86 / 108
10歳
85ページ:少しくらいは学習する
しおりを挟む
アル兄様は、中々、シャンティーヌ様との婚約を受け入れようとしなかった。
いや。
決断を先延ばしにしているだけだろう。
だけどお父様は、シャンティーヌ様との婚約をしない場合は身分剥奪だと言っていた。
つまりは、私と婚約することは、永遠にないということだ。
申し訳ないとは思うけど、私が今現在アル兄様に抱いている気持ちは、マモンや王宮付きの侍女に対する気持ちと大差ない。
つまりは、好きだけど、恋愛の好きではないのだ。
私だって、転生してから5年も王女をやっているわけで、政略結婚というものも一応理解している。
王女として、政略結婚を求められたら、それには従うつもりだ。
だけど、アル兄様との結婚には、全く政略結婚の意味はないのだ。
私は、アル兄様のことが嫌いなわけではない。
優しくしてくれているし、大切にしてくれていることもわかっている。
私は、アル兄様に幸せになって欲しいと思っている。
そして、亡きご両親の跡をしっかりと継いでほしいとも。
だから、シャンティーヌ様と婚約するべきだ。
そして、もう1度王太子として前向きに進むべきだと思う。
アル兄様の決断を待つ間に、私はブロワー伯爵家を訪れることにした。
「引き継ぎは順調ですか?」
「ええ、シエル殿下。元々、マズルかマモンに爵位は譲るつもりだったので、学園卒業後は領地経営の勉強もさせていましたから。それよりも、殿下」
「はい?」
「マモンと、マズルのこと、本当に申し訳ございませんでした」
ブロワー伯爵と伯爵夫人、そしてマルクが頭を下げる。
「もう終わったことです。それと、王太子殿下の決断が遅れていることをお詫びします。もう少し待ってもらえますか?」
「そんな、滅相もない。殿下に謝っていただくことなどありません。本来なら、王太子殿下に処罰が下るなど」
「国王陛下が判断されたことです。それに、上に立つ者こそ、厳しく罰せられるべきですから」
そう。
私がブロワー伯爵家を訪れたのは、アル兄様の決断まで、もう少し待って欲しいとお願いするためである。
マズルもそうだし、マモンも即座に辺境へと送られた。
なのに、同じように処罰を言い渡された王太子が、いつまでも対応しないことには問題がある。
ブロワー伯爵たちは、不満に思うかもしれない。
そう思って、お願いに来たというわけだ。
私は前回のマモンのときに、キチンとブロワー伯爵家にフォローをしなかった。
その結果が、今回のマズルの一件に繋がってしまった。
一応、私も学習するのである。
いや。
決断を先延ばしにしているだけだろう。
だけどお父様は、シャンティーヌ様との婚約をしない場合は身分剥奪だと言っていた。
つまりは、私と婚約することは、永遠にないということだ。
申し訳ないとは思うけど、私が今現在アル兄様に抱いている気持ちは、マモンや王宮付きの侍女に対する気持ちと大差ない。
つまりは、好きだけど、恋愛の好きではないのだ。
私だって、転生してから5年も王女をやっているわけで、政略結婚というものも一応理解している。
王女として、政略結婚を求められたら、それには従うつもりだ。
だけど、アル兄様との結婚には、全く政略結婚の意味はないのだ。
私は、アル兄様のことが嫌いなわけではない。
優しくしてくれているし、大切にしてくれていることもわかっている。
私は、アル兄様に幸せになって欲しいと思っている。
そして、亡きご両親の跡をしっかりと継いでほしいとも。
だから、シャンティーヌ様と婚約するべきだ。
そして、もう1度王太子として前向きに進むべきだと思う。
アル兄様の決断を待つ間に、私はブロワー伯爵家を訪れることにした。
「引き継ぎは順調ですか?」
「ええ、シエル殿下。元々、マズルかマモンに爵位は譲るつもりだったので、学園卒業後は領地経営の勉強もさせていましたから。それよりも、殿下」
「はい?」
「マモンと、マズルのこと、本当に申し訳ございませんでした」
ブロワー伯爵と伯爵夫人、そしてマルクが頭を下げる。
「もう終わったことです。それと、王太子殿下の決断が遅れていることをお詫びします。もう少し待ってもらえますか?」
「そんな、滅相もない。殿下に謝っていただくことなどありません。本来なら、王太子殿下に処罰が下るなど」
「国王陛下が判断されたことです。それに、上に立つ者こそ、厳しく罰せられるべきですから」
そう。
私がブロワー伯爵家を訪れたのは、アル兄様の決断まで、もう少し待って欲しいとお願いするためである。
マズルもそうだし、マモンも即座に辺境へと送られた。
なのに、同じように処罰を言い渡された王太子が、いつまでも対応しないことには問題がある。
ブロワー伯爵たちは、不満に思うかもしれない。
そう思って、お願いに来たというわけだ。
私は前回のマモンのときに、キチンとブロワー伯爵家にフォローをしなかった。
その結果が、今回のマズルの一件に繋がってしまった。
一応、私も学習するのである。
103
お気に入りに追加
3,199
あなたにおすすめの小説
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる