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顔合わせ
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ロイドとサリフィルは一旦帰国して、それぞれの恋人と共に来てもらうことになった。
誰の婚約者役をするにしても、当人たちに納得しておいてもらわないと後々面倒だからだ。
お祖母様宛にロイドから、妹姫と両親のオーケーが出たこと、一週間後なら来れるとの連絡が入った。
すぐさまお兄様が、サリフィルに連絡を入れ、サリフィルからも了承を得た。
ということを、私は事後で知らされた。
私、当事者なんだけどな。
良いけどね。お願いしてる立場だし。
というわけで、一週間後。
何故か私は、侍女たちにピカピカに磨き上げられ、黒髪には天使の輪が出来るほどツヤツヤサラサラに梳かれ、伯母様・・・お母様から贈られた新しいドレスを身に纏っていた。
何故に?
「紹介しよう。妹のレーチェルだ」
「レーチェル・ザハードと申します」
綺麗なカーテシーを見せたのは、ロイドの五歳年下の妹姫だ。
兄であるロイドと同じ、真っ赤な髪はくるくるとウェーブしていて、とても可愛らしい。
「セニヨン公爵が娘、ローズマリアと申します。このたびは無理なお願いを聞き届けていただき、ありがとうございます」
私もちゃんとカーテシーをして、挨拶をする。
相手が年下でも、立場は王族のあちらが上。
キチンと挨拶しないと、お祖母様に叱られてしまう。
「マハール王国ホリック公爵家嫡男サリフィル・ホリックと申します」
サリフィルも胸に手を当てて頭を下げる。
サリフィルは、後ろに控えていた鳶色の髪と瞳をした少女を引き寄せる。
「彼女は、マハール王国ベリル男爵家の令嬢ヒルデと言います。僕は彼女と想い合っているのですが、両親は僕に公爵家に相応しい相手との婚約を求めていて。まぁ、貴族としては両親が正しいのですが」
「ヒルデ・ベリルと申します」
おとなしそうな女の子だ。
前世で言うなら、いつも教室で本を読んでいそうなタイプ。
ローズマリアやリリーシアみたいな、美少女というわけではない。普通の女の子。
自分のせいで、サリフィルが公爵の地位を捨てることを気にしている?
まだ十三歳のご令嬢ではあるけど、この子に公爵夫人は確かに無理かもしれない。
年下でもレーチェル王女の方が、何倍もしっかりして見える。
一方、ロイドの方の想い人はと言うと・・・
「ラーナ・ピスエアと申します。ピスエア子爵家の娘です」
ピンク色の髪と瞳をした、十二歳の女の子。
そして可愛い。
これ、乙女ゲームとかのヒロインっぽいんだけど?
しかも正統派の。
良識はありそうだから、ラノベとかの転生ヒロインじゃない?でも・・・
凛としたピンク色の瞳が、しっかりと私を見つめている気がした。
誰の婚約者役をするにしても、当人たちに納得しておいてもらわないと後々面倒だからだ。
お祖母様宛にロイドから、妹姫と両親のオーケーが出たこと、一週間後なら来れるとの連絡が入った。
すぐさまお兄様が、サリフィルに連絡を入れ、サリフィルからも了承を得た。
ということを、私は事後で知らされた。
私、当事者なんだけどな。
良いけどね。お願いしてる立場だし。
というわけで、一週間後。
何故か私は、侍女たちにピカピカに磨き上げられ、黒髪には天使の輪が出来るほどツヤツヤサラサラに梳かれ、伯母様・・・お母様から贈られた新しいドレスを身に纏っていた。
何故に?
「紹介しよう。妹のレーチェルだ」
「レーチェル・ザハードと申します」
綺麗なカーテシーを見せたのは、ロイドの五歳年下の妹姫だ。
兄であるロイドと同じ、真っ赤な髪はくるくるとウェーブしていて、とても可愛らしい。
「セニヨン公爵が娘、ローズマリアと申します。このたびは無理なお願いを聞き届けていただき、ありがとうございます」
私もちゃんとカーテシーをして、挨拶をする。
相手が年下でも、立場は王族のあちらが上。
キチンと挨拶しないと、お祖母様に叱られてしまう。
「マハール王国ホリック公爵家嫡男サリフィル・ホリックと申します」
サリフィルも胸に手を当てて頭を下げる。
サリフィルは、後ろに控えていた鳶色の髪と瞳をした少女を引き寄せる。
「彼女は、マハール王国ベリル男爵家の令嬢ヒルデと言います。僕は彼女と想い合っているのですが、両親は僕に公爵家に相応しい相手との婚約を求めていて。まぁ、貴族としては両親が正しいのですが」
「ヒルデ・ベリルと申します」
おとなしそうな女の子だ。
前世で言うなら、いつも教室で本を読んでいそうなタイプ。
ローズマリアやリリーシアみたいな、美少女というわけではない。普通の女の子。
自分のせいで、サリフィルが公爵の地位を捨てることを気にしている?
まだ十三歳のご令嬢ではあるけど、この子に公爵夫人は確かに無理かもしれない。
年下でもレーチェル王女の方が、何倍もしっかりして見える。
一方、ロイドの方の想い人はと言うと・・・
「ラーナ・ピスエアと申します。ピスエア子爵家の娘です」
ピンク色の髪と瞳をした、十二歳の女の子。
そして可愛い。
これ、乙女ゲームとかのヒロインっぽいんだけど?
しかも正統派の。
良識はありそうだから、ラノベとかの転生ヒロインじゃない?でも・・・
凛としたピンク色の瞳が、しっかりと私を見つめている気がした。
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