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好きと嫌い
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「おはよう、ローズ。もう起きていたの?」
ノックの後、私の返事も待たずに部屋に入ってきたのは、煌めく銀髪に、金色の瞳の美少女、リリーシアだ。
銀髪は柔らかくウェーブしていて、レースのリボンでハーフアップにしている。
ドレスは淡いピンク色で、レースとリボンでとても愛らしいデザインだ。
それがリリーシアにとても良く似合っていた。
「おはようございます、お姉様」
鏡に映ったローズマリアの姿を見た時から思っていたけど、リリーシアを見て確信した。
現在はゲームが始まる前。
多分、ローズマリアが十歳くらいだ。
攻略ゲーム『純白の百合、漆黒の薔薇』は勇者である王太子のレオナルドが十五歳、ヒロインで聖女のリリーシアが十八歳の時に始まる。
つまりは、まだゲームは始まっていない。
前世の私は、勇者と聖女が嫌いだった。
ローズマリアは、父親にも母親にも話しかけてももらえず、想いを寄せた婚約者は自分の姉を愛していた。
彼女は何も、悪いことをしていたわけではない。
親が、姉が、元婚約者が、周囲が、ローズマリアを魔王にしたのだ。
だから、リリーシアを好きでいながらローズマリアと婚約したレオナルドのことも、ローズマリアの孤独を知りながらレオナルドとの婚約を受け入れたリリーシアのことも好きになれなかった。
なれなかったけど・・・
多分、ローズマリアはそれでもリリーシアのことが好きだったんだと思う。
だって今、目の前のリリーシアの顔を見ても、嫌いとも憎いとも思わないから。
「ローズ、今日はみんなと一緒に朝御飯を食べない?」
リリーシアの言葉で、やっぱりゲーム通りにローズマリアは両親に受け入れられていないのだと気付いた。
「いえ。私は・・・」
「お父様もお母様も、ローズマリアのことを心配しているのよ。ね?一緒に食べましょう?」
きっと、ゲーム内のローズマリアは、こんな見え見えの嘘にも縋って、そして傷付いたのだろう。
だけど、残念ながら私はそんな選択をするつもりはない。
「どうぞ、お姉様は先に行かれて下さい。私は支度がありますので」
「先に・・・分かったわ。必ず来てね?約束よ」
そう言ってリリーシアが出て行くと、私はため息を吐いた。
約束も何も、私は一言も行くとは言っていない。
そんな、いないものとして扱われる食卓で食べる食事なんか、味がしないだろう。
支度があると言ったのは嘘ではない。
さっさと着替えて、リリーシアがまたやってくる前に出かけるつもりだ。
ノックの後、私の返事も待たずに部屋に入ってきたのは、煌めく銀髪に、金色の瞳の美少女、リリーシアだ。
銀髪は柔らかくウェーブしていて、レースのリボンでハーフアップにしている。
ドレスは淡いピンク色で、レースとリボンでとても愛らしいデザインだ。
それがリリーシアにとても良く似合っていた。
「おはようございます、お姉様」
鏡に映ったローズマリアの姿を見た時から思っていたけど、リリーシアを見て確信した。
現在はゲームが始まる前。
多分、ローズマリアが十歳くらいだ。
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だから、リリーシアを好きでいながらローズマリアと婚約したレオナルドのことも、ローズマリアの孤独を知りながらレオナルドとの婚約を受け入れたリリーシアのことも好きになれなかった。
なれなかったけど・・・
多分、ローズマリアはそれでもリリーシアのことが好きだったんだと思う。
だって今、目の前のリリーシアの顔を見ても、嫌いとも憎いとも思わないから。
「ローズ、今日はみんなと一緒に朝御飯を食べない?」
リリーシアの言葉で、やっぱりゲーム通りにローズマリアは両親に受け入れられていないのだと気付いた。
「いえ。私は・・・」
「お父様もお母様も、ローズマリアのことを心配しているのよ。ね?一緒に食べましょう?」
きっと、ゲーム内のローズマリアは、こんな見え見えの嘘にも縋って、そして傷付いたのだろう。
だけど、残念ながら私はそんな選択をするつもりはない。
「どうぞ、お姉様は先に行かれて下さい。私は支度がありますので」
「先に・・・分かったわ。必ず来てね?約束よ」
そう言ってリリーシアが出て行くと、私はため息を吐いた。
約束も何も、私は一言も行くとは言っていない。
そんな、いないものとして扱われる食卓で食べる食事なんか、味がしないだろう。
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さっさと着替えて、リリーシアがまたやってくる前に出かけるつもりだ。
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