88 / 107
ホリック公爵家次男
しおりを挟む
サリフィルには、ストラルという二歳年下の弟がいる。
サリフィルがヒルデと結ばれることを応援してくれていて、公爵家の後のことは自分が何とかするとまで言ってくれているらしい。
サリフィルから聞いた話だと、かつて友人関係にあった子爵令嬢家に両親が苦情を言ったことを、ストラルくんは根に持っている、らしい。
ホリック公爵夫妻は選民意識が強く、サリフィルにもストラルくんにも、公爵家や侯爵家、力のある伯爵家のご令嬢との縁組を望んでいて、友人もホリック公爵家に利のある家を選ぶことを強要されているとのこと。
貴族として、ある意味間違いではないけれど、領地にいるのは平民だし、公爵家にも平民の使用人はいるだろう。
そんな彼らがいるから、自分たちは生活できていることを忘れてはいけない。
よく似ている・・・と思う。
オズワルド公爵夫妻に。
彼らにとって、子供は道具でしかないんだろう。
だから、自分たちの思い通りにならないと叱責するし、簡単に捨てる。
そのストラルくんとお祖母様が・・・というかクリストフお兄様が、何かやっているらしい。
お祖母様の指示を受けて、マハール王国に留学中のお兄様が動いてるようだ。
「何をされていますの?」
「ローズ、ああいう家はね、周囲にバレないようにギリギリのところで褒められないようなことをやっているものなのよ。例えば、オズワルド公爵家も貴女をずっと虐げていたわ。罪に問えるような虐待でないけれど、褒められたことでもない。そういうことをね、炙り出しているの」
確かに私は、オズワルド公爵家で両親の愛情を与えてもらえなかった。
でも食事を抜かれたり、監禁されたり、暴力を受けたりしたことはない。
私がセニヨン公爵家の養女になったことで、様々な噂が飛び交ったけど、もしあの時に私のオズワルド公爵家での立ち位置を公にしていたら、周囲はオズワルド公爵家から距離を取っただろう。
でも、ホリック公爵家のそういうところを炙り出したとして、ストラルくんは大丈夫なのかしら?
公爵夫妻個人が責められるだけならいいけれど、ストラルくんが公爵家を継ぐのなら、家の評判が落ちるのはあまり良くないのでは?
「これはまだ誰にも言わないで欲しいと言われているのだけど、彼は公爵家を継ぐ気はないそうよ。正確に言えば、兄のために継ぐフリをするけれど、土壇場で継がないで出奔するつもりだとか。リリーシア嬢もそうだったけど、子供に自分たちのエゴを押し付ける親が多いわね」
サリフィルがヒルデと結ばれることを応援してくれていて、公爵家の後のことは自分が何とかするとまで言ってくれているらしい。
サリフィルから聞いた話だと、かつて友人関係にあった子爵令嬢家に両親が苦情を言ったことを、ストラルくんは根に持っている、らしい。
ホリック公爵夫妻は選民意識が強く、サリフィルにもストラルくんにも、公爵家や侯爵家、力のある伯爵家のご令嬢との縁組を望んでいて、友人もホリック公爵家に利のある家を選ぶことを強要されているとのこと。
貴族として、ある意味間違いではないけれど、領地にいるのは平民だし、公爵家にも平民の使用人はいるだろう。
そんな彼らがいるから、自分たちは生活できていることを忘れてはいけない。
よく似ている・・・と思う。
オズワルド公爵夫妻に。
彼らにとって、子供は道具でしかないんだろう。
だから、自分たちの思い通りにならないと叱責するし、簡単に捨てる。
そのストラルくんとお祖母様が・・・というかクリストフお兄様が、何かやっているらしい。
お祖母様の指示を受けて、マハール王国に留学中のお兄様が動いてるようだ。
「何をされていますの?」
「ローズ、ああいう家はね、周囲にバレないようにギリギリのところで褒められないようなことをやっているものなのよ。例えば、オズワルド公爵家も貴女をずっと虐げていたわ。罪に問えるような虐待でないけれど、褒められたことでもない。そういうことをね、炙り出しているの」
確かに私は、オズワルド公爵家で両親の愛情を与えてもらえなかった。
でも食事を抜かれたり、監禁されたり、暴力を受けたりしたことはない。
私がセニヨン公爵家の養女になったことで、様々な噂が飛び交ったけど、もしあの時に私のオズワルド公爵家での立ち位置を公にしていたら、周囲はオズワルド公爵家から距離を取っただろう。
でも、ホリック公爵家のそういうところを炙り出したとして、ストラルくんは大丈夫なのかしら?
公爵夫妻個人が責められるだけならいいけれど、ストラルくんが公爵家を継ぐのなら、家の評判が落ちるのはあまり良くないのでは?
「これはまだ誰にも言わないで欲しいと言われているのだけど、彼は公爵家を継ぐ気はないそうよ。正確に言えば、兄のために継ぐフリをするけれど、土壇場で継がないで出奔するつもりだとか。リリーシア嬢もそうだったけど、子供に自分たちのエゴを押し付ける親が多いわね」
15
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる