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10歳

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「学校って、市井の?」

 隣からアル兄様が問いかけて来る。
あ。もちろん、お母様も一緒にいる。

「違います。クラウディア王国の学園に通おうかなと考えています」

 クラウディア王国。
我が国とは、隣国を挟んで西向こうにある王国で、商業がとても発展している国である。

 クラウディア王国は、11歳から学園に通うそうで、成績優秀なら平民でも通えるのだそうだ。
 逆に成績の悪い者は貴族でも通えないという、いわゆる進学校というやつみたい。

 そういう学校なら、差別とかいじめとかないかな、と思ったのだ。

 ん?いや。別に私は、いじめに負けはしないけど。
 逆に、フルボッコにしそうなくらいだから、そんなのがないとこがいいなぁって。

 だが、お父様もお母様も、顔に寂しいと思い切り書いて、項垂れた。

「寮生活で会えなくなるのが嫌だから、幼いうちから教師をつけて勉強させたのに。他国だなんて、もっと会えないじゃないか」

「そうよ、シエルちゃん。考え直してちょうだい。シエルちゃんの望みなら、全て叶えてあげたいけど、シエルちゃんと会えないなんて1日も耐えられないわ」

 いや。1日もかい。
そして、お父様。そんなことを考えて、教師をつけたんかい!
 いや、まぁ、多分そうかなぁとは思ったよ。思ったけどね。

 まぁ、私は見た目通りの子供ではないから、7歳で教師を付けられて勉強することになっても、苦ではなかった。

 王族って大変だなぁ程度で。
チート能力のおかげで、ダンスの練習をしても疲れることもないし、勉強を長くしても眠気や疲労感もない。

 もちろん、表に出ないだけで、疲労は溜まるかもしれないから、1時間毎に少しの休憩を入れるようにした。

 だから辛かったというわけではないが、7歳から3年間頑張ってきた理由が、まさかのそれか~!

 学園に入学しなくていいと言われた時点で、なんとなくそうかなぁとは思っていたけど。

「私は、友達が欲しいのです」

「そっ、それなら、お城に招けばいいじゃないか。な?シルフィール。お茶会でも何でも開こう」

「そうよ。シエルちゃんと同じくらいの年齢の子をみんな呼ぶわ」

「じゃあ、市井の子も呼んでください」

 私の発言に、再び雷鳴が轟いた。
今度のコレは当然のことである。

 王女のお茶会に市井の子供を招くなど、あり得ないことだ。

 だけど、私が欲しいのは、王女の権力に擦り寄る貴族ではなく、心から信頼し合える友人なのである。

 別に貴族の子供が、権力に塗れているわけではない。ただ、貴族の子供である限り、親の意向には逆らえないことが多々あるだけだ。

 それに我が国には、王太子であるアル兄様と同年代の令息令嬢は多いが、私と同年代の令嬢は少ない。

 それは当然だ。
当時、王弟であったお父様の娘。
 同じ王家と縁を結ぶなら、王太子の側近や王太子妃を目指すだろう。

 よって、年齢の近い子息はそこそこいるのだが、令嬢となると格段に減るのである。

 


 

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