47 / 56
見せたいものと見たいもの
しおりを挟む
「それでロゼとレイに見せたいものとはなんだ?」
パパがサウロン様の後をついて行きながら尋ねる。
「それは見てのお楽しみかな。大丈夫!変なものじゃないから」
「当たり前だ。ロゼの気分を害するようなものだったら、魔王城の立ち入りを禁止するぞ」
「え?それは困る~!でも大丈夫!絶対、喜んでもらえるし」
サウロン様は自信たっぷりだけど、大丈夫かしら?
魔王城の立ち入りが禁止されて困るのって、レイに会えなくなるから、よね?
多分、それ以外はどうでもよさそうだし。
鼻歌混じりで進むサウロン様に、微妙な不安を感じる。
それでも、パパとレイと一緒にサウロン様の後に続く。
「着いたよぉ」
しばらく歩いた先にあったのは、澄み渡った湖だった。
底まで見えそうなほど澄んでいて、湖中にある花がはっきり見えるのに、どこか深い青色をしていて底が見えない。
どこか神秘的で、どこか不安を感じさせる湖。
「サウロン様、ここは?」
「この湖はね、その人が見たいと願ったものを一度だけ見せてくれる湖なんだ。未来の自分とかみたいに曖昧なものは無理だけど、実際起きたこと、実際いた人とかは見れるよ」
見たいと願ったもの・・・
私が見たいと願うもの・・・
私には、どうしても見たいものが二つある。
ひとつは、ローズリッテの母親。
ローズリッテが幼い頃に病死したお母様だけど、お優しい方だった。
もうひとつは、ロゼ・リヴァルスの母親。
私はロゼのお母様を知らない。
だから会ってみたい。でも、ひとつしか願いは叶えられないのよね。
悩んでいる様子の私に、サウロン様がレイに話しかけた。
「レイちゃんは?見たいものはある?」
「・・・そうですね。私の願いをロゼ様にお譲りすることはできますか?」
「あー、気持ちは分かるけど無理。僕がどうこうしてるんなら手を貸してあげるけど、これはあくまでも湖が判断するんだ」
「なら、私がロゼ様のお母様を見たいと願えば?」
レイの言葉に、私はレイの腕を引いて首を振るけど、レイはにっこりと微笑むだけ。
「うん、それも無理。レイちゃんはロゼ様の母親を知らないよね。知らないものは見れないんだ」
「なら、俺がロゼの母親、ダリアを見たいと願えば、ロゼも見ることが出来るのか?」
パパの問いに、私は顔を上げた。
ママの名前、ダリアって言うんだ・・・
パパはママが殺されたこと、ずっと悔やんでいたみたいだから、聞いたことなかった。
「あー、それなら見れるかも。王様の記憶の中の王妃様の姿を見れるんじゃないかな」
パパがサウロン様の後をついて行きながら尋ねる。
「それは見てのお楽しみかな。大丈夫!変なものじゃないから」
「当たり前だ。ロゼの気分を害するようなものだったら、魔王城の立ち入りを禁止するぞ」
「え?それは困る~!でも大丈夫!絶対、喜んでもらえるし」
サウロン様は自信たっぷりだけど、大丈夫かしら?
魔王城の立ち入りが禁止されて困るのって、レイに会えなくなるから、よね?
多分、それ以外はどうでもよさそうだし。
鼻歌混じりで進むサウロン様に、微妙な不安を感じる。
それでも、パパとレイと一緒にサウロン様の後に続く。
「着いたよぉ」
しばらく歩いた先にあったのは、澄み渡った湖だった。
底まで見えそうなほど澄んでいて、湖中にある花がはっきり見えるのに、どこか深い青色をしていて底が見えない。
どこか神秘的で、どこか不安を感じさせる湖。
「サウロン様、ここは?」
「この湖はね、その人が見たいと願ったものを一度だけ見せてくれる湖なんだ。未来の自分とかみたいに曖昧なものは無理だけど、実際起きたこと、実際いた人とかは見れるよ」
見たいと願ったもの・・・
私が見たいと願うもの・・・
私には、どうしても見たいものが二つある。
ひとつは、ローズリッテの母親。
ローズリッテが幼い頃に病死したお母様だけど、お優しい方だった。
もうひとつは、ロゼ・リヴァルスの母親。
私はロゼのお母様を知らない。
だから会ってみたい。でも、ひとつしか願いは叶えられないのよね。
悩んでいる様子の私に、サウロン様がレイに話しかけた。
「レイちゃんは?見たいものはある?」
「・・・そうですね。私の願いをロゼ様にお譲りすることはできますか?」
「あー、気持ちは分かるけど無理。僕がどうこうしてるんなら手を貸してあげるけど、これはあくまでも湖が判断するんだ」
「なら、私がロゼ様のお母様を見たいと願えば?」
レイの言葉に、私はレイの腕を引いて首を振るけど、レイはにっこりと微笑むだけ。
「うん、それも無理。レイちゃんはロゼ様の母親を知らないよね。知らないものは見れないんだ」
「なら、俺がロゼの母親、ダリアを見たいと願えば、ロゼも見ることが出来るのか?」
パパの問いに、私は顔を上げた。
ママの名前、ダリアって言うんだ・・・
パパはママが殺されたこと、ずっと悔やんでいたみたいだから、聞いたことなかった。
「あー、それなら見れるかも。王様の記憶の中の王妃様の姿を見れるんじゃないかな」
23
お気に入りに追加
418
あなたにおすすめの小説
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
悪役令嬢は蚊帳の外です。
豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」
「いえ、違います」
【完結】嫌われている...母様の命を奪った私を
紫宛
ファンタジー
※素人作品です。ご都合主義。R15は保険です※
3話構成、ネリス視点、父・兄視点、未亡人視点。
2話、おまけを追加します(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
いつも無言で、私に一切の興味が無いお父様。
いつも無言で、私に一切の興味が無いお兄様。
いつも暴言と暴力で、私を嫌っているお義母様
いつも暴言と暴力で、私の物を奪っていく義妹。
私は、血の繋がった父と兄に嫌われている……そう思っていたのに、違ったの?
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる