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「うん。一応、王太子が友人なんだ。だから、頼んであるんだよ。両親が勝手に婚約させようとしても認可しないでくれって」
サリフィル様はそう言うと、困ったように笑った。
「幸いにも、国王陛下たちも僕の味方でいてくれてね。だから何とか婚約は避けることが出来ている。ヒルデとのことが両親にバレると、ベリル男爵家に被害が及ぶかもしれないから、ストラルや使用人たちに色々面倒をかけているんだよ。だから、偽の婚約者ができれば、両親の気を逸せることができるかな、と思ったんだ」
「そうなのですね。お力になれれば良いのですが」
いくら偽の婚約者とはいえ、二人と婚約するわけにはいかない。
ロイドの方は、従姉が恋人に何かやりかねないので、できれば従姉の意識をこちらに向けたいが・・・
「ねぇ、お兄様。婚約者という形でなくても宜しいのではないでしょうか?お二人が私に求婚なさっているという噂を流せば、ホリック様のご両親の意識も、ラーナ様の従姉の意識も私に向くのではないでしょうか?」
「確かに牽制にはなると思うが、期間が二年だ。それほどの期間、どちらかを選ばないことは、ローズが二人の気持ちを弄ぶ悪女と言われる可能性がある」
「それは・・・セニヨン公爵家の汚点になるでしょうか?」
五年後には籍を抜いてもらって平民になるつもりだけど、さすがにお祖母様やセニヨン公爵家に迷惑をかける方法は取れない。
「そんなことはない。だが、ローズが悪く言われるのは我慢ならない。それに、婚約者でなければレオナルド殿下の婚約の申し込みを断れないかもしれないぞ」
え。それは困る。
「殿下には、リリーシアお姉様と婚約していただきたいのです。それが無理なら、他国の王女殿下やご令嬢でもかまいませんわ」
「ずいぶんと毛嫌いしているのだな。なら、やはり僕との婚約の方が王太子への牽制になるだろう。だが、サリフィル殿の状況も無視できない。それで、ひとつの案なのだが・・・僕の妹と婚約という契約をしないか?」
「は?え、いや何を・・・」
「兄馬鹿と言われそうだが、妹は可愛らしい容姿をしている。五歳年下だが、王女という身分もある。それにアレは見た目と違って中々のしっかり者でな。もちろん本人の了承はいるが、二年間の仮の婚約者になれると思う」
そりゃ、他国の公爵令嬢より他国の王女殿下の方が、両親への牽制になると思う。
そして、ロイドの妹姫がオーケーしてくれれば、どちらも助けることができるけど。
サリフィル様はそう言うと、困ったように笑った。
「幸いにも、国王陛下たちも僕の味方でいてくれてね。だから何とか婚約は避けることが出来ている。ヒルデとのことが両親にバレると、ベリル男爵家に被害が及ぶかもしれないから、ストラルや使用人たちに色々面倒をかけているんだよ。だから、偽の婚約者ができれば、両親の気を逸せることができるかな、と思ったんだ」
「そうなのですね。お力になれれば良いのですが」
いくら偽の婚約者とはいえ、二人と婚約するわけにはいかない。
ロイドの方は、従姉が恋人に何かやりかねないので、できれば従姉の意識をこちらに向けたいが・・・
「ねぇ、お兄様。婚約者という形でなくても宜しいのではないでしょうか?お二人が私に求婚なさっているという噂を流せば、ホリック様のご両親の意識も、ラーナ様の従姉の意識も私に向くのではないでしょうか?」
「確かに牽制にはなると思うが、期間が二年だ。それほどの期間、どちらかを選ばないことは、ローズが二人の気持ちを弄ぶ悪女と言われる可能性がある」
「それは・・・セニヨン公爵家の汚点になるでしょうか?」
五年後には籍を抜いてもらって平民になるつもりだけど、さすがにお祖母様やセニヨン公爵家に迷惑をかける方法は取れない。
「そんなことはない。だが、ローズが悪く言われるのは我慢ならない。それに、婚約者でなければレオナルド殿下の婚約の申し込みを断れないかもしれないぞ」
え。それは困る。
「殿下には、リリーシアお姉様と婚約していただきたいのです。それが無理なら、他国の王女殿下やご令嬢でもかまいませんわ」
「ずいぶんと毛嫌いしているのだな。なら、やはり僕との婚約の方が王太子への牽制になるだろう。だが、サリフィル殿の状況も無視できない。それで、ひとつの案なのだが・・・僕の妹と婚約という契約をしないか?」
「は?え、いや何を・・・」
「兄馬鹿と言われそうだが、妹は可愛らしい容姿をしている。五歳年下だが、王女という身分もある。それにアレは見た目と違って中々のしっかり者でな。もちろん本人の了承はいるが、二年間の仮の婚約者になれると思う」
そりゃ、他国の公爵令嬢より他国の王女殿下の方が、両親への牽制になると思う。
そして、ロイドの妹姫がオーケーしてくれれば、どちらも助けることができるけど。
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