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10歳

24ページ目:お願いをしてみます

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 私の名前は、瀬尾あかり。シエル・クロムウェルとしては、先日10歳になった。

 すっかり王女として生きていくことに慣れたので、久々に『お願い』をしてみることにした。

 この『お願い』
成功率は100%である。
 中身が37歳のおばちゃんのため、シエルは我儘を言わない。

 だってねぇ、お父様を筆頭に、お母様もアル兄様もシエルに激甘で、褒める甘やかす溺愛するが日常なのだ。

 こういう場合、溺愛に調子に乗って甘えまくり我儘になるか、もしくは逆にそれを諌める大人になるか、どちらかだと思う。

 そして、中身が一応大人の私は、後者になった。
 なので、基本的にシエルが我儘を言うことはない。

 だが。
現在私は、その久々の我儘を言おうと、絶妙なタイミングを測っている。

 お父様に最近メキメキ上達した刺繍を施した新しいお守りを渡しながら・・・

 あ。私の魔力もメキメキと上達?した。
すでにステータスは999を指している。

 999になってから、上昇は止まった。ここが天井なのか、それとも上がるのに相当なレベル上げが必要なのかはわからないが。

 それはともかく、レベルが上がったのでお父様たちのお守りも、一新することにしたのだ。

 それを渡して、めちゃくちゃご機嫌なところで『お願い』をしてみた。

「お父様。私、学校へ行きたいです」

 こう、アニメ的表現をするなら、私の発言の後、お父様の背後に雷がガラガラピシャーン!って稲妻が光るような背景が見えた。

 えーと。そんな衝撃的だったかな?

「学校って言ったのかい?シエル」

「はい」

「この国で貴族が通う学園の入学が、12歳なのは知ってるね?」

 アル兄様が通っていた学園ね。
5年制で、全寮制なのよね。

「知ってます。アル兄様が卒業された学園ですね」

 でも、この学園は、絶対に通わなければならないわけではない。
 貴族の中には、他国へ留学するものもいるし、家庭教師に勉強を教わる家庭もある。

 ただ、貴族の子息子女として、顔繋ぎとか諸々の事情により、ほとんどの貴族の子供たちは入学するらしい。

 実際、アル兄様も当時ご存命だった伯父様たちに言われて、入学したそうだ。

 ただ、私は入学しなくていいと言われている。

 お城で受けている勉強の成績が、学園卒業レベルなのもあるが、まぁそんな子供は他にも大勢いるわけで、結局のところ寮生活で私と離れるのが嫌だという理由らしい。

 迷惑な話だ。
お城で暮らす私の周囲には、当然大人しかいない。

 これから成長していくシエルに、友人もいないのはどうかと思う。

 かといって、5年もの寮生活となると、お父様たちの精神的によろしくない。
 少し、子供離れした方が良いとは思うんだけど。

 というわけで、学校なるものに通ってみようと思うのだ。
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