜かれたり、監禁されたり、暴力を受けたりしたことはない。

 私がセニヨン公爵家の養女になったことで、様々な噂が飛び交ったけど、もしあの時に私のオズワルド公爵家での立ち位置を公にしていたら、周囲はオズワルド公爵家から距離を取っただろう。

 でも、ホリック公爵家のそういうところを炙り出したとして、ストラルくんは大丈夫なのかしら?

 公爵夫妻個人が責められるだけならいいけれど、ストラルくんが公爵家を継ぐのなら、家の評判が落ちるのはあまり良くないのでは?

「これはまだ誰にも言わないで欲しいと言われているのだけど、彼は公爵家を継ぐ気はないそうよ。正確に言えば、兄のために継ぐフリをするけれど、土壇場で継がないで出奔するつもりだとか。リリーシア嬢もそうだったけど、子供に自分たちのエゴを押し付ける親が多いわね」

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