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腹立たしいわ

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 魂は生前の記憶を持っていて、本当はそれが段々と薄れていって輪廻の輪に組み込まれていくのだそう。

 ローズリッテの場合は例外みたい。

 それもそうよね。
生まれ変われば前世の記憶は持っていないものだけど、ロゼの体にローズリッテの魂が入ってる状態だもの。

 レイが、レイニー様が無理矢理ローズリッテの魂を輪廻の輪を使わず転生させたことが原因だと思う。

 レイニー様のしてくれたことに、私は感謝している。

 もしローズリッテの魂を持たずにロゼとして生まれたら・・・

 それはそれで幸せだったと思うけど、レイとは出会えなかった。

 もしかしたら、ママがいないことでパパを責めたかもしれない。

 ローズリッテも輪廻で新たな生を受けて、もしかしたら幸せになっていたかもしれない。

 でも、パパとママの子供にはなれなかった。

 だから、私はこの転生を最良のものだと思う。

 と同時に、どうしてローズリッテの周囲はこんなに身勝手な人ばかりなのかと頭が痛くなった。

 目の前の、カゴに入れられた魂はずっと喚き続けていた。

 ロゼの姿を見ればローズリッテだと分かるから、黒い布でカゴを覆っているのだけど・・・

「私は公爵だぞ!未来の王妃の父親だぞ」

「あんなのを公爵令嬢にするんじゃなかった!他の男を咥え込むにしても、王太子の子を授かってからだろう」

「聖女を娘にするべきだった!だが何故、聖女はあんな役立たずを庇おうと?聖女の力を失っては意味がないではないか!」

「いや、それでも殿下は聖女に執着していた。なら、むしろ力を失った聖女を保護して、言うことをきかせた方が良かったのでは?」

 ブツブツと延々と続けられる戯言。

 聞いているだけでイラっとして、カゴを蹴飛ばしそうになり・・・耐えた。

 絶対、ノインに叱られる。お行儀が悪いって。

 ガンッ!

 そんなことを思って耐えていた私の横から、レイがカゴを蹴飛ばす。

 前々から思ってたけど、レイニー様って・・・

「レイ」

「申し訳ございません。耐えられませんでした」

 謝罪の言葉だけど、悪いとは思ってないよね?

 レイが蹴ったからか、被せてあった布が取れ、ぼんやりとした光の玉がカゴの中に見えた。

「なっ、何事だっ!驚く・・・だ、ろ・・・聖女?聖女と・・・は?ローズリッテ?」

 偉そうに文句を言いかけたあの男の魂は、レイと隣に立つ私の姿に気付いた。

 点滅する魂に、動揺の様子が感じられる。

「ローズリッテ!貴様、死んだのではないのか!忌々しい役立たずめ!何のために育ててやったと思っている!」
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