悪役令嬢?寝言は寝て言え〜全員揃って一昨日来やがれ〜

みおな

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無難でいいと思う

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「王太子殿下の婚約披露パーティーですか」

 私とイアンが婚約した数日後、王太子殿下であるジェラードと、レッチェル伯爵令嬢マルチナの婚約が成立した。

 そして、さすが王族。
婚約披露パーティーがあるらしい。

 気が進まんこと、この上ないな。

 大体、十歳の婚約者候補のガキンチョたちをパーティーに呼んで「この子が王太子の婚約者になりました~」って?

 自慢かい。

「あら?イアンくんにエスコートしてもらえると思えば、いいじゃない」

「え?いいんですか?婚約者候補しか招ばれてないんじゃ」

「かまわないわよ。同じ日にうちの可愛いアレーシアの婚約披露パーティーをする予定だったけど、王家のお誘いだから婚約者と参加しますねってお返事しておいたわ」

 なんと。
さすがお母様。

 うちは筆頭公爵家。
そこの娘、しかも両親と兄が溺愛中の娘の婚約ならパーティーしてもおかしくない。

 婚約者のエスコートが不満なら、行かないけどいいよね?ってことだよね。

 お母様、素敵。

「イアンくんがドレスを贈るって言ってたけど、今回は王家に見せつけたいから我が家で用意することにしたわ。ああ。それから、わたくしのお兄様のところの養子にする手続きもいるから安心なさい。別に養子縁組したからって、親元から引き離すつもりはないわ。ガロード子爵家から通って教育を受けてもらうつもりよ」

 お母様のお兄様であるラズウェル公爵には、十五歳の息子がいる。

 イアンが養子縁組するのは、ラズウェル公爵家を継ぐとかではなく、ラズウェル公爵家が持っている伯爵位を継ぐためだ。

 イアンにはお兄様がいるから、ガロード子爵家を継ぐことはない。

 そして我が家はアランお兄様が継ぐから、イアンと結婚した場合、私は平民となる。

 それは、私やイアンに限った話ではなくて、家を継げない次男や三男は嫡女の令嬢のところの入婿になるか、何か功績を得て一代限りの爵位を賜るしかない。

 令嬢の方も、継ぐ家のない次男や三男に嫁ぐ場合は、子のいない親戚の養子になったりして、ギリギリ貴族としての地位を保つか、平民になるしかない。

 私は別に平民でもかまわないんだけど、両親やイアンからしたら、である私が、平民として暮らしていけるわけがない、ということらしい。

 まぁ確かに、なら無理だと思う。

 それにこの容姿のアレーシア、平民になったら人攫いに遭う可能性が高い。

 いや、さすがに娼館に売られたりとかは嫌だわ。

 だから、イアンの養子縁組には反対しなかった。伯爵位、無難でいいじゃない。
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