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進言してみた

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「私、思うのですけど・・・」

 前置きしてから、王妃様に話してみる。

「タチアナ様をどこか他国の・・・侯爵家あたりに嫁がせるのはどうでしょうか?」

「他国に?でも、我が国の常識を疑われそうだわ」

「タチアナ様の理論では、他国の令嬢は自国の令嬢よりも身分が下ということですから、あまり強く出れないのでは、と思うのですけど。お祖母様に聞いてみましょうか?良さそうな相手を見つけて下さると思うのですが」

 だって、私の婚約者候補を見つけるのも早かったわ。

 タチアナの自尊心を傷つけない、ちょうどいい相手を見つけてくれる気がするのよね。

 このまま放置したらバッカス侯爵は、妻と娘を修道院に送る羽目になりそうだもの。

 ラーナもラーナの母親も、それは望まないと思うのよね。

「うまくいくかしら?」

「何事にも絶対はありませんが、試す価値はあると思います」

「そう・・・そうね。バッカス侯爵が悲しむ結末はレアナも望まないでしょうからね。貴女には面倒ばかりかけるわね。何か、私にできることがあれば言ってちょうだい」

「ありがとうございます。その時はお願いします」

 今のところレオナルドが私に関わってくることはないみたいだけど、何か起きた時に王妃様の手を借りれるのはありがたい。

 それこそお祖母様には面倒ばかりかけてしまうけど、レオナルドの件が落ち着いたら恩返ししなくちゃね。

 お祖母様が望むのなら、レオナルド以外の人となら政略結婚してもいいわ。

 セニヨン公爵家には、本当にお世話になっているもの。

「そういえばお聞きしたいと思っていたのですが」

「なにかしら?」

「アザリウム王国の勇者と聖女の話は、ザハード王国ではどんなふうに伝わっているのですか?」

 魔王が現れ、勇者と聖女が魔王を倒す。

 それが繰り返されるのなら、他国にも伝わっているはずよ。

 そもそも、なぜアザリウム王国にだけ勇者と聖女が現れるの?

「アザリウム王国の王家に勇者と聖女が現れるのは、魔王がアザリウム王家の血筋だから、と言われているわ。だって、他国に魔王が現れることはないのよ。あの国限定で現れるなんて、何か原因があるに違いないでしょう?自国にとって都合の悪い存在を魔王と呼んで滅ぼそうとしてるだけ、だなんて一時は言われていたのよ」

 確かに、側から見ればそう見えても仕方ないわよね。

 でも、一時ということは、今はそうでないということね。
 何故疑いが晴れたのかしら?

「我が国もだけど・・・アザリウム王国以外の国の教会関係者が女神の神託を受けたのよ。アザリウム王国に聖女が現れ、勇者と共に魔王を倒すのだ、と。さすがに女神の神託を疑うわけにはいかないわ」

 いや、私に言わせれば、その女神こそが元凶じゃないの?
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