7 / 56
私が生きてきた意味は?
しおりを挟む
私を・・・ローズリッテを救うために、全ての聖なる魔力を使ったの?
そしてあの艶やかで綺麗だった黒髪が、真っ白になった?
セドリック様に望まれていたのに。
聖女でなくなったのなら、正妃になるのは難しくなる。
それなのに、ローズリッテを救おうとしたの?
「その後、レイニー様は・・・ううん。それで王太子たちはどうなったの?」
レイニー様のことは気になるけど、今は報告を聞こう。
「卒業パーティーでの断罪に関して、叱責はされ、新たな婚約者を正妃として娶るように命じられました。それがトゥーン公爵令嬢です。どうやら国王は冤罪で公爵令嬢を殺したことより、聖女を失うきっかけを作ったことを罰しただけのようですね」
「・・・」
分かってた。
セドリックが生きていて、婚約者がいると聞いた時点で、国王陛下が重い処罰を与えてはいないことくらい。
私はモソモソとパパのお膝によじ登り、ギュッと抱きついた。
私は・・・
そんなどうでもいい存在だったの?
生まれた時から、本人の意思も関係なく婚約者とされ。
それはセドリック様も同じだったかもしれないけど。
相手は国王陛下だから、いつも会える方ではなかったけど。
お話もほとんどしたことはないけど。
それでも、学園に入るまでは何度かお会いしたことがあったわ。
「セドリックは、ローズリッテ嬢のことが大好きなようだ。これからも仲良くしてやってくれ」
国王陛下としてでなく、父親としての言葉をかけてくれたこともあった。
私は・・・
そんなにどうでもいい存在だったの?
簡単に変えの効く、死を悼まれないような、そんなちっぽけな存在なの?
国王陛下が調べれば、セドリック様の言ったことなんか冤罪だと、すぐに判明したはず。
それなのに、セドリック様を罰することもしなかったの。
「ロゼ。ローズリッテ、泣くな」
「ロゼだもん。私はパパの子供のロゼだもん」
「そうだな。済まなかった、ロゼ。後でノイン特製のケーキをやるから、元気を出せ」
「では、陛下の分はロゼ様に差し上げましょう。報告を続けても大丈夫ですか?」
甘えてしがみついた私の背中を、パパは優しく撫でてくれる。
ノインも私を気遣うように尋ねてくれる。
たった五年しか一緒にいない彼らが、こんなに気遣ってくれるのに・・・
「うん。フェルゼン公爵家はどうなったの?」
「トゥーン公爵家が、そのフェルゼン公爵家です。聖女を失うきっかけとなったローズリッテ様の実家ということで、罰として公爵家は取り潰し。ですが、新たにトゥーン公爵となりました。トゥーン伯爵家に婿入りし、伯爵家を陞爵する形で」
そしてあの艶やかで綺麗だった黒髪が、真っ白になった?
セドリック様に望まれていたのに。
聖女でなくなったのなら、正妃になるのは難しくなる。
それなのに、ローズリッテを救おうとしたの?
「その後、レイニー様は・・・ううん。それで王太子たちはどうなったの?」
レイニー様のことは気になるけど、今は報告を聞こう。
「卒業パーティーでの断罪に関して、叱責はされ、新たな婚約者を正妃として娶るように命じられました。それがトゥーン公爵令嬢です。どうやら国王は冤罪で公爵令嬢を殺したことより、聖女を失うきっかけを作ったことを罰しただけのようですね」
「・・・」
分かってた。
セドリックが生きていて、婚約者がいると聞いた時点で、国王陛下が重い処罰を与えてはいないことくらい。
私はモソモソとパパのお膝によじ登り、ギュッと抱きついた。
私は・・・
そんなどうでもいい存在だったの?
生まれた時から、本人の意思も関係なく婚約者とされ。
それはセドリック様も同じだったかもしれないけど。
相手は国王陛下だから、いつも会える方ではなかったけど。
お話もほとんどしたことはないけど。
それでも、学園に入るまでは何度かお会いしたことがあったわ。
「セドリックは、ローズリッテ嬢のことが大好きなようだ。これからも仲良くしてやってくれ」
国王陛下としてでなく、父親としての言葉をかけてくれたこともあった。
私は・・・
そんなにどうでもいい存在だったの?
簡単に変えの効く、死を悼まれないような、そんなちっぽけな存在なの?
国王陛下が調べれば、セドリック様の言ったことなんか冤罪だと、すぐに判明したはず。
それなのに、セドリック様を罰することもしなかったの。
「ロゼ。ローズリッテ、泣くな」
「ロゼだもん。私はパパの子供のロゼだもん」
「そうだな。済まなかった、ロゼ。後でノイン特製のケーキをやるから、元気を出せ」
「では、陛下の分はロゼ様に差し上げましょう。報告を続けても大丈夫ですか?」
甘えてしがみついた私の背中を、パパは優しく撫でてくれる。
ノインも私を気遣うように尋ねてくれる。
たった五年しか一緒にいない彼らが、こんなに気遣ってくれるのに・・・
「うん。フェルゼン公爵家はどうなったの?」
「トゥーン公爵家が、そのフェルゼン公爵家です。聖女を失うきっかけとなったローズリッテ様の実家ということで、罰として公爵家は取り潰し。ですが、新たにトゥーン公爵となりました。トゥーン伯爵家に婿入りし、伯爵家を陞爵する形で」
26
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?
桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」
やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。
婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。
あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
築地シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる