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別れ
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お祖母様は、私の意思が固いと分かったのか、翌日王宮に養子縁組の話をしに行った。
もちろん、オズワルド公爵家にも話さなければならないのだけど、貴族の養子縁組は国王陛下の許可が必要なのだ。
といっても、両家が納得してれば、陛下から玉璽をもらうだけなんだけど。
と、お祖母様から教えてもらった。
思い立ったが吉日とばかりに、お祖母様に話をしに来たけど、今度からはちゃんとそういうことも調べてから動かなきゃ。
オズワルド公爵家の両親は、ローズマリアをいないものとして扱ってたから、何も言われることはなかったけど、今度からはお祖母様や叔母様に迷惑がかかってしまう。
多分、両親は何も言わずに養子縁組を受け入れるだろう。
何か言ってくるとすれば、リリーシアだ。
リリーシアは、良くも悪くも善人だから、話し合えば分かり合えると思ってる節がある。
十年もいないものとして扱われて来て、今更話し合ったからって、仲の良い家族になれるわけがない。
それに、現実のリリーシアには申し訳ないけど、私はどうしても妹の婚約者と想いを交わし合ったリリーシアが好きになれない。
あれがゲームとしての正当なルートだと理解っていても、ローズマリアの気持ちを思うと、どうしても納得出来なかった。
ローズマリアが悪女だったなら、まだ納得できた。
でも、両親にいないものとして扱われて、姉と婚約者だけが心の支えだったローズマリアを、あの二人は最悪な形で裏切ったのだから。
案の定、王宮から戻って来た両親は、一応私も呼んで(当事者だからね。呼ばずに話すのはおかしいよね)ローズマリアが今日付でセニヨン公爵家の養女になったことを話した。
「そんなっ!どうして?お父様!お母様!」
「リリーシア、これはもう決まったことなのだ。国王陛下の許可もいただいている」
「セニヨン公爵家からの申し出なのよ」
「でもっ!ローズマリアっ!ローズマリアは嫌よね?私の妹でいてくれるわよねっ?」
両親は私を見ない。
私の養子縁組の話なのに、私にではなくリリーシアに話して聞かせる。
私はソファーに座ることなく、リリーシアに向き返った。
「お姉様。私はずっとお姉様の妹です。養子縁組で姓が変わっても、私とお姉様に血の繋がりがあることは変わりません・・・(残念ながら)」
最後の言葉は、心の中で付け加えた。
驚愕したようなリリーシアを無視し、相変わらず無関心の両親に対して頭を下げた。
「今まで育てていただき、ありがとうございました。最後にひとつだけ、お願いがあります。カイルを一緒に連れて行かせてください」
「好きにしなさい」
これが私と、オズワルド公爵夫妻、つまりは一応私の血の繋がった両親との、別れの挨拶となった。
もちろん、オズワルド公爵家にも話さなければならないのだけど、貴族の養子縁組は国王陛下の許可が必要なのだ。
といっても、両家が納得してれば、陛下から玉璽をもらうだけなんだけど。
と、お祖母様から教えてもらった。
思い立ったが吉日とばかりに、お祖母様に話をしに来たけど、今度からはちゃんとそういうことも調べてから動かなきゃ。
オズワルド公爵家の両親は、ローズマリアをいないものとして扱ってたから、何も言われることはなかったけど、今度からはお祖母様や叔母様に迷惑がかかってしまう。
多分、両親は何も言わずに養子縁組を受け入れるだろう。
何か言ってくるとすれば、リリーシアだ。
リリーシアは、良くも悪くも善人だから、話し合えば分かり合えると思ってる節がある。
十年もいないものとして扱われて来て、今更話し合ったからって、仲の良い家族になれるわけがない。
それに、現実のリリーシアには申し訳ないけど、私はどうしても妹の婚約者と想いを交わし合ったリリーシアが好きになれない。
あれがゲームとしての正当なルートだと理解っていても、ローズマリアの気持ちを思うと、どうしても納得出来なかった。
ローズマリアが悪女だったなら、まだ納得できた。
でも、両親にいないものとして扱われて、姉と婚約者だけが心の支えだったローズマリアを、あの二人は最悪な形で裏切ったのだから。
案の定、王宮から戻って来た両親は、一応私も呼んで(当事者だからね。呼ばずに話すのはおかしいよね)ローズマリアが今日付でセニヨン公爵家の養女になったことを話した。
「そんなっ!どうして?お父様!お母様!」
「リリーシア、これはもう決まったことなのだ。国王陛下の許可もいただいている」
「セニヨン公爵家からの申し出なのよ」
「でもっ!ローズマリアっ!ローズマリアは嫌よね?私の妹でいてくれるわよねっ?」
両親は私を見ない。
私の養子縁組の話なのに、私にではなくリリーシアに話して聞かせる。
私はソファーに座ることなく、リリーシアに向き返った。
「お姉様。私はずっとお姉様の妹です。養子縁組で姓が変わっても、私とお姉様に血の繋がりがあることは変わりません・・・(残念ながら)」
最後の言葉は、心の中で付け加えた。
驚愕したようなリリーシアを無視し、相変わらず無関心の両親に対して頭を下げた。
「今まで育てていただき、ありがとうございました。最後にひとつだけ、お願いがあります。カイルを一緒に連れて行かせてください」
「好きにしなさい」
これが私と、オズワルド公爵夫妻、つまりは一応私の血の繋がった両親との、別れの挨拶となった。
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