乙女ゲームの正しい進め方

みおな

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 結論から言うと、ヒロインはSクラスにいなかった。

 こともあろうにDクラスだという。
何やってるの、ヒロイン。

 同じクラスじゃなきゃ、攻略だって上手く進まない。
 イベントだって、一年目はクラス関連で起きることが多い。

 来年からは個別の攻略になるから、来年にはSクラスになれるのだろうか。
 今、Dクラスなのに?
というか、ヒロインって適正魔力が光属性で、優秀な上に努力家のはずなんだけど。

 私は乙女ゲーム『花盗人の日記』が大好きだ。
 つまりはヒロインに対しても、それなりに愛着がある。

 あるんだけど・・・
これはもしかして、ラノベ定番のお花畑転生ヒロインとかだったりするのだろうか。

 エルム兄様もシスルたちも給仕に戻って行った。

 シスルにも会えたし、他のクラスも簡単に覗いてから王宮に戻ることにした。

 護衛さんも大変だからね。

「猫耳の兄様、かわいかった」

「ふふっ、そうね。クラスのみんなとも仲良くやれているようで安心したわ」

「そうだな。クリサンセマムやフロックスの子息たちともいい関係のようだ。いずれはエルムの側近にと考えているからな」

 お父様とお母様の話に納得する。
そっか。高位貴族の子息である彼らは、王太子になる兄様の側近候補か。

 ヒロインが誰を選ぶのかは分からないけど、もしかしたら私の義姉になるかもしれないんだ。

 そんなことを考えながら歩いていて、ふと忘れ物に気付いた。

「あ。ハンカチ忘れて来ました」

 お茶の後に使って、そのままテーブルに置いて来てしまった。

 多分、ちゃんと取っておいてくれるだろうけど、私のだと気づかないかもしれない。

 別にハンカチ一枚、高いわけじゃないけど、あれはこの世界に転生して、初めてお母様に教わって刺繍したハンカチだ。

「取って来ます」

「駄目よ、アイリス。一緒に行きましょう」

「いえ。私が取って来ます。姫様、何をお忘れですか?」

 お母様にダメ出しを出され、シーラが代わりに行くと言う。

 まぁ、ハンカチ一枚の為に、護衛さんをまた戻らせるのも申し訳ない。

「ハンカチなの。ごめんねシーラ、お願いしてもいい?」

「もちろんです」

 シーラが踵を返そうとした時、後ろからタッタッとかけて来る足音がして、護衛さんたちが即座に私たちの周囲を固める。

 金髪がチラリと見えたと思ったら、大きな悲鳴が上がった。

「きゃあああああああ!」

 え?
もしかして護衛さんとぶつかったの?

 警護されている隙間から、様子を伺おうとするけど、お母様は私をぎゅっと抱きしめてるし、シーラも私の前で私を庇うように立っていて見えない。

「突き飛ばすなんてひどいですぅ」

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