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10歳

46ページ:解放と対決

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「試してみますか」

 私に、それだけの力があるのかは分からない。
 でも、呪法で支配されてるイービルを助けたいと思う。

 えーと、どうやればいいんだろう?
とりあえず、イービルに手をかざして願ってみる?呪法を解除したいって。

 跪くイービルに、手をかざして、心の中で唱えてみる。

 この者にかけられた血の呪法の解除を望む・・・

 かざした手のひらから、緑色の光が溢れ出て、それがイービルを包み込んだ。

『グッ・・・』

 一瞬、イービルが苦しげに顔をしかめた。
やっぱり、ダメか。

 そう思ってかざした手を下ろそうとした直後、イービルの体内から黒紫色の、嫌な感じの靄が溢れ出る。

『ぐぁっ・・・』

『耐えろ、イービル。解除されるぞ』

 痛みなのか、苦しみなのか、体を抱え込むイービルに、ノワールが短く命令した。

 解除される?じゃあ、あの靄が呪法なのか。

 靄はイービルの体から完全に抜け切ると、まるで意思あるもののように、天井近くでカタチを形成する。

 目があるわけでもないけど、ソレが私を見ているような気がした。

 ソレは私から視線を逸らすと・・・目ないけど!ノワールに向かって一気に加速する。

 ノワールに取り憑く気?
私はノワールの前に立ち塞がった。

「させません!」

 私は、力の使い方を理解しているわけではない。
 だけど、今のところこのチートな力は私に好意的に作用している。
 というわけで、願えばなんとかなる!と思う!

「!!?」

 何とかなると思ったけど・・・
えーと?靄に向かって眩い光が放たれたと思ったら、靄消えちゃったんだけど?

 アレって、光で消滅したの?
振り返ってノワールの無事を確認する。うん、大丈夫っぽい。

 イービルは・・・
うん、立ち上がってるし大丈夫そう。

『さすがはマスターです』

「ノワール、あれってなんなの?でもって、アレ倒せたの?」

 イービルに戻ったとかじゃないよね?
というか、イービルにかけられてた呪法は解けたのかな?

『あれが血の呪法です。術者の血を使いますから、術者の影響であのように動くことがあります。マスターが消滅させましたから、おそらく術者に跳ね返りがあったのではないでしょうか』

「イービルは大丈夫?」

『ありがとうございます。マスターのおかげで、我は解放されました』

 良かったぁ。
これで、ブラッド伯爵は精霊の力を使えないってことだよね。

 はっ!
新たな精霊を喚び出されたら、マズい。
 闇の精霊なら、ノワールに言えばいいのかもだけど、他の精霊を喚びだしたりしないだろうか。

「他の精霊を喚び出されたりしないかな?ノワール、どうしたらいい?」

『おそらくその人間は、闇の系統なのでしょう。闇の精霊は、呼びかけに応えないように、我が周知しておきます。ご心配無用です』

 そっか。
ならあとは、ブラッド伯爵本人への対処だよね。


 







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