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5歳

10ページ目:異世界の営業マン

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 結局、その日の魔力鑑定は失敗に終わった。
あの後、ロイ叔父様が覗き込んだ水晶は正確に作動し(精霊様が映るらしい)私がまだ幼いからなのか、それとも簡易に調べられないほどの魔力量なのか、判断がつかないという結果になった。

 ロイ叔父様は、教皇という身分に相応しく、光の上位精霊と、風の上位精霊の加護を受けているそうだ。つまりは、それに見合う魔力量があるということ。

 5歳にして、それを上回るということは・・・ないと思いたい。
 なので、私は両親と叔父様ににっこりと笑いかけた。

「きっと、わたしがまだこどもどからきちんとはかれないのですね。もうすこしおとなになってからはかるほうがいいですよね」

「そうね。可愛いシエルちゃんがそう言うんですもの。ロイ、いいわね?」

「でも姉上。もしかしたら姫は・・・」

「ロイ。私からもそう願おう。私の天使がそう言っているのだ。いいね?」

「・・・義兄上までそうおっしゃるなら。でも、姫。姫に強い魔力があることは間違いない。少しでも異変を感じたら、すぐに知らせて欲しい」

 お母様とお父様に強く言われ、叔父様は渋々頷かれた。
 よほど、魔力について知りたいのかと思ったら、私に何か起こるかもと心配だと言われた。

 素直に頷いておく。
何となくだけど、転生チートのような気がするから、問題を先延ばしにできたことは良かったと思っておこう。

 魔力鑑定するまでに、自分の魔力を知る方法はないか、調べてみよう。

 でもって、それを隠せるというか少なく見せる裏技なんかあったりすると、もっといいんだけど。

 私のことを溺愛しすぎている、両親や兄様のことは信じている。
 たとえ私が異質だったとしても、私に害をなすことはない、そう思える程度には。

 だけど、今日、しかもついさっき会ったばかりの叔父様を、手放しで信用はできない。

 身内を疑うというのもアレだけど、なんていうか、女の勘?みたいなものだ。

 だって、ロイ叔父様は、私を見てもメロメロ(←死語)にならない。

 シエルは、はっきり言って超絶可愛い。
生まれた時から毎日見てるはずの両親も、久々に会ったというアル兄様も、それからお世話してくれる使用人のみんなも、全員がシエルを可愛いと言い、うっとりとした目で見る。そして、甘やかそうとするのに、ロイ叔父様にはそれがない。

 言葉の上では、お母様やお父様に同意してるけど、本人の意思だとは思えない。

 だって。
ロイ叔父様は、笑顔を浮かべているのに、その目の奥が笑っていない気がする。

 ニコニコとした顔が、胡散臭いとすら思えた。
 ああ。これって、営業マンがいつも顧客相手に浮かべてた表情と同じなんだ。

 ふーん。ロイ叔父様、残念だったね。5歳のシエルには、わからなかったかもしれないけど、残念ながら私には通用しないわ。
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