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この人がいたから私は生まれ変われた

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「え?本当にローズリッテ様?」

 レイニー様は、パパの牽制に足を止めたけど、キラキラとした目で私を見てくる。

 もういいわよね。
私、このレイニー様のこと嫌いじゃないわ。

「レイニー様が、私を生まれ変わらせてくれたんですね」

「ローズリッテ様?ええーっ!超絶かわいいー!聖女の力、マジでいい仕事してるっ!魔王ロイ・リヴァルスの娘とか、最高ッ!」

「・・・」

 どうしよう。
レイニー様がちょっとおかしいわ。

 でも、この人がいたから私は生まれ変われたんだ。

 私を冤罪で処刑したのは、セドリック様。

 それを容認したのは、あの時周囲にいた皆。

 婚約者がいながらの、王太子殿下の愚行を許していたのは王家。

 確かに、レイニー様はセドリック様と親しくしてた。

 でも、目の前のこの人がレイニー様と別人だというのなら、信じてもいいよね。

「レイニー様。そのような言葉遣いは淑女としていかがなものかと思いますわ」

「本当にローズリッテ様だぁ・・・良かったぁ。成功したんだ。本当、良かったぁ」

 ポロポロと涙をこぼして、それでも良かったと繰り返すレイニー様を、パパもノインも戸惑ったように見つめている。

 ラーヴァナはハンカチを出して、レイニー様の涙を拭ってあげていた。

 というか、注意したら私だと納得するなんて。

 私そんな風に言われるほど、レイニー様を叱っていないわよ。

 確かに王太子殿下の婚約者として、公爵令嬢として、毅然とした態度はとっていたつもりだけど。

 それが可愛くなかったのかしら。
だからセドリック様は、明るくて可愛いレイニー様のことを好きになったのかしら。

 それとも、レイニー様がいうようにここがその乙女ゲームとやらの世界だから?

 だから、私は冤罪で殺されなきゃいけなかったの?

 だけど、私たちはここで生きているのに!

 パパもノインも、ローズリッテだって生きているのに。

 それにレイニー様が言ったような、制服を汚したり、教科書を破いたりなんてしてないわ。

 国王陛下やお父様に言われたこともあり、レイニー様に近づくことさえしなかった。

「それで、そのウィンウィンというやつだから、レイニー様は私を生まれ変わらせてくれたんですね?」

「はいっ!というか、ローズリッテ様おいくつですか?まさか生まれ変わったローズリッテ様ともう一度会えるとか思いませんでした」

「私は今、五歳です。あ、あとローズリッテではなくロゼって呼んでください」

「ロゼ様!ロゼって薔薇色って意味で、ローズも薔薇だから・・・やっぱりローズリッテ様の生まれ変わりなんですねぇ。でも、五歳ってことは、ローズリッテ様が亡くなる前に生まれ変わったってことですよね。不思議ぃ~」

 他人事みたいに言うけど、貴女が生まれ変わらせたのよ?
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