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あり得ない?提案

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「は?伯母上、何を・・・」

 国王陛下が唖然とされている。
気持ちはわかるわ。私も前もって言われていなければ、驚いていたもの。

「うちは王命の婚約をお断りするから、降爵しても良いと言っているのよ。そうしたら五家に枠が空くから、そこにレオナルドに見合うご令嬢のいる侯爵家を陞爵すればいいでしょう?」

「む、無茶をおっしゃらないで下さい、伯母上!王命とはいえ、婚約の打診ですよ。それで由緒あるセニヨン公爵家を降爵だなんて!」

「あら?なら、うちの持っている伯爵位を息子に継がせて、ローズマリアを伯爵家の養女にしましょうか。なら、婚約者候補から外れるわよね」

「伯母上っ?」

 お祖母様の無茶振りに、国王陛下がタジタジである。

 お祖母様は、普段はこんなことをおっしゃらない。

 私の・・・私の我儘のために、手を尽くしてくださってるんだ。

 国王陛下には悪いけど、胸が熱くなった。

 オズワルドの両親には、いないものとして扱われた。

 その分というか、お祖母様やセニヨンの両親は私にとても愛情を注いでくれた。

 胸が熱くて、涙が出そうになる。
俯いて何度も深く息をして、涙を堪えた。

「伯母上、無茶を言わないでください」

「ごめんなさい、セルジオ。でもね、私はローズマリアにどうしても幸せになって欲しいの。幸せだって、生まれて来て良かったって思わせたいの。そのローズマリアがレオナルドを望んでいないの。姪孫のレオナルドを可愛いとは思うし、あの子にも幸せになって欲しいけど、私にとってローズマリアが最優先なのよ」

 お祖母様の言葉に、耐えようとしていた涙が眦から溢れそうになる。

 駄目。こんなところで貴族令嬢が感情を見せるなんて。

 お祖母様に叱られてしまう。

 だけど。

 嬉しくて。こんなに愛されていることが嬉しくて。

 俯いたままの私の手に、お祖母様の手が重なって・・・

 その上に私の涙がポタリと落ちた。

 その様子を見ていた国王陛下が、ふぅと息を吐く。

「分かりました。レグルスに打診してみましょう。レグルスが了承したら、セニヨン嬢には伯爵令嬢になってもらいます。これ以上、レオナルドの婚約の件で揉めるわけにはいかないのでね」

「ありがとう、セルジオ」

「伯母上にはいつも、色々とご協力いただいていますからね。ですが、こんなことは今回限りにして下さいよ。それにレオナルドにも自分の感情ではなく、王太子としての選択というものを理解させなくてはいけませんからね」

 レオナルドの婚約の件はすぐにレグルス公爵家に打診され、了承の返事が戻って来た。

 このことで、セニヨンの両親は伯爵となり、私は伯爵令嬢となることが決定した。
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