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貴方なんかいらない

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「何のために育ててやったと思っている!」

 そう喚き散らす元お父様は、周囲から発せられる殺気に気付かないのかしら?

 もしそうなら、愚か者ってある意味幸せね。
 私ならこんな殺気を向けられたら、その場で失神してしまうかもしれないわ。

「私は貴方の都合の良い道具ではありませんわ」

「なんだっ!親に向かってその口のきき方は!」

 唾を飛ばす勢いで点滅する魂。
魂だから唾も出ないし手も出ないけど、人間の姿だったなら殴られていたかしら。

「・・・ロゼ。切り刻んでもいいか?」

「ロゼ様。すり潰しましょう」

「ロゼ様、私呪いを勉強しようと思います」

「姫様。業火で燃やす?熱湯で湯掻く?それともすりおろし機で末端から少しずつ削る?」

 パパ、ノイン。
切り刻んだりすり潰したら、簡単に消滅しちゃうんじゃないかな?
 私、できれば長く・・・少なくともローズリッテが生きた時間と同じだけ苦しんでもらいたいんだけど。

 レイ。
聖女である貴女が、呪いなんか覚えなくて良いから。
 なんかそれ、もう聖女じゃないから。

 それからサウロン様。
すりおろし機って・・・なに?そんなのあるの?

「サウロン様。魂でも刺激による痛みって感じるの?」

「モチの・・・うん!感じるよ!」

 サウロン様はノインの視線を受けて、慌てたように頷く。

 ノイン、お行儀とかにうるさいのよね。
 ロゼはローズリッテの淑女教育とかのおかげで、怒られるようなことは少ないけど。

 サウロン様は、楽しいこととか面白いことが大好きだからなぁ。

 でも、魂でも痛みを感じるのなら。

「磔にして、針で突くとかはいかがでしょう?それなら、ローズリッテ様の心の痛み分を味合わせられるのでは?」

 レイの提案に頷く。
それなら長く、反省するまで・・・反省はしないと思うけど、苦しめられるよね。

「サウロン様、レイの提案を採用で」

「了解。セージ!それ、磔にして」

「かしこまりました」

 ちなみに、そんな会話の間ずっと元お父様は喚き続けていた。

 この人、よくこんなので公爵やってたわね。

 それとも何か、国王陛下の弱みでも握っていたのかしら。

 呆れを通り越して、なんだか情けなくなってきたわ。

 幼い頃から淑女教育に王太子妃教育と、王宮に通っていて、あんまり接点がなかったから、こんな酷いとは知らなかった。

「うぁぁぁぁ!痛い!痛い!痛い!ローズリッテ!何をしているっ!父親が苦しんでいるのに早く助けんかっ!このノロマめっ!」

 はぁ。
どうして愚かな人って助けて貰いたいのに下手に出ることすらできないのかしら?

 どこにそんな上から目線でものを言われて助けるお人好しがいるのよ。

「お断りしますわ。私、貴方みたいな父親なんていりませんから」



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