29 / 108
10歳
28ページ:政略結婚じゃなく
しおりを挟む
私の大好き発言に、お父様とお母様は歓喜の表情を、アル兄様は絶望の表情を浮かべた。
まぁ、気持ちはわかる。
私を溺愛している3人である。大好きと言われれば嬉しいだろうし、自分の発言のせいでそれを言われない立場になったのなら、絶望するだろう。
でもまぁ、アル兄様のことを別に嫌いなわけではない。
ロイ叔父様のように胡散臭い相手は好きになれないが、少々?大分?ロリなところは気になるけど、それもまぁシエル個人を見ていると思えば許せる範囲だし。
だけど、私を婚約者にと望むなら、このチートっぷりは認めてもらう必要がある。
ずっと一緒に過ごす相手に、隠し事だらけというのは、中々疲れるのだ。
「シエル・・・ごめん」
「アル兄様、私は別に怒っていませんよ?私が異端なことは自分でも理解しています。ただ、家族はそれを当たり前のことのように受け入れた。それを嬉しいと思った。ただそれだけのことです」
「当たり前よ。たとえシエルちゃんが魔王になったとしても、わたくしはシエルちゃんの母親。全てのものからシエルちゃんを守ってみせるわ」
「その通りだ、シルフィール。シエルはシエルだ。何を思おうと、何をしようと、私たちはシエルのことが大好きだよ」
お父様とお母様の言葉に、にっこりと笑顔を返す。
やっぱり、この家族っていいなぁ。
前世の私は家族とは疎遠になっていたし、子供の頃も親に甘やかされた記憶なんてない。
だから、最初はお父様とお母様の溺愛には戸惑った。
でも、一緒に過ごすうちに、すごく嬉しいと感じるようになった。
私が魔王になっても守ってくれると言ったお母様。
私も、絶対にお父様とお母様たちのことは守ってみせる。
「というわけで、クラウディア王国の学園に通おうと思います」
今度はアル兄様も、何も言わなかった。
というか、まだ復活してないわ。
この人、私が好きにならなかったら、どうするつもりなんだろ。
王太子がいつまでも婚約者がいないままって、本当に問題だと思うんだけど。
「アル兄様。クラウディア王国の学園を卒業するまでに、私が誰も好きにならなかったら、婚約しましょう」
「え?ええと、本当に?」
「私は別に、アル兄様のことを嫌いじゃないんですよ?家族としての愛情はあります。でも、出来るなら、恋愛感情としての好きになった相手と結婚したいんです。お父様もお母様も、私に政略結婚は望まれてないみたいですから」
ありがたいことに、王女だというのに、お父様もお母様もそれを私に強要しない。
いや、私だけじゃない。
アル兄様にも政略結婚を求めてないから、きっと今、婚約者がいないのね。
まぁ、気持ちはわかる。
私を溺愛している3人である。大好きと言われれば嬉しいだろうし、自分の発言のせいでそれを言われない立場になったのなら、絶望するだろう。
でもまぁ、アル兄様のことを別に嫌いなわけではない。
ロイ叔父様のように胡散臭い相手は好きになれないが、少々?大分?ロリなところは気になるけど、それもまぁシエル個人を見ていると思えば許せる範囲だし。
だけど、私を婚約者にと望むなら、このチートっぷりは認めてもらう必要がある。
ずっと一緒に過ごす相手に、隠し事だらけというのは、中々疲れるのだ。
「シエル・・・ごめん」
「アル兄様、私は別に怒っていませんよ?私が異端なことは自分でも理解しています。ただ、家族はそれを当たり前のことのように受け入れた。それを嬉しいと思った。ただそれだけのことです」
「当たり前よ。たとえシエルちゃんが魔王になったとしても、わたくしはシエルちゃんの母親。全てのものからシエルちゃんを守ってみせるわ」
「その通りだ、シルフィール。シエルはシエルだ。何を思おうと、何をしようと、私たちはシエルのことが大好きだよ」
お父様とお母様の言葉に、にっこりと笑顔を返す。
やっぱり、この家族っていいなぁ。
前世の私は家族とは疎遠になっていたし、子供の頃も親に甘やかされた記憶なんてない。
だから、最初はお父様とお母様の溺愛には戸惑った。
でも、一緒に過ごすうちに、すごく嬉しいと感じるようになった。
私が魔王になっても守ってくれると言ったお母様。
私も、絶対にお父様とお母様たちのことは守ってみせる。
「というわけで、クラウディア王国の学園に通おうと思います」
今度はアル兄様も、何も言わなかった。
というか、まだ復活してないわ。
この人、私が好きにならなかったら、どうするつもりなんだろ。
王太子がいつまでも婚約者がいないままって、本当に問題だと思うんだけど。
「アル兄様。クラウディア王国の学園を卒業するまでに、私が誰も好きにならなかったら、婚約しましょう」
「え?ええと、本当に?」
「私は別に、アル兄様のことを嫌いじゃないんですよ?家族としての愛情はあります。でも、出来るなら、恋愛感情としての好きになった相手と結婚したいんです。お父様もお母様も、私に政略結婚は望まれてないみたいですから」
ありがたいことに、王女だというのに、お父様もお母様もそれを私に強要しない。
いや、私だけじゃない。
アル兄様にも政略結婚を求めてないから、きっと今、婚約者がいないのね。
120
お気に入りに追加
3,193
あなたにおすすめの小説
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる