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15歳

104ページ:ウエディングドレス

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「シエルちゃんは、こっちとこっち、どちらが好き?それともあちらの方がすきかしら?」

 ええと。おかしい。
確かにお母様は、精霊の国に行く前に、ウエディングドレスは準備しておくわって言ってくれた。

 だけど、部屋中にウエディングドレスが並んでいるというのは、おかしくない?

 Aラインのドレスに、プリンセスラインのドレス。エンパイヤラインに、マーメイドライン。

 プリンセスラインだけでも、幾重にもパニエを重ねたタイプや、フリルが多いタイプなど、何種類もあって・・・
 一体、何着あるの?

「お母様。一体、何着あるんですか?」

「えー?10着ちょっとよ?一生に一度しか着れないんだから、似合うだけじゃなくシエルちゃんが着たいのにしたいじゃない」

 その気持ちは嬉しい。
本当なら、母親であるお母様と、ドレスを決めたりとかたくさん話しながら、結婚式まで過ごすはずだった。

 だけど、私は精霊王であるノワールを選んでしまった。

 王女でありながら、国民の前でウエディングドレスを見せることも出来ないし、お父様にエスコートされて結婚の誓いを述べることも出来ない。

 あんなに大切にされて、育ててもらったのに、親不孝だなと思う。

 私がノワールのところに嫁いだら、お父様はアル兄様に譲位し、お母様と一緒に旅に出るそうだ。

 いろんな国を旅して、もしかしたら他国に住むかもしれないそうだ。

 アル兄様の治世のためにも、できればそばにいない方が良いと判断されたらしい。

 私は、そこがどこでもお父様たちの元へ転移することはできる。

 だから、お父様たちの決断にどうこう言うつもりはないし、どこにいてもお父様たちを守ることはできる。

「シエルちゃんは小柄だから、エンパイヤラインのはどう?」

「私はできればシンプルめなのが良いです」

 エンパイヤラインは、胸元で切り替えがあって、お腹の辺りに締め付けのないナチュラルなドレスだ。
 小柄な部類の私には似合うと思うけど。前世のイメージとしてはAラインがウエディングドレスって感じなのよね。

 プリンセスラインの、フワフワとしたのもAラインと一緒で人気みたいだけど、シエルの見た目には似合うのに、中身・・・つまり性格に合わない気がする。

 あれって、やっぱり若い子が似合う。
いや。若いけどね、シエル。

「精霊王様は、闇の精霊王様だから、お衣装は黒なのかしら?」

「・・・そうですね。黒しか見たことないです」

「黒のレースや、刺繍をする?」

 この国のウエディングドレスは、必ずしも白でなければならないわけではない。

 婚約者・・・つまりは夫になる人の色を纏ったり、宝石を付けたりする。

 黒のレースか。
なんかちょっとエロ?




 
 

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