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淑女でなくても良いの?
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「サウロン様は、レイが好きなの?」
こういうことをストレートに聞けるのも、子供ゆえね。
サウロン様は一瞬驚いた顔をしたあと、にっこりと微笑んだ。
「好き。そっか。これが好きって感情かぁ。お気に入りと好きって違うんだよね?これが好きって気持ち?」
「えーと、私に聞かれても。お気に入りも好きの一種だと思いますけど・・・」
何故かサウロン様から逆に問われて、困ってしまう。
魔族ってそういう感情ないの?
でもパパはいつも「ロゼが大好きだ」って言ってくれるけど。
困って視線を巡らせると、ため息を吐いたノインと目が合う。
「サウロン、ロゼ様を困らせるんじゃありません。大体あなたは、自由過ぎるんです!いいですか?あなたの研究はとても役に立っていますし、素晴らしいと思いますが・・・」
あ。ノインがお説教モードに入っちゃったわ。
サウロン様はうんざりした顔で・・・あ。逃げた。
でも、ノインが簡単に転移させるとは思えないし、逃がしてあげたのかな?
ふふっ。
ノインはなんだかんだ言って、サウロン様のこと可愛がっているものね。
「ロゼ様、レイ。あまりサウロンが興味を持つようなお話はなさいませんよう。サウロンは少々研究が好き過ぎて困るのです。悪魔族の長がアレでは」
「・・・はぁい」
「申し訳ございません。私が余計なことを言ったのです」
ノインに叱責され、レイが深々と頭を下げる。
レイが悪いわけじゃないんだけど、素直に謝っておかないと、ノインのお小言は長くなる。
というか、サウロン様って悪魔族の長だったんだ。
それもそうか。魔王城に下っ端の魔族が出入りを許可はされないわよね。
パパとノインは、実質魔族のトップの位置にいるわけだし。
あれ?
でもレイは人間で、元聖女で。
私の侍女になっているけど、いいの?
私が小首を傾げると、ノインがため息を吐いた。
「良くはありませんが、ロゼ様のお命を救ったのです。それに陛下が良いと言えば、反論出来る者はいませんよ」
「・・・前から思ってたけど、何で考えてること分かるの?」
心が読めちゃうとかなの?
え、それ変なこと考えてたら恥ずかしいんだけど。
でもノインは苦笑して、私の頭を撫でてくれた。
「ロゼ様は大変素直でいらっしゃいますから、表情に出ているのですよ」
ガーン!
王太子妃教育を終えて、完璧令嬢と呼ばれた私が、表情に出てる?
ペタペタと顔を触る私に、レイがクスクスと笑う。
「ロゼ様は五歳なのですから、表情に出て良いのです。完璧な淑女だったローズリッテ様も素敵でしたけど、嬉しい時には笑い、悲しい時には泣く、そんな表情豊かなロゼ様のこと、私は大好きです」
こういうことをストレートに聞けるのも、子供ゆえね。
サウロン様は一瞬驚いた顔をしたあと、にっこりと微笑んだ。
「好き。そっか。これが好きって感情かぁ。お気に入りと好きって違うんだよね?これが好きって気持ち?」
「えーと、私に聞かれても。お気に入りも好きの一種だと思いますけど・・・」
何故かサウロン様から逆に問われて、困ってしまう。
魔族ってそういう感情ないの?
でもパパはいつも「ロゼが大好きだ」って言ってくれるけど。
困って視線を巡らせると、ため息を吐いたノインと目が合う。
「サウロン、ロゼ様を困らせるんじゃありません。大体あなたは、自由過ぎるんです!いいですか?あなたの研究はとても役に立っていますし、素晴らしいと思いますが・・・」
あ。ノインがお説教モードに入っちゃったわ。
サウロン様はうんざりした顔で・・・あ。逃げた。
でも、ノインが簡単に転移させるとは思えないし、逃がしてあげたのかな?
ふふっ。
ノインはなんだかんだ言って、サウロン様のこと可愛がっているものね。
「ロゼ様、レイ。あまりサウロンが興味を持つようなお話はなさいませんよう。サウロンは少々研究が好き過ぎて困るのです。悪魔族の長がアレでは」
「・・・はぁい」
「申し訳ございません。私が余計なことを言ったのです」
ノインに叱責され、レイが深々と頭を下げる。
レイが悪いわけじゃないんだけど、素直に謝っておかないと、ノインのお小言は長くなる。
というか、サウロン様って悪魔族の長だったんだ。
それもそうか。魔王城に下っ端の魔族が出入りを許可はされないわよね。
パパとノインは、実質魔族のトップの位置にいるわけだし。
あれ?
でもレイは人間で、元聖女で。
私の侍女になっているけど、いいの?
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「良くはありませんが、ロゼ様のお命を救ったのです。それに陛下が良いと言えば、反論出来る者はいませんよ」
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ガーン!
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「ロゼ様は五歳なのですから、表情に出て良いのです。完璧な淑女だったローズリッテ様も素敵でしたけど、嬉しい時には笑い、悲しい時には泣く、そんな表情豊かなロゼ様のこと、私は大好きです」
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