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第43.5話
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あけましておめでとうございます㊗️
拙い作品たちと作者ですが、今年もどうぞよろしくお願いします。
新年記念の、おまけをどうぞ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「見て、リズ。ここからだと王都が一望出来るんだ」
アルバートの言葉に、エリザベスは塔の窓から見える景色に目をキラキラと輝かせた。
「綺麗。この世界をアルが守るのね」
「僕と・・・リズがね。リズも守ってくれるよね?」
「もちろんよ。大好きなアルと一緒に守るわ」
「・・・家族と離れることになってしまっても?」
不安そうに揺れるアルバートの瞳。
だけど、エリザベスはにっこりと微笑む。
「お父様もお母様も気にしないわ。二人は伯爵夫妻ではあるけど、貴族であることにこだわりはないの。お父様なんて商売に便利だから伯爵でいるだけよ。お母様も社交は嫌いだと言ってたし。それに、商会を持つお父様お母様には会おうと思えば、いつでも会えるわ。クシュリナ王国に本店を移せばいいんだもの」
「ははっ。カリスタ伯爵夫人は、我が国にも聞こえるほどの『妖精の貴婦人』だからな。しかし、国の三割の税収の商会を移転するとなると、クレメンタイン王家が何か言わないかい?」
「さあ?分からないけど、お父様はやると言えばやってしまう方よ。昔からそうだってお母様がおっしゃっていたもの。だから、私が気にすることはないわ」
「そう・・・そうだね。早く、リズと婚約したいな」
そう言ったアルバートの手と自分の手を、エリザベスはそっと繋ぐ。
眼下のクシュリナ王国王都が、キラキラと輝いていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はい、あーん」
「ん~。はい、あーん」
「ん」
ぴったりと隣に座り、お互いの膝の上に置いた皿から、それぞれ焼き菓子を摘むと、相手の口へと運ぶ。
セイラ・フォールスとセイン・フォールスは、似ていない双子だ。
いや。真っ直ぐな黒髪も黒曜石のような瞳も、その整った容姿も同じだが、庇護欲を掻き立てるような小動物のような姿と、すらっとした凛々しい姿の、見目麗しい兄妹。
だからこそ、二人には常に危険が付き纏った。
家が男爵家と身分が低かったことも、災いした。
二人を養子になんて、優しい方だ。
街に出れば、貴族、平民どちらにも狙われ、危険に晒される。
だから二人とも、自分たちを守れるのは自分たちだけだと、その容姿を逆手に取って危険を潜り抜けて来た。
だが、まだ子供の二人。
両親を巻き込み、失い、そして奪われそうになった矜持を救ってくれたのは、クシュリナ王国王太子アルバート。
二人の現在の主人だ。
セインとセイラ、二人を守ってくれた二人が必ず守るべき大切な存在。
そのために、二人はお互いの持つ全力を使って、アルバートの願いを叶える。
あの日、アルバートが自分たちを救ってくれたように。
拙い作品たちと作者ですが、今年もどうぞよろしくお願いします。
新年記念の、おまけをどうぞ。
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「見て、リズ。ここからだと王都が一望出来るんだ」
アルバートの言葉に、エリザベスは塔の窓から見える景色に目をキラキラと輝かせた。
「綺麗。この世界をアルが守るのね」
「僕と・・・リズがね。リズも守ってくれるよね?」
「もちろんよ。大好きなアルと一緒に守るわ」
「・・・家族と離れることになってしまっても?」
不安そうに揺れるアルバートの瞳。
だけど、エリザベスはにっこりと微笑む。
「お父様もお母様も気にしないわ。二人は伯爵夫妻ではあるけど、貴族であることにこだわりはないの。お父様なんて商売に便利だから伯爵でいるだけよ。お母様も社交は嫌いだと言ってたし。それに、商会を持つお父様お母様には会おうと思えば、いつでも会えるわ。クシュリナ王国に本店を移せばいいんだもの」
「ははっ。カリスタ伯爵夫人は、我が国にも聞こえるほどの『妖精の貴婦人』だからな。しかし、国の三割の税収の商会を移転するとなると、クレメンタイン王家が何か言わないかい?」
「さあ?分からないけど、お父様はやると言えばやってしまう方よ。昔からそうだってお母様がおっしゃっていたもの。だから、私が気にすることはないわ」
「そう・・・そうだね。早く、リズと婚約したいな」
そう言ったアルバートの手と自分の手を、エリザベスはそっと繋ぐ。
眼下のクシュリナ王国王都が、キラキラと輝いていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はい、あーん」
「ん~。はい、あーん」
「ん」
ぴったりと隣に座り、お互いの膝の上に置いた皿から、それぞれ焼き菓子を摘むと、相手の口へと運ぶ。
セイラ・フォールスとセイン・フォールスは、似ていない双子だ。
いや。真っ直ぐな黒髪も黒曜石のような瞳も、その整った容姿も同じだが、庇護欲を掻き立てるような小動物のような姿と、すらっとした凛々しい姿の、見目麗しい兄妹。
だからこそ、二人には常に危険が付き纏った。
家が男爵家と身分が低かったことも、災いした。
二人を養子になんて、優しい方だ。
街に出れば、貴族、平民どちらにも狙われ、危険に晒される。
だから二人とも、自分たちを守れるのは自分たちだけだと、その容姿を逆手に取って危険を潜り抜けて来た。
だが、まだ子供の二人。
両親を巻き込み、失い、そして奪われそうになった矜持を救ってくれたのは、クシュリナ王国王太子アルバート。
二人の現在の主人だ。
セインとセイラ、二人を守ってくれた二人が必ず守るべき大切な存在。
そのために、二人はお互いの持つ全力を使って、アルバートの願いを叶える。
あの日、アルバートが自分たちを救ってくれたように。
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