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初めてのおでかけ
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「わぁ!」
サウロン様のお城には、転移魔法ではなく飛竜で向かうことになった。
飛竜!
幼い頃に、セドリック様が読んでいた物語の中に出て来たわ。
私には童話やそんな物語を読む自由はなかったけど、セドリック様が見せてくれる時だけは、目にすることが出来た。
その物語の中の飛竜に乗っている!
私の嬉しそうな声に、後ろから私を抱えたパパが笑う。
少し後ろを飛ぶ飛竜には、ノインとレイが乗っていた。
振り返って手を振れば、ノインもレイも振り返してくれる。
「パパ!ありがとう!」
転移魔法でなくわざわざ飛竜にしてくれたのは、私のためよね?
お城の外に出たいと言わなくなった私のために、わざわざ時間をかけて飛竜を使った。
「飛竜でもあっという間だ。もうしばらくすれば城が見えるようになる」
飛竜の飛ぶスピードは、何に例えたらわかりやすいかしら?
馬車の十倍・・・ううん、もう少し早いわね。
だから飛び立って、十分もすれば魔王城は見えなくなった。
これでも私が乗っているから、ゆっくり目だって言っていた。
転移魔法の使えるパパはあまり乗らないらしいけど、他国に赴く時は乗るのですって。
「パパ。なんか来る」
遠くに小さく建物らしきものが見え始めた時、その城側から何か飛来してくるのが見えた。
「ああ。パパにしっかり掴まっていろ」
パパの言葉に、後ろ向きになってギュッと抱きついた。
「転移するぞ」
「竜さんは?」
「一緒がいいのか?なら、サウロンの城にまとめて転移しよう」
パパはそう言うと、後ろのノインの方を振り返る。
ノインが頷いたんだと思う。
向かいから来る何かが、何なのか分かる前に、すぐに転移魔法が発動した。
着いたのは、お城の・・・中庭かな?
魔王城ほどじゃないけど、大きなお城だと思う。
私たちが転移で現れると、サウロン様がかけてくるのが見えた。
「あれ?竜で来るって言ってけど、竜ごと転移?空の旅はつまんなかった?」
「いや。せっかくの、ロゼのおでかけを邪魔しようとする不粋者が現れたのでな」
「うちの領域で何やってくれてんのかな。セージ!」
「お呼びでしょうか。我が君」
サウロン様が眉を顰めて声をあげると、緑色の髪をした青年が現れた。
あれってヤギのツノ?かな。
うん。悪魔っぽい。
サウロン様もだけど、パパもノインも普通に人間と同じ容姿だから、魔族らしい?見た目の人、初めて見た。
見た目はパパやノインと同い年っぽいけど、サウロン様を我が君と呼んでるし、年下?
「魔王閣下のご機嫌を損ねる行動してるヤツがいるみたいだよ。捕まえて来て」
「それは・・・誠に申し訳ございません。すぐに」
深々と頭を下げたセージと呼ばれた悪魔さんは、一瞬にして姿を消した。
サウロン様のお城には、転移魔法ではなく飛竜で向かうことになった。
飛竜!
幼い頃に、セドリック様が読んでいた物語の中に出て来たわ。
私には童話やそんな物語を読む自由はなかったけど、セドリック様が見せてくれる時だけは、目にすることが出来た。
その物語の中の飛竜に乗っている!
私の嬉しそうな声に、後ろから私を抱えたパパが笑う。
少し後ろを飛ぶ飛竜には、ノインとレイが乗っていた。
振り返って手を振れば、ノインもレイも振り返してくれる。
「パパ!ありがとう!」
転移魔法でなくわざわざ飛竜にしてくれたのは、私のためよね?
お城の外に出たいと言わなくなった私のために、わざわざ時間をかけて飛竜を使った。
「飛竜でもあっという間だ。もうしばらくすれば城が見えるようになる」
飛竜の飛ぶスピードは、何に例えたらわかりやすいかしら?
馬車の十倍・・・ううん、もう少し早いわね。
だから飛び立って、十分もすれば魔王城は見えなくなった。
これでも私が乗っているから、ゆっくり目だって言っていた。
転移魔法の使えるパパはあまり乗らないらしいけど、他国に赴く時は乗るのですって。
「パパ。なんか来る」
遠くに小さく建物らしきものが見え始めた時、その城側から何か飛来してくるのが見えた。
「ああ。パパにしっかり掴まっていろ」
パパの言葉に、後ろ向きになってギュッと抱きついた。
「転移するぞ」
「竜さんは?」
「一緒がいいのか?なら、サウロンの城にまとめて転移しよう」
パパはそう言うと、後ろのノインの方を振り返る。
ノインが頷いたんだと思う。
向かいから来る何かが、何なのか分かる前に、すぐに転移魔法が発動した。
着いたのは、お城の・・・中庭かな?
魔王城ほどじゃないけど、大きなお城だと思う。
私たちが転移で現れると、サウロン様がかけてくるのが見えた。
「あれ?竜で来るって言ってけど、竜ごと転移?空の旅はつまんなかった?」
「いや。せっかくの、ロゼのおでかけを邪魔しようとする不粋者が現れたのでな」
「うちの領域で何やってくれてんのかな。セージ!」
「お呼びでしょうか。我が君」
サウロン様が眉を顰めて声をあげると、緑色の髪をした青年が現れた。
あれってヤギのツノ?かな。
うん。悪魔っぽい。
サウロン様もだけど、パパもノインも普通に人間と同じ容姿だから、魔族らしい?見た目の人、初めて見た。
見た目はパパやノインと同い年っぽいけど、サウロン様を我が君と呼んでるし、年下?
「魔王閣下のご機嫌を損ねる行動してるヤツがいるみたいだよ。捕まえて来て」
「それは・・・誠に申し訳ございません。すぐに」
深々と頭を下げたセージと呼ばれた悪魔さんは、一瞬にして姿を消した。
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