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これは罰か①〜アークライン国王視点〜
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「せ、セドリック?何故、ここに・・・」
国王陛下が鎮座する、謁見の間に姿を見せたセドリックに、国王は驚きに腰を浮かせた。
先ほどまで他国からの使者と謁見していた国王は、疲れから王座から立ち上がる元気もなく、しばらくそこで休んでいたのだ。
王太子であるセドリックの幽閉。
セドリックの子を身籠ったはずの王太子妃フランカの不貞。
そのことによる公爵家の処分。
セドリックは病気静養中、王太子妃は出産による病死。子も亡くなったと公表したことで、他国から使者が訪れていたのだ。
新たに子を為す必要ができたことで、国王は心身ともに疲れ果てていた。
本来なら、王太子のセドリックと王太子妃のローズリッテに少しずつ後を任せて行く予定だったのに。
やはり、ローズリッテを処刑したことが間違いだったのでは。
国王は今更ながらそう考えていた。
聖女に心奪われたセドリックが、ローズリッテではなく聖女を妻にしたいと言い出した。
一応止めたものの、王妃にすれば聖女が他国に奪われることもなく、うまくすれば聖女の力を王家に取り込めるかもしれない。
ローズリッテの父であるフェルゼン公爵は、娘を駒としか見ていない。
王太子妃になる聖女を養女にしろと言えば、簡単にローズリッテを切り捨てるだろう。
そう思って認めたのだが、まさか処刑されたローズリッテに聖女が聖なる力を使うとは。
そのせいで聖女は聖力を失ってしまった。
そうだ。
処刑などせずに、お飾りの王妃にでもなんでもしておけば良かったのだ。
それでも、フェルゼン公爵を新たなセドリックの婚約者の父親にし、なんとか持ち返す予定だった。
ローズリッテには劣るが、ローズリッテの最後を知っている令嬢たちは、セドリックの婚約者の座を望もうとしない。
やっと得た王太子妃が懐妊したと知らせを受けた頃、セドリックに異変が起きた。
夜になると、痛みによる叫び声を上げる。
医師に見せても、閨行為に至ろうとすると痛みが起きているらしいとしか分からない。
幸いにも王太子妃は子を身籠っているので、行為をする必要はない。
毎夜絶叫するセドリックに、世話をするのは侍女から侍従へと変えた。
周囲から異性を遠ざけ、薬を処方してなるべく眠る時間を増やす。
起きていれば、そういう欲が出るのか、痛みに声を上げるのだ。眠らせるしかない。
そんな中、セドリックがローズリッテを見たと言い出した。
自分の目の前で首を斬られた令嬢だぞ?
何を言っているのかと相手にしなかったのだが、それ以来気が触れたようにセドリックは怯えるようになった。
もうセドリックは駄目だ。
王太子妃が産む子を、次期王太子にするしかない。
王妃とも話し合い、セドリックを北の塔に幽閉することにした。
国王陛下が鎮座する、謁見の間に姿を見せたセドリックに、国王は驚きに腰を浮かせた。
先ほどまで他国からの使者と謁見していた国王は、疲れから王座から立ち上がる元気もなく、しばらくそこで休んでいたのだ。
王太子であるセドリックの幽閉。
セドリックの子を身籠ったはずの王太子妃フランカの不貞。
そのことによる公爵家の処分。
セドリックは病気静養中、王太子妃は出産による病死。子も亡くなったと公表したことで、他国から使者が訪れていたのだ。
新たに子を為す必要ができたことで、国王は心身ともに疲れ果てていた。
本来なら、王太子のセドリックと王太子妃のローズリッテに少しずつ後を任せて行く予定だったのに。
やはり、ローズリッテを処刑したことが間違いだったのでは。
国王は今更ながらそう考えていた。
聖女に心奪われたセドリックが、ローズリッテではなく聖女を妻にしたいと言い出した。
一応止めたものの、王妃にすれば聖女が他国に奪われることもなく、うまくすれば聖女の力を王家に取り込めるかもしれない。
ローズリッテの父であるフェルゼン公爵は、娘を駒としか見ていない。
王太子妃になる聖女を養女にしろと言えば、簡単にローズリッテを切り捨てるだろう。
そう思って認めたのだが、まさか処刑されたローズリッテに聖女が聖なる力を使うとは。
そのせいで聖女は聖力を失ってしまった。
そうだ。
処刑などせずに、お飾りの王妃にでもなんでもしておけば良かったのだ。
それでも、フェルゼン公爵を新たなセドリックの婚約者の父親にし、なんとか持ち返す予定だった。
ローズリッテには劣るが、ローズリッテの最後を知っている令嬢たちは、セドリックの婚約者の座を望もうとしない。
やっと得た王太子妃が懐妊したと知らせを受けた頃、セドリックに異変が起きた。
夜になると、痛みによる叫び声を上げる。
医師に見せても、閨行為に至ろうとすると痛みが起きているらしいとしか分からない。
幸いにも王太子妃は子を身籠っているので、行為をする必要はない。
毎夜絶叫するセドリックに、世話をするのは侍女から侍従へと変えた。
周囲から異性を遠ざけ、薬を処方してなるべく眠る時間を増やす。
起きていれば、そういう欲が出るのか、痛みに声を上げるのだ。眠らせるしかない。
そんな中、セドリックがローズリッテを見たと言い出した。
自分の目の前で首を斬られた令嬢だぞ?
何を言っているのかと相手にしなかったのだが、それ以来気が触れたようにセドリックは怯えるようになった。
もうセドリックは駄目だ。
王太子妃が産む子を、次期王太子にするしかない。
王妃とも話し合い、セドリックを北の塔に幽閉することにした。
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