ラスボス魔王の悪役令嬢、モブを目指します?

みおな

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それは強制力?

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「ふふっ。レーチェル様はお兄様のことが大好きなのですね」

 私もセニヨン公爵家嫡男のクリストフのことは、家族として好きだ。

 クリストフお兄様は本当は従兄だけど、今は妹を溺愛する兄として、ローズマリアのことを可愛がってくれている。

 攻略ゲームに登場しなかったクリストフのことは、最初から好意的に思えたし、それは出会ってからも変わらない。

 恋愛対象ではないけど、家族愛に飢えていたローズマリアとしては、クリストフは愛情を注いでくれる大切な家族だ。

 同じ家族でも、妹の婚約者と想いを交わした挙句、魔王になったからと妹を死に追いやったリリーシアとは天と地ほどの差だ。

 そういえば、クリストフお兄様には婚約者っていたっけ?

「お兄様が好きだなんて・・・呆れますか?」

「いいえ?私もクリストフお兄様のことは大好きです。元々は従兄なんですけど、お兄様は本当に私のことを可愛がってくださるので」

「お聞きしています。セニヨン公爵家の養女になられたのですよね。そういえば、アザリウムの王太子殿下の話、ご存知ですか?」

「いえ・・・お聞きしても?」

 レオナルドが、どうかしたのだろうか?
 リリーシアと婚約したはずだけど。

 関わりたくなくて、ロイドと偽の婚約をしてからすぐにマハール王国へ向かったから・・・

「天啓を受けて、勇者の資格を得たとか」

「!」

 攻略ゲーム『純白の百合、漆黒の薔薇』で、王太子レオナルドは天啓を受け勇者となる。

 そして先に聖女となっていたリリーシアと手を取り合い、魔王となったローズマリアを討つのだ。

 だから、レオナルドが勇者の資格を得るのはおかしくない。

 だけど、

 ゲームは、レオナルドが十五歳の時から始まるのだ。

 つまり天啓を受けるのは十五歳のはず。

 なのに、五年も早く天啓を受けた?
リリーシアは?リリーシアは聖女になっているの?

「勇者・・・になったのですか?」

 声が震える。
私は魔王になってはいない。大丈夫のはず。

 レーチェル様は、そんな私の様子には気付かなかったようだ。

「いいえ、まだ資格を得ただけと聞きましたわ。これから、勇者になるべく試練を受けなければならないとか」

「聖女は・・・聖女は現れたのでしょうか?」

「聖女ですか?そんな話は聞いていませんが、調べてみましょうか?」

「お願い、します」

 レオナルドとの婚約を回避さえすれば、大丈夫だと思っていた。

 実際、私が二人に裏切られたショックで魔王になることはないから、大丈夫だろうって。

 でも、レオナルドが勇者になって、リリーシアが聖女になったのなら、百パーセント安全とは言えない。

 後でお祖母様にも、お聞きしないと。
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