ラスボス魔王の悪役令嬢、モブを目指します?

みおな

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ホリック公爵家

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 ヒルデのベリル男爵家にお世話になる事一週間。

 ホリック公爵家から、お茶のお誘いの手紙が来た。

 しかも『ベリル男爵家方、セニヨン公爵令嬢ローズマリア様』と私だけ指名で。

 この一週間で、気付いたことがある。

 サリフィルは、ヒルデと交際していることを、両親には隠していると言っていたけど・・・

 多分、見張られていると思う。

 サリフィルは直接ベリル男爵家を訪れたりせずに、待ち合わせをしたりしてヒルデと会っていたらしいけど。

 今のところ、ベリル男爵家に圧力をかけるまでには至っていないのは、レーチェル王女との婚約話が来たせいだろう。

 今回の婚約、私もだけどサリフィルの方もギリギリのタイミングだったのではないだろうか。

 今回、私にお茶の誘いが来たのは、息子の婚約者の兄、つまりザハード王国の第一王子の婚約者が、何故息子に男爵令嬢の家にいるのか、その探りを入れるためだろう。

「本日はお招きに預かり、ありがとうございます。アザリウム王国セニヨン公爵家娘、ローズマリアと申します」

 サリフィルの両親は・・・
オズワルド公爵夫妻に似ている、と感じた。

 表面上はにこやかに、でも腹の中では私を値踏みしている。

 彼らにとって、婚約者や友人は家の発展をもたらすためのもの。

 だから、男爵家なんて論外。

 オズワルド公爵夫妻と違うのは、彼らは私に全く興味がなく、ないからこそ悪意も好意も全くないので私が誰と会おうとどこに行こうと関与しなかった。

 ホリック公爵夫妻は、サリフィルのことを大事だと思っているのだろう。

 ただ、それ以上に公爵家の人間としてある様にサリフィルにも求めているだけで。

「ローズマリア様は、クリストフ様の妹さんだそうですわね」

「はい。ホリック様には兄がお世話になっております」

「それに、ザハード王国第一王子殿下の婚約者になられたとか」

「はい。ホリック様は殿下の妹姫、レーチェル様と婚約されたとか。おめでとうございます」

 お祖母様に、貴族としての在り方を厳しく躾けられていて良かったと思う。

 こんな狐と狸の化かし合いみたいな会話でも、にこやかに淑女の笑みを浮かべたまま出来るのは、お祖母様の教育の賜物だ。

「それで、ベリル男爵家に?良かったら、我が家に滞在してくださってかまいませんのよ?」

 来たな、と思った。
今回のお茶の誘いの目的は、これを聞くことだ。

 私とベリル男爵家、というよりヒルデとの関係を知りたいのだろう。

 いきなり降って湧いた他国の王女殿下との婚約を、怪しんでいるのかも知れない。

 でもまぁ、まさか三組もの婚約が全て偽装だとは気付かないだろうけど。
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