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悪役令嬢、うんざりする。

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「ラトビア様との婚約を?」

 アイル様の問いに、私は頷きました。

 今日は、イレーヌ様とカレリア様と共に、ローラン伯爵家にお邪魔しています。

 私とオリバー・ラトビア侯爵令息との婚約は、昨日正式に解消されました。

「うちの馬鹿が本当に申し訳ない」

 そう言って、ラトビア侯爵様と侯爵夫人様は頭を下げられましたわ。
 私は、侯爵様と侯爵夫人様のことは大好きでしたから、こんなことになって本当に残念です。

 ですが、もしオリバー様がプルメリア男爵令嬢の魔法にかかっていたとしても、許せない気持ちは消えません。

 ただ、オリバー様は魔法にかかってないってカイルは言っていたわ。かかってなくてアレなのね。

「オリバー様・・・いえ、もうラトビア様と言うべきですわね。ご本人には、まだお伝えしないようにお願いしてありますの。プルメリア男爵令嬢を断罪する時に、ラトビア様にも罪を償っていただくつもりです」

「ラトビア侯爵様は、ご子息を廃籍されるとか聞きましてよ」

「さすがイレーヌ様。レジスタ公爵家の情報収集には敵いませんわ」

 侯爵様は、婚約者がいながら不貞行為とも言える態度を取っているご子息を廃籍するとおっしゃいました。

 それに騎士を目指す者が、伯爵令嬢であるアイル様に暴力を振るおうとなさったことは、どうしても許せないそうです。

 オリバー様には、3歳年下の弟君がいますから、ラトビア侯爵家の後継は弟君にされるみたいです。

 今度のパーティーは、王太子殿下主催で、プルメリア男爵令嬢を断罪するためだけのパーティーです。

 ですが、国王陛下はもちろんのこと、高位貴族の方々にはお知らせしてありますわ。

 だって、私たちには彼女の嘘を暴くことや、罪を明らかにすることは出来ても、罪を償わせることはできません。

 それができるのは、父親であるプルメリア男爵か、国王陛下だけですもの。

 プルメリア男爵にも、ご令嬢の振る舞いについてはお話してありますわ。

 キンバレー公爵家から、抗議という形で。
 プルメリア男爵は、まさか引き取った元平民の娘が、学園でそんなことをしているとは思っていなかったみたいですわ。

 賠償金を払わなくていいという条件で、プルメリア嬢を罪に問う許可を取りましたの。

 薄情と思われるかもしれませんけど、引き取ったばかりの娘ですもの。そんなに情もありませんわよね。

 それに、庇い切れるものではありませんもの。
 彼女の使った魔法は、禁忌とされるもの。単に平民落ちで済むものではないのですから。
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