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10歳

28ページ:政略結婚じゃなく

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 私の大好き発言に、お父様とお母様は歓喜の表情を、アル兄様は絶望の表情を浮かべた。

 まぁ、気持ちはわかる。
私を溺愛している3人である。大好きと言われれば嬉しいだろうし、自分の発言のせいでそれを言われない立場になったのなら、絶望するだろう。

 でもまぁ、アル兄様のことを別に嫌いなわけではない。

 ロイ叔父様のように胡散臭い相手は好きになれないが、少々?大分?ロリなところは気になるけど、それもまぁシエル個人を見ていると思えば許せる範囲だし。

 だけど、私を婚約者にと望むなら、このチートっぷりは認めてもらう必要がある。

 ずっと一緒に過ごす相手に、隠し事だらけというのは、中々疲れるのだ。

「シエル・・・ごめん」

「アル兄様、私は別に怒っていませんよ?私が異端なことは自分でも理解しています。ただ、はそれを当たり前のことのように受け入れた。それを嬉しいと思った。ただそれだけのことです」

「当たり前よ。たとえシエルちゃんが魔王になったとしても、わたくしはシエルちゃんの母親。全てのものからシエルちゃんを守ってみせるわ」

「その通りだ、シルフィール。シエルはシエルだ。何を思おうと、何をしようと、私たちはシエルのことが大好きだよ」

 お父様とお母様の言葉に、にっこりと笑顔を返す。

 やっぱり、この家族っていいなぁ。
前世の私は家族とは疎遠になっていたし、子供の頃も親に甘やかされた記憶なんてない。

 だから、最初はお父様とお母様の溺愛には戸惑った。
 でも、一緒に過ごすうちに、すごく嬉しいと感じるようになった。

 私が魔王になっても守ってくれると言ったお母様。
 私も、絶対にお父様とお母様たちのことは守ってみせる。

「というわけで、クラウディア王国の学園に通おうと思います」

 今度はアル兄様も、何も言わなかった。
というか、まだ復活してないわ。

 この人、私が好きにならなかったら、どうするつもりなんだろ。
 王太子がいつまでも婚約者がいないままって、本当に問題だと思うんだけど。

「アル兄様。クラウディア王国の学園を卒業するまでに、私が誰も好きにならなかったら、婚約しましょう」

「え?ええと、本当に?」

「私は別に、アル兄様のことを嫌いじゃないんですよ?家族としての愛情はあります。でも、出来るなら、恋愛感情としての好きになった相手と結婚したいんです。お父様もお母様も、私に政略結婚は望まれてないみたいですから」

 ありがたいことに、王女だというのに、お父様もお母様もそれを私に強要しない。
 いや、私だけじゃない。
アル兄様にも政略結婚を求めてないから、きっと今、婚約者がいないのね。

 
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