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そして月日は流れ

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 私がアレーシアになって二年が過ぎた。

 私は十二歳になり、来年には王立学園に入学する。

 ちなみにアランお兄様はすでに学園に通っていて、婚約者も去年の学園入学前に決まった。

 侯爵家のご令嬢で、大人しくてなんていうか深窓の令嬢って印象。

 現代でいうところの、箱入り娘ね。

 緩やかに波を描く金髪、ちょっと垂れ目がちなエメラルド色の瞳、物静かで趣味は読書って感じ。

 キミコイの中で、お兄様が婚約していたかどうかまで出てこなかったけど、シスコン全開のお兄様が仲良くやってるみたいだから、問題ないかも。

 あ。私もイアン様と仲良くしている。

 お兄様と同い年のイアン様は、学園に通われているのだけど、いつも帰りにフロライン公爵家に寄ってくれる。

 一緒に庭を散歩する日もあるし、お茶をいただくだけの日もある。

 それでも、毎日会いに来てくれる。

 お兄様とイアン様、そして王太子ジェラートの再教育は無事に終了した。

 元々、ちゃんと教育を受けていたジェラート。

 ちょっとマルチナの嘘に転がされたけど、十歳の素直な子供な彼はキチンと矯正された。

 そして、マルチナとカリーナ。

 カリーナの方はさすが侯爵令嬢で、マナーもそれなりに出来てたらしい。

 マルチナもあの伯爵夫人の娘なわけで、基礎は叩き込まれていたみたい。

 ただ・・・
伯母様の指導は熾烈を極めた・・・らしい。

 私はお母様からお聞きしただけだけど、伯母様はとにかくマナーに厳しい方なのだそうだ。

 それは、一般的な貴族としてのマナーだけの話ではなく、淑女としての在り方、人としての礼儀まで。

 人を見下したり、嘘をついて自分を有利に見せようとしたりすることを何よりも嫌う。

 だから、マルチナだけでなくカリーナも相当厳しく指導されたらしい。

 マルチナは、自分がジェラートに選ばれたことで優越感を持ち、伯爵令嬢である自分が王太子妃として受け入れられるように『嘘』をジェラートに伝えた。

 そしてカリーナは、両親が選民志向のある人間らしくて、自分は侯爵令嬢なのだと、選ばれて当然な立場なのだと、傲慢な考え方を持っていたらしい。

 伯母様は、そういう二人を徹底的に矯正したようだ。

 だって・・・

「本当に申し訳ありませんでした、フロライン公爵令嬢様」

 マルチナが私に謝罪している。

 その隣では、であるマルチナを気遣うように寄り添うカリーナが。

 かー。
伯母様、どんな教育をすればこうなるの?

 おそろしい!

 まぁ、でも、これならどちらが王太子妃になったとしても、しヒロインが現れても大丈夫・・・よね?

 
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