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理由
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「一応、お互いの求めている条件と、それにまつわる理由を話しておこう。僕からでいいかな?」
ロイド・ザハード第一王子殿下が、私の前に座り話し始めた。
ちなみに、ザハード殿下の隣にサリフィル・ホリック公爵令息様が。
サリフィル様の前、私の隣にお兄様が座っている。
「改めて自己紹介をしよう。ロイド・ザハード。ザハード王国の第一王子だ。三歳年下の弟と五歳年下の妹がいる。釣書にも書いたが、僕は乳母の娘で子爵令嬢のラーナを婚約者に望んでいるんだが、ラーナには侯爵家に僕と同い年の従姉がいて、彼女が僕の婚約者の座を狙っているから公表できない。その侯爵令嬢は中々にキツい性格をしていてね。婚約しても婚姻までは王宮に招くわけにはいかないから、ラーナに危害が及ぶかもしれないんだ」
「ご両親や子爵夫妻は、殿下のお気持ちをご存知ですの?」
「ああ。幸いにも僕は立太子していないし、弟もいる。ラーナを望むことで王太子に相応しくないというなら、廃嫡してもらってもかまわないと話してある。両親もラーナのことは知っているから、ラーナに王太子妃になる覚悟があるなら許してくれると言っている」
ふむ。
ということは、問題はその従姉と従姉の家の侯爵家ということね。
ザハード王国の成人は十五歳で、そのラーナ様は十二歳だから、三年の間隠れ蓑になる婚約者が欲しい、ということなのね。
視線を向けると、サリフィル様が頷く。
「僕はサリフィル・ホリック。マハール王国の公爵家の嫡男だよ。僕は現在マハール王国のベリル男爵家の一人娘のヒルデと交際している。だが、うちの両親は家柄を重んじる傾向があってね。ヒルデとのことは許してもらえない。確認したわけではないけど、弟が友人の子爵令嬢と親しくしていたら、ものすごい剣幕で子爵家に苦情を言ったほどなんだ」
「まぁ!その子爵家の方は?」
「その時は僕の友人の王子にとりなしてもらってね、ことなきを得たんだけど、弟はそれ以来彼女はもちろん、下位の子息やご令嬢と話すこともできなくなった。そのこともあって弟は僕に協力してくれている。僕は十五歳で学園を卒業したら公爵家から籍を抜いて騎士になるつもりなんだ」
「そうなんですのね。弟様が後をお継ぎになるということでしょうか?」
私の問いにサリフィル様は曖昧に頷かれた。
「弟には弟の考えがあるらしい。僕は弟にも好きな相手と結ばれて欲しいから、弟が家を継がないと決めても手助けするつもりだよ」
基本、どちらも釣書に書かれていた事情通りね。
どちらにも手を貸してあげたいけど、私は一人しかいないからどちらもというわけにはいかないのが困るわね。
ロイド・ザハード第一王子殿下が、私の前に座り話し始めた。
ちなみに、ザハード殿下の隣にサリフィル・ホリック公爵令息様が。
サリフィル様の前、私の隣にお兄様が座っている。
「改めて自己紹介をしよう。ロイド・ザハード。ザハード王国の第一王子だ。三歳年下の弟と五歳年下の妹がいる。釣書にも書いたが、僕は乳母の娘で子爵令嬢のラーナを婚約者に望んでいるんだが、ラーナには侯爵家に僕と同い年の従姉がいて、彼女が僕の婚約者の座を狙っているから公表できない。その侯爵令嬢は中々にキツい性格をしていてね。婚約しても婚姻までは王宮に招くわけにはいかないから、ラーナに危害が及ぶかもしれないんだ」
「ご両親や子爵夫妻は、殿下のお気持ちをご存知ですの?」
「ああ。幸いにも僕は立太子していないし、弟もいる。ラーナを望むことで王太子に相応しくないというなら、廃嫡してもらってもかまわないと話してある。両親もラーナのことは知っているから、ラーナに王太子妃になる覚悟があるなら許してくれると言っている」
ふむ。
ということは、問題はその従姉と従姉の家の侯爵家ということね。
ザハード王国の成人は十五歳で、そのラーナ様は十二歳だから、三年の間隠れ蓑になる婚約者が欲しい、ということなのね。
視線を向けると、サリフィル様が頷く。
「僕はサリフィル・ホリック。マハール王国の公爵家の嫡男だよ。僕は現在マハール王国のベリル男爵家の一人娘のヒルデと交際している。だが、うちの両親は家柄を重んじる傾向があってね。ヒルデとのことは許してもらえない。確認したわけではないけど、弟が友人の子爵令嬢と親しくしていたら、ものすごい剣幕で子爵家に苦情を言ったほどなんだ」
「まぁ!その子爵家の方は?」
「その時は僕の友人の王子にとりなしてもらってね、ことなきを得たんだけど、弟はそれ以来彼女はもちろん、下位の子息やご令嬢と話すこともできなくなった。そのこともあって弟は僕に協力してくれている。僕は十五歳で学園を卒業したら公爵家から籍を抜いて騎士になるつもりなんだ」
「そうなんですのね。弟様が後をお継ぎになるということでしょうか?」
私の問いにサリフィル様は曖昧に頷かれた。
「弟には弟の考えがあるらしい。僕は弟にも好きな相手と結ばれて欲しいから、弟が家を継がないと決めても手助けするつもりだよ」
基本、どちらも釣書に書かれていた事情通りね。
どちらにも手を貸してあげたいけど、私は一人しかいないからどちらもというわけにはいかないのが困るわね。
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