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第二十七話

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「仕方ないわね。王家の騎士団に連絡して、迎えに来るように伝えてちょうだい」

 私の指示にミリアはすぐに、我が家の家令に伝言に行きました。

 え?
イーサン様に会わないのかですか?

 会いませんわ。だって、文句を言われるだけですのよ?

 何故にわざわざ、嫌な思いをしなければならないのですか?

 家令には約束のないお客様には、私は留守だと伝えるように言ってあります。

 我がカリスタ伯爵家は、多くの商会を運営しております。

 商会運営は、連絡が基本です。
アポなしの面会など、あり得ませんわ。

 しばらくすると、王宮から騎士団の方が来てイーサン様を連れて行って下さったようです。

 やれやれですわ。

 学園に通うのは、一週間ほど先にしましょう。

 万が一に顔を合わせて、文句を言われたらたまりませんから。

「ブレンディ侯爵家に抗議文を送りますか?」

 ミリアの言葉に、私は首を横に振ります。

「いいわ、放置で。すぐに騎士団の方が動いて下さったし、会わずに済んだから不快でもないもの。それよりも、カタロニア公爵家のダイアナ様に注意喚起のお手紙を出すわ。便箋をお願い」

「はい、すぐに」

 おそらく、明日にでも学園でダイアナ様に絡むはず。

 すでに、第二王子殿下たちは学園を卒業されていますから、ダイアナ様が心配ですわ。

 ブレンディ侯爵ご夫妻は、お優しい方ですが、息子の言動を把握できていません。

 国王陛下たちに良いように使われていることもそうですし、ご自分たちの選んだ道ですから諦めていただくしかありませんわね。

 イーサン様が王弟殿下にされても、爵位が下がったとしてもお家取り潰しとまではいかないでしょう。

 イーサン様には弟様がいらっしゃいますから、ブレンディ侯爵家を潰したいとまでは思いませんわ。

 もちろんご両親には、親としての責任をとっていただかなければなりませんが。

「変に抗議して、婚約解消に支障が出ても困りますもの。ですが、ダイアナ様から第二王子殿下や第一王子殿下にはお知らせいただきましょう。必要なら、お父様たちから抗議していただきますわ」

「わかりました。旦那様がお戻りになられましたら、すぐにお嬢様にお知らせいたします」

 その夜、お戻りになったお父様に昼間のことをお話しましたら、今回は放置という結論になりました。

 ただし二度目は抗議するので、何かあればすぐに知らせるようにと言われましたわ。

 婚約の解消は、私とイーサン様、クシュリナの王太子殿下とドロシー王女殿下、両方を同時に行う予定なので、諸々タイミングを合わさなければなりませんのよ。
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