冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します

みおな

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全部話すことにしたの

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「というわけなの」

 パパとノインに、ローズリッテだった時のことを全て話した。

 たった十五年。
しかも学園に入るまでは、さほど大きな出来事はなかったわ。

 生まれてすぐに王太子の婚約者になったこと。

 彼を支えるべく、厳しく教育されたこと。

 学園に入ったら、婚約者が聖女に夢中になったこと。

 そして卒業パーティーで、冤罪で処刑されたこと。

 パパとノインは、黙って最後まで聞いてくれた。

 話すことで思い出して、セドリックやローズリッテの父親に対する怒りが再燃した。

 絶対、絶対、許せないわ。

 あの時の悔しかった気持ちや、悲しかった気持ちで、涙が浮かんでくる。

「ロゼ、泣くな」

「パパ・・・」

 パパに・・・魔王ロイ・リヴァルスに申し訳ないとか、そういう感情はない。

 だって、私はロゼ・リヴァルスとして生まれた。

 ローズリッテとしての記憶はあるけど、完全に生まれ変わっているんだもの。

 だからパパは私のパパだし、会ったことはないけど、ママはロゼを産んでくれた人がママだ。

 だけど、ローズリッテの記憶が、前世の記憶があることも事実で、その憎しみというか悔しさをなかったことにはできない。

 だって、今もローズリッテを殺した彼らは生きている。

 婚約者がレイニー様じゃないこととか、色々気になることはあるけど。
 今いるセドリックが、ローズリッテを殺したセドリックと同じとは限らない。

 それに、ローズリッテの父がどうしているのかもわからないし、ローズリッテ自身が存在していたのかもわからない。

 それを知りたいと思った。

 だから、パパに全てを話したのだ。

「ノイン。調べろ。ローズリッテ・フェルゼンという令嬢が存在したのか。そして、何があったのか。おそらくその聖女とやらの力だろうが、誰がロゼに生まれ変わらせたのか。もし、その聖女の仕業ならなぜそんなことをしたのか。全て背景を調べ尽せ」

「御意」

「パパ・・・信じてくれるの?」

「当たり前だ。ロゼが俺に嘘をつくわけがないだろう」

 たった五年。
五年しかそばにいなかった私を、無条件で信じていると言ってくれるパパ。

 生まれてすぐに婚約して、十五年。
王太子であるセドリックを支えようと、彼を信じようと、レイニー様のことも責めもしなかった私を、信じるどころか冤罪で殺した婚約者。

 苦しくて、嬉しくて、切ない。

 私、最初からパパの子供で生まれたかった。
 
「パパ。大好き。信じてくれてありがとう」

「ロゼ。お前は俺の最愛の娘だ。それはお前に前世の記憶があろうとなかろうと変わらない」

 その言葉が嬉しくて、また涙が出た。
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